不正会計疑惑:米証取委調査を中国側が拒否

毎日新聞 2013年01月05日 20時20分(最終更新 01月05日 23時12分)

 【北京・井出晋平】中国企業の情報提供を巡り、米中両国が激しく対立している。米国内の中国企業の不正会計疑惑を調査している米証券取引委員会(SEC)の調査協力依頼を、中国側が拒否し、SECが欧米の大手会計事務所の中国現地法人の行政処分に乗り出す事態に発展している。

 SECは先月、KPMGなど世界4大会計事務所と欧州系会計事務所の中国法人に対し、米証券取引法違反などの疑いで行政処分手続きを開始すると発表。SECが米国内で調査中の中国企業9社について、監査資料の提出を拒否したことが理由だ。

 米国の法律でSECは、海外の監査法人に監査資料の提出を求めることができる。しかし、中国は、国内の会計事務所が監査の内容を海外に教えることを法律で禁じている。調査協力を巡り当局間で協議してきたが、中国側は「米側の調査は主権侵害」と難色を示し対立したままだ。中国側の強硬姿勢には、開示要求が国有企業に広がり、経営実態を知られることへの懸念があるとも指摘される。

 11年にカナダの証券取引所で発覚した中国系木材会社の不正会計事件以降、北米などで中国企業の財務諸表への信用性に疑念が高まった。米メディアによると、昨年だけで30社以上の中国企業が、不正会計などで上場廃止や証券登録取り消しなどの処分を受けたという。

 また、SECが監視を強めたことで不信感が高まり、株価が低迷。経営陣が自社株を買収(MBO)して上場廃止し、撤退する中国企業も続出している。中国メディアによると、10年4月から昨年12月までに45社がMBOで上場廃止を表明した。一部企業が政府系銀行からMBO資金の融資を受けていることが発覚しており、「不正が明るみに出るのを防ぐため、国が支援しているのでは」(日系金融機関)との疑念も高まった。

 「中国企業には銀行向け、税務署向け、本物の3通りの財務諸表がある」(日系企業幹部)との指摘は以前からある。中国の会計事情に詳しい日本人会計士は、「不正を見逃した欧米系の事務所にも問題があるが、中国政府も不正調査に協力しなければ世界の信頼を失うだけだ」と話している。

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