石巻市1次仮置き場 縮小へ
昨年3月11日の東日本大震災発生から約1年8か月。現在、石巻ブロックの震災がれき処理を担当している宮城県は2013年度の処理方針にむけて、がれき総量の精査、見直し作業を再度進めている。震災がれきを受け入れている北九州市は宮城県のがれき量の見直し作業結果を受けて、新年度のがれき処理を判断する。
北九州市が9月から実施している、石巻市からの震災がれき焼却を疑問視している市民団体「ハイキブツバスターズ北九州」のメンバー数名が12月中旬、石巻市を訪れ、鹿島JVが担当している二次仮置き場(中間処理場)や市内一次仮置き場などを視察した。市民生活に近い一次仮置き場は、二次仮置き場での焼却処理が本格化し、10か所が搬入終了、または近く終了する予定。石巻市は6月までに最大26か所あった一次仮置き場を2か所まで縮小出来る見通しを明らかにし、がれき処理状況の進展を印象付けた。
(県立石巻商業高校横の1次仮置き場にがれきはなかった)
「がれきは、全国の自治体の協力がなければ、この先10数年そのままの状態となる。がれきの処理なくして被災地の真の復興はあり得ない」。
北九州市での震災がれき受け入れ・焼却は3月12日の議会決議がきっかけだ。その後、市が石巻ブロックのがれき受け入れを検討し、6月市議会で北橋健治市長が受け入れを正式表明した際、「何よりもまちの復興を進めていくためにはとにかく少しでも早く、がれきを撤去してほしいという想いが、今の石巻市民の切なる願いである」と述べた。
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被災直後、石巻市内には震災がれき用の一次仮置き場が26か所、車両用が12か所設置された。現状はどうか。同市によると、3か所は閉鎖され、9か所はがれきの搬入終了、1か所は近く搬入終了予定だ。3月末までに全ての一次仮置き場への搬入を終え、6月までに川口町と雲雀野の2つの一次仮置き場以外は閉鎖する方針。
二次仮置き場での焼却炉が本格稼働し現在、一次仮置き場には1日平均約1100トンのがれきが搬入され、約3000トンが二次仮置き場に搬出されている。石巻市は今後、一次仮置き場の土壌調査を実施する予定で、他自治体から専門職員を派遣してもらいたいという。
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12月20日夜、ハイキブツバスターズ北九州が提出していた公開質問状に対する市説明会が開催され、高額な輸送をかける広域処理の必要性について質問が出た。
代理人の高橋謙一弁護士は「石巻市を視察して、市内のほとんどのがれきは一次仮置き場に移っている。一次仮置き場からがれきをなくしてほしいという声は石巻市役所の方からも聞いた。一次から二次に持っていくことが重要。二次から外(広域処理)に出ないと、一次から二次に持っていけないということではない」と、現場を視察し認識した事実を述べた。さらに「二次仮置き場では広域処理用に再選別作業が行われており、かえって余計な手間をかけさせているのではないか」とも指摘した。
北九州市環境局は「宮城県が広域処理は必要ないと言われれば、それで終わり」と述べ、県のがれき総量見直し作業を待っている状態。
宮城県は「施設稼働状況を見極めて、来年度の方針を示したい。2012年7月の見直しより精度の高いものが出せると思う」との認識を示している。
↑川口町の1次仮置き場。最盛期の3分の1になったという。
↑ 石巻市の海岸沿いの1次仮置き場での作業風景。
↓ 1次仮置き場で分別された震災がれき