卓上四季
ジャンヌ・ダルク
新しい年を迎えて「今年こそ」と誓いを立てる人は多い。きっとNHKはこの番組に「社運」をかけているのではないか▼低視聴率にあえいだ昨年の大河ドラマの後継が今晩から始まる「八重の桜」。会津藩出身で、同志社大学の創設者・新島襄の妻として時代を駆けた新島八重の物語である。期待通り高視聴率が取れるかは、見てのお楽しみ▼八重の不屈の会津魂と行動力から「幕末のジャンヌ・ダルク」との触れ込みが躍る。かの地フランスの元祖ジャンヌの生誕日がまさにきょうだと知ると、何やら因縁めいてくる▼ジャンヌ・ダルクというと、旗を掲げ、民衆の先頭に立つ勇猛果敢な姿が思い浮かぶ。彼女が生きたのは600年ほど前のわずか19年間だ。時代は英仏間の百年戦争末期。相次ぐ戦乱で、国が疲弊する中、「神の声」を聞き救国のために立ち上がったのがジャンヌだ▼幾多の奇跡を起こし、敗色濃いフランスを勝利に導いた少女。最期は異端裁判にかけられ火刑に処される。謎に満ちた悲運の人生―。人々の好奇心をかきたててやまない理由はここにもあるのだろう▼ジャンヌ・ダルクがもてはやされるのは、きまって政治が乱れ、国家再建が迫られる国難の時だという。だが、忘れてはならない。フランスでは極右政党が、勢力拡大のシンボルとして利用していることを。われわれも決して道を誤らぬよう。2013・1・6
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