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「体感より震度低い」 仙台・太白区、住民からの指摘絶えず

 仙台市太白区に設置されている地震計をめぐり、「発表より体感した震度の方が大きい」との指摘が絶えない。地震計の設置場所の地盤が固いのが原因とみる関係者が多い。大地震発生時に初動が遅れることを懸念する声も上がるが、市は移設や増設をする考えはないという。

 気象庁が震度を発表する市内の地震計は9カ所で、場所は地図の通り。市が5カ所、気象庁などが4カ所を設置している。
 太白区の地震計は、区役所(長町南3丁目)から西に約4キロの太白消防署(山田北前町)にあり、「長町より東では、発表震度より1段階高く感じることが多い」「消防署周辺は地盤が固く、揺れにくい印象がある」といった見方が区民に広がっている。
 実際に、2011年3月11日の地震は宮城野区が市内最大の震度6強、太白区は最小の5強だった。翌月7日にあった最大余震は宮城野区が6強、太白区が5弱で、3段階低かった。12年8月30日未明の地震でも、宮城野区が5強、太白区が3だった。
 太白区の中心部には、直下型地震の震源と想定される長町−利府断層帯が走る。区選出の市議は「発表震度の大きさは自主防災組織の初動に影響しかねない。区役所などにも地震計を設置してはどうか」と提案する。
 震災の教訓を踏まえ、横浜市は12年11月、地震計を最新の機種に切り替え、気象庁にデータを送る観測点を36カ所から42カ所に拡充した。
 地震計の設置費用は1カ所500万円程度掛かる。各区に1カ所以上という最低条件はクリアしている上、財政的な側面などから、市消防局は増設や移設は難しいとの見解を示す。
 減災推進課は「全員が納得できる震度の発表はあり得ない。住む地域での揺れの特性を理解した上で、防災対策を議論してほしい」と呼び掛ける。

<市は増設検討を/東北工大の神山真名誉教授(地震工学)の話>
 地震計は学校単位で設置するのが理想だ。長町−利府断層帯による直下型地震に備えるため、仙台市は財政的に許される範囲で増設を検討した方がいい。ただ、増設が不可能でも、地震の規模や震源までの距離、震度は感覚や物の挙動、知見である程度判断できる。発表された震度にこだわらず、自分の命は自分で守るとの意識で対応を考えることも重要だ。


2012年12月30日日曜日


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