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2013年1月6日(日)付

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 新春の株価が高いと、浮かれた気分になる。縁のない当方にしてこれだから、投資家は安倍晋三さんにお年玉をもらった思いだろう。ムード先行と侮るなかれ、景気を下から支えるのは気の字である▼金融緩和と積極財政に突き進む首相を、市場は潤んだ目で仰ぐ。衆院解散が決まり、政権交代が秒読みとなって以来の円安、株高。期待が先立つ安倍バブルに、米国の景気後退が遠のいた安心感が加わった▼日銀の首根っこを押さえてお金をあふれさせ、防災を理由に公共事業のタガを緩める。金融と財政で当座をしのぐ間に、規制緩和などで企業の投資を誘い、デフレを脱する――これが新政権の経済政策、世に言うアベノミクスらしい▼その成否は、暮らしへの波及で見極めたい。輸出企業や建設業者は一息ついたものの、国の借金がまた膨らみ、物価だけ上がって雇用や賃金はさっぱり、というのが最悪。「日本売り」を招きかねない▼とはいえ、立ちすくむ暇(いとま)はない。伊勢神宮に参拝した安倍首相は、巳年(みどし)にちなみ「蛇は商売繁盛のシンボル。経済再生にロケットスタートを切りたい」と語った。兜町の反応は「皮算用」が過ぎるとしても、脱皮を重ねる蛇には再生のイメージもある▼ここで流れが変わらないと、日本は衰退に向かうだろう。去年は貿易赤字、人口減が過去最大になったと聞く。どさくさ紛れに原発を動かされては困るが、頼れそうなものは総動員すべき時ではある。世の中の「気」はもちろん、干支(えと)も神仏も。

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