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【インタビュー】「なめこの栽培はじめました」のツイート増殖で大ヒット!? - 話題沸騰「なめこ栽培キット」制作者に聞く!

スマホでなめこを育てるアプリ、『おさわり探偵 なめこ栽培キット』が大人気! いまやなめこはみんなのアイドル、スマホを飛び出しぬいぐるみやストラップも続々登場中。そんななめこの生みの親、株式会社ビーワークスのゲームディレイクター大廣将之さんとゲームグラフィッカーの河合真吾さんのお2人に、話を聞いてきました!

(文|海上 忍)

* * *

――子どもから大人まで人気の「なめこ」ですが、どういうきっかけで生まれたんですか?

河合 最初は、オンラインRPGのキャラクターとして考案しました。ロールプレイング・ゲームの序盤に出てくる、一撃で倒される運命のモンスターっていますよね? スライムみたいな。あれです。

――ええっ!? それっていわゆる「ザコキャラ」ですか?

河合 はい。結局使われなかったんですけどね。それがニンテンドーDS用アドベンチャーゲーム『おさわり探偵 小沢里奈』をつくるとき、ゲームの発売元(サクセス)のプロデューサーから「主役の探偵助手をなめこにしましょう」と連絡があって。最初は驚きましたが、やってみると意外にしっくりくるという(笑)。そこから、小沢里奈の後ろをトコトコついて歩く現在のキャラクターが生まれたわけですよ。

――菌類が歩き回るというのは意外性がありますよね。

河合 DS版の『おさわり探偵 小沢里奈』は、アメリカやフランスなど海外で結構な人気になりましてね。なめこの独特なキャラも評価いただいているようです。

――ちなみに、海外でなめこの名前は? 英語版とフランス語版で違うとか?

河合 海外では「Funghi(フンギ)」、イタリア語でいう「きのこ」ですね。「nnf...nnf...」と鳴きます。ちなみに『おさわり探偵 小沢里奈』の現地語翻訳スタッフは、センスのある方だったようで、日本語版のニュアンスを正確に伝えていると評判いただいてます。だから、日本語の「んふんふ」に近い印象を与えているんじゃないでしょうか。「んふんふ」自体に意味はないんですけどね(笑)。

――それがどうして「なめこ栽培キット」につながったんですか?

河合 iPhone版「おさわり探偵 小沢里奈」をもっと知ってもらおうという話になって、宣伝用に無償アプリを3つ用意したんです。ひとつは『おさわり探偵占い』。名前のとおり、占いアプリです。もうひとつは『おさわり探偵味噌汁』。なめこがお勧めの味噌汁の具を提案する、という斬新なアプリです(笑)。3作目が「なめこ栽培キット」です。

――『おさわり探偵味噌汁』は、なぜ味噌汁の具がテーマなんですか?

大廣 河合が「ウチ、味噌汁の具を決めるときいつも困るんだよね」と言い出して、じゃあそれにしますか、と(笑)。最初は、iPhoneのシステム情報をなめこが教えてくれるアプリを検討していたんですけどね。

河合 なめこでシステムチェックしても仕方ないだろ?(笑)

大廣 失敗だったのは、ふだん家庭にあまりない具を提案してしまうことですね、牛スジとか(笑)。もう少し実用性のあるものにすればよかったかな、と。

――そして3作目の「なめこ栽培キット」が大ヒット。人気になる予感はありました?

大廣 公開直後から好調で、ランキング上位に居座り続けるなど前2作と違う動きを見せていましたから。こりゃおかしいぞ、と。Twitterなど、クチコミの力が大きかったようですね。「なめこの栽培はじめました」なんてつぶやきがあると、なにそれ? という反応があり、「スマホで育てるんだよ!」と返事をすると、知らない人はさらにわからなくなって「なめこ栽培キット」を調べる、という好循環が生まれたみたいです。

河合 ただ「なめこの栽培はじめました」とつぶやきたい方が多かったのかもしれません(笑)。Twitterでは、気の利いたつぶやきネタを探している方がいらっしゃいますからね。

――ところで、なめこシリーズのキャラクターデザインはどなたが?

河合 私が1人で描いてます。パソコン用の定番レタッチソフト「Photoshop」でササッと。Illustratorのようなベクター画像(線で描かれた画像)ではなく、ラスター画像ですから、現在なめこグッズを製造する現場では描き起こしに苦労しているみたいです。

大廣 河合から回ってきた絵を私がひとしきり見て、「うわ、また変なのあがってきたな」と思いつつキャラクタの方向性を調整したうえで、絵と名前のリストをテキスト担当者に回します。図鑑のテキストですね、「毎度おなじみ我らがなめこ」みたいなやつ。

――そのテキスト部分に惹かれる大人が多いような気がします。かくいう私は「なめこ一年生」のファンでして、暇にあかしてこんなものをつくってしまいました。題して「なめこ一年生の通学風景」。

河合 春らしい、いい絵ですね(笑)。なにかの雑誌で、レアなめこを集めた「なめこ盆栽」の紹介記事を読んだことがありますが。

――ほかにも、いいキャラがいっぱいいますよね。「なめこ先輩」と「なめ子」とか。

河合 ああ、『なめこ栽培キットSeasons』のあれですね。キャラ設定の理由は特にないですね......バレンタインの季節でしたから、若い男女のキャラを入れよう、恋愛といえば先輩だよね? だったらそれに憧れているキャラも......「なめ子」でいいかあ、みたいな。

大廣 フィーリングでパッとつくっている感じですね。たとえば、冬といえば鍋、だから「ナベなめこ」(笑)。『なめこ栽培キットSeasons』の場合、1シーズンぶんを2日程度で作ってしまいます。

――テキストがいいですよね、花粉症なめこは「つらい」の一言だったり。

河合 実際、テキスト担当者が花粉症なんですよ。彼女はネコ好きでして、最初に「ねこなめこ」の絵が回ってきたときは怒ってましたね、オッサンみたいだ、って。こっちはカワイイと思って描いたのに(笑)。

――皆さんも、自分はこれがいい! というなめこがいるのでは? 勝手ながら、ベスト3を挙げていただけますか?

河合 うーん、私の1位は「なめこもどき」ですかねえ。2位は「原始なめこ」、3位は「みかんなめこ」といったところですか。

大廣 私は1位「天使なめこ」、2位「とげなめこ」、3位「なべなめこ」の順で。なべなめこは......暖かいと思ってるんだろうけど、煮込まれてるんだからなお前ら、みたいな。

――ところで、最近クレーンゲームやカプセルトイなど、なめこグッズが増殖中のようですが......

河合 商品企画は、基本的にエージェント会社に一任しています。我々はデザイン監修という立場で、回ってきたグッズの案をチェックしています。世界観を大事にしていますし、自分が欲しいかどうかという目線で監修しているというのはあります。自分の欲しいものがお金を払えば手に入るようになったので、個人的にはかなりうれしいですね。

――最後に、今後のなめこの増殖計画について教えてください。

大廣 『なめこ栽培キットSeasons』は、予定どおりあと2回シーズンを追加して終わりですが、キャラクターグッズの方で「なめこ」がどんどん増殖していきます。ご期待ください! 7月には、コンピレーションアルバム「なめこのCD」も発売されますよ。

んふんふ!(まだまだ増えるよ!)

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