神話神話と歴史
| Episode13 | |
| ヒューマンとエルフの連合軍は、徐々にオークを制圧し始めた。 こうなると、今までオーク側について彼らに武器や要塞を作ってやっていたドワーフが、こちら側にもつくようになる。 ヒューマンは、ドワーフが作ってくれた精巧なアーマーと鋭い武器を使用し、一層強力になった。 もはや、エルフの軍隊がなくても、ヒューマンはオークの軍隊を撃退出来るようになっていた。 状況がこのように変わると、エルフは戦争に勝利を収めながらも、常に不安を抱くこととなった。 日に日に、ヒューマンが統制出来ないほど強力になるのを感じたのだ。 それでも、エルフは最後まで油断していた。 まさか、最も卑しい、クズのようなヒューマンが反逆を企んでいるとは思いもしなかったのだ。 その上、オークからの勝利が自分たちの目の前にある今、他のことを考える余裕もなかった。 ヒューマンは次第に高位魔法を習得して行き、ついに、数十年に及ぶ戦争はエルフ-ヒューマン連合軍の勝利に終わった。 オークは屈辱的な平和条約を締結し、自分たちの本拠地であるエルモア北部に追いやられたのだった。 「だが、エルフよ。これは君たちの勝利ではなく、あの汚らわしいヒューマンの勝利だ。 君たちは、自分たちが育てたあの怪物たちをどうやって阻止すると言うのだ。」 ヘストゥイの族長の吐き捨てるような毒舌通り、エルフはヒューマンという新しい脅威に立ち向かわなければならなかった。 しかし、既にエルフは長い戦争に疲れ果てていた。 反面、魔法という力を手にしたヒューマンは、初めて胸が高鳴っていた。 そしてついに、ヒューマンのエルフに対する反乱が起こったのだった。 ヒューマンはかなり以前から徹底、かつ秘密裏にこの謀反を企ててきたに違いなかった。 エルフは、この時初めて、飼い犬に手をかまれたことに気付き、悲鳴を上げたが、既に後の祭りだった。 魔法と魔法がぶつかり合う強力な戦闘が起こり、再び大陸は揺れた。 しかし、エルフは既に新しく台頭したヒューマンの勢力を防ぎきるだけの力を持っていなかった。 エルフは、ヒューマンの大規模な攻勢に次第に押されはじめ、ついには自分たちの本拠地であるエルフの森まで後退した。 そして、ヒューマンとの最後の決戦を準備したのだった。 この森はエルフの魔法力が最も強く作用する場所だったため、この森を足がかりに勝利を手にしようとしたのだ。 エルフはダンジョンを抜けてそこに身を潜め、ヒューマンに立ち向かった。 だが、およそ3カ月間続いた飽くなき戦いの末に勝者となったのは、ヒューマンだった。 エルフの自負心も、エルフの森の魔力も、優れた魔法力も、果てしなく押し寄せて来るヒューマンの軍隊をしのぎきることはできなかったのだ。 結局、エルフは甚大な被害を負って森の中へ逃げていった。ヒューマンも、それ以上、後を追うことはできなかった。 エルフは森のすべてに強力な結界を作り、他の種族の接近を防ぐこととした。 こうしてヒューマンが大陸の覇者となったのだった。 | |