河北春秋

 映画『ベアテの贈り物』(藤原智子監督)は2005年に公開された。日本国憲法草案に「男女平等」の条項を盛り込んだベアテ・シロタ・ゴードンさんのドキュメンタリー▼赤松良子元文相らが製作委員会を結成、資金を集めて上映にこぎ着けた。ベアテさんがまいた女性の地位向上という小さな種を、元参議院議員の故市川房枝さんらが大輪の花に育てた戦後の軌跡をたどった

 ▼日本の女性運動の後ろ盾となったベアテさんが、亡くなった。1929年、ピアニストの父とともに来日、5歳から15歳まで過ごした。子どもながらに見聞きした当時の男尊女卑の社会風潮に心を痛めた▼再来日して連合国軍総司令部(GHQ)のスタッフとして、憲法起草に携わった。子どものころの記憶が、女性の人権と男女平等を定めた憲法24条に結実したという

 ▼「20世紀の後半、日本の女性の環境は大きく改善した。その礎はベアテが憲法24条を書いてくれたから。より良い社会にするために、さらに生かさなければ」。赤松さんの言葉だ▼世界経済フォーラムの2012年版「男女格差報告」によると、日本は135国中101位にとどまる。憲法改正に意欲を燃やす首相が政権の座に就いた。ベアテさんの贈り物をさて、どう扱う。(2013.1.5) 

2013年01月05日土曜日

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