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今日は、昨年の川崎医療福祉大学・特任教授の佐々木正美先生 の講演会の話題に触れてみますね。発達障害の得意とする認知特性を通して、障害とは何なのかについてを考えてみようという記事です。と言っても、今日は小難しい話ではありませんのでご安心くださいね・・・^^。
さて、発達障害には「認知の欠け」や「認知の歪み」があるといわれています。また感覚過敏などの定型発達との違いも有ります。こうしたことは、当事者の生活に、色々な困難や支障をきたします。
一方、発達障害があると、「間違い探し」や「本の編集における校正」が得意な傾向があることは以前、このブログで書きました(→詳しくはこちら )。また同様に、トランプゲームの「神経衰弱」を得意とする方も多いそうです。
当事者さんにしてみれば、「見えたものを覚えるだけのこと」だそうで、いとも簡単だというのです。しかしこのゲームには「神経衰弱」と名前が付いているように、もし定型発達が真剣にすべてのカードを覚えようとしたら、「神経が衰弱してしまう」というところから、この名前は付いたものと思われます。
ここからわかることは、ゲームというのは定型発達の認知特性に沿って作られているということです。「神経衰弱」も「間違い探し」も、また、前日回答をご披露した動画も、全ては定型発達の認知特性を活かしたり、または逆手に取ることで、ルールを定めているということです。
これを社会に置き換えると、
社会ルールと言うのは、ほぼ全て、
定型発達の認知特性に基づいて定められているというのです。
「ひとの嫌がることを、ひとにはしない」
・・・・というのは、よくある標語ですが、発達障害の方にはこの標語はとても困るというのです。想像性に障害があるだけに、他人が嫌がっていることや困っていることを、理解し難いからです。はっきりと判りやすく、「これは嫌だから、やめてね」と伝えてもらいたいというのです。
「技は見て盗め」
・・・というのもそうでしょう。模倣の得意な定型発達の認知と成長パターンに沿ったルールといえるでしょうね。真似や他の人のやり方を取り入れるのが苦手な当事者の方にしては、とても困る教え方なのだそうです。
あるいは、
「見てわからないものは、聞いても(あるいは、『言っても』)わからん」
「よく見て、よく聞き、よく学べ」などもそうでしょうね。
こうしたルールは、定型発達の認知特性上は常識ですが、発達障害の方には困難となります。つまり、障害とは定型発達の常識と違っているに過ぎないのです。
ここまでの話も面白いなぁと思ったのですが、
佐々木先生はここで更に、
「ここで一度、視点を切り替えてみてください」とおっしゃったのです。
そして、・・・・・
「もし世間の98%が発達障害であるなら、
定型発達の方がむしろ障害者ですよ」と告げられたのです。
これはぼくにとって、目からウロコのお言葉でした。
すごい視点だと思いました。
ちょっと感動したのです。
もし、定型発達と発達障害の人口比率が逆転した社会なら、定型発達の多くの認知特性や行動様式は「困ったこと」として扱われることになるのでしょう。
「勝手に、人のことを想像して、どんどんやらないでくれますか?」
「そうして、ベラベラとしゃべったのでは、
みんな、何を言われたのか理解できないでしょう!」
「指示は、過剰書きにして、伝えてくれませんか?」
「予定をコロコロ変えないでくれませんかね」
「なんだかんだと、ゴチャゴチャいっているけど、
結局何が言いたいの?もっと簡潔に!」
「よく、そんなにコロコロと気が変わるよね!」
・・・などと怒られてしまうかもしれません。
こうしたことは、定型発達のあなたとしては自然な行為ですが、
人口比率の逆転した社会では、なぜか周囲のみんなを怒らせてしまいます。
なぜ自分は周囲と違うのか、どう違っているのか、あなたにはわかりません。
そうして、どんどんあなたは、自分を責めるようになっていくかもしれません。
「自分はそこにいるだけで、嫌がられてしまうのか?」
「自分なんか居ない方がいいのだ・・・」
「私は幸せなんか望んではいけないのだ・・・」
何をやっても上手く行かないあなたは、
やがて全ての気力を失ってしまうかもしれません。
・・・・・これこそが、発達障害の当事者さんが、
社会で生きて行く上で感じている苦しみなのかもしれません。
この視点で、発達障害の当事者さんが、
おかれている状況や困っていることについて考えると、
何か今までとは違った理解が出来そうだと、僕には感じられました。
昨日の動画では、「認知の欠け」について、疑似体験をしていただいた、と書きましたが、実は、こうしたことについても、一度考えてみていただきたいとの思いもありました。
自分たちが当然だと思っていることが、
実はそうではないかもしれない・・・・
そういう視点も大事だなぁと感じた講演会からのお話でした。