県南観光の起爆剤にDMV 県、阿佐東線に導入へ 2013/1/1 10:16
DMV導入をめぐっては、県と沿線自治体などでつくる阿佐東地域公共交通懇話会が09年3月、第三セクター会社・阿佐海岸鉄道の経営改善や県南地域の活性化を目的に検討を開始。11年11月には夜間運行の実証実験、12年2月には乗客を公募して3日間のデモ走行を行い成功を収めた。 全国に先駆けてDMVを開発しているJR北海道の広報部は「技術的水準はほぼ実用可能な域に達している」としている。 県はJR北海道での開発を踏まえて、できるだけ早く運行させる方針で「JR北海道で実用化されればすぐに導入し、通勤、通学はもとより観光振興にも役立てたい」と意気込む。現在、DMV乗降口と各駅のホームとの高さの差や、道路と連絡可能な地点の確認などを行っており、これを基に整備計画をまとめる予定だ。 ハード面以外の課題として▽鉄道事業法と道路運送法の規定により鉄道、道路区間で運転士がそれぞれ必要となる▽国土交通省が示した条件では、DMV走行路線は他の鉄道車両を運行できない-などが挙げられるが、JR北海道は「そう高いハードルではない」との見方を示している。 県はDMV導入の見通しが立ったことから、ツアーの開発に取り組む。DMVは世界でも営業運行例がないため「車両自体が観光資源になる」(県交通戦略課)と判断。県南5市町や商工会などの地元団体でつくる「四国の右下右上がり協議会」と連携し、阿佐東線と沿線の観光スポットをDMVで巡る、さまざまなツアーを考案する。 協議会が既に手掛ける、地元食材を活用したご当地グルメ「南阿波鍋」「南阿波丼」を取り入れるほか、新たな土産物開発にも取り組む。高知県と連携し、貴重な地形や地質が楽しめる「世界ジオパーク」に認定された室戸地域の観光を絡めることも検討する。 DMV ゴムタイヤと鉄製車輪の2種類を備え、走行モードを切り替えることで鉄道線路でも道路でも走ることができる。80年前から英国やドイツなどで開発が試みられているが、技術やコスト面の課題から実用化したケースはない。日本では、JR北海道が2004年に試作車の開発に成功。道内のほかにも徳島県など各地で試験運行を行い、大手自動車メーカーとも協力して車両改良を重ねている。 【写真説明】阿佐東線をデモ走行するDMV=2012年2月、海陽町宍喰浦
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