従軍慰安婦問題:
深刻な国内外の異なる「常識」
また、海外メディアの批判の内容を精査すると、事態は更に深刻である。安倍首相答弁に関して、英エコノミスト誌は「日本の首相は組織的強姦に対する恥ずかしい戦いを仕掛けている」というタイトルの記事を掲載し、「安倍首相は、小泉前首相の靖国神社参拝で壊れた中国・韓国との関係を修復するための誠意を、彼自身の発言で無駄なものとした」「彼は、約20万人の慰安婦(朝鮮半島、中国、台湾、インドネシア、ビルマなどからの)が性奴隷労働を強制されたかどうか疑問を呈した」「これは言い換えれば、『彼女たち(誘拐され、奴隷化されレイプされたのだと主張している元従軍慰安婦たち)は嘘つきだ』ということを主張しているのと同義だ」と批判を展開した。
そして「安倍首相は耳が聴こえないのか?」と問いかけ、被害者の証言が次々と積み上がっている現状を指摘し、「日本政府がたとえそれを隠ぺいしようとしてもさらに証拠が出てくるだろう」とした。最後に「極右に左右される安倍首相は、これまでの日本の、戦争のトラウマに苦しむ人々のコミュニティの再建などに対する立派な働きを台無しにしてしまった。60年前のことを忘れたふりをするのは、現代の民主的な日本らしくない」と結論している。
その他外国メディアの報道も、一様に安倍首相に対して厳しかった。
「歴史学者たちは、大部分が朝鮮半島と中国出身の少なくとも20万人の女性が第二次世界大戦中に日本軍の売春宿で強制的に奉仕をさせられたと考えている」(BBC)
「歴史学者たちは、大多数の中国や朝鮮半島からの20万人の女性が2000箇所の慰安所で強制的に働かされたことを信じている」(ガーディアン)
「大部分の歴史学者達や日本政府自身が、軍部と業者がアジアの約20万人の女性に部隊に対してセックスを強制させたとしている」(ロサンゼルス・タイムズ)