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関東南岸「相模トラフ」で海底活断層か
1月5日 18時38分

関東南岸「相模トラフ」で海底活断層か
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10万人以上が犠牲者となった関東大震災から、ことしで90年になります。震災を引き起こした地震の震源域と考えられている関東南岸の「相模トラフ」と呼ばれる海底を、専門家が調査した結果、比較的新しい時代の地震でずれ動いた、活断層とみられる地形が新たに見つかり、この海域で起きる地震の解明につながると期待されています。

関東南岸の相模湾から房総半島沿岸にかけての「相模トラフ」と呼ばれる海底では、関東平野がのった陸側の岩盤の下に海側の岩盤が沈み込み、地下の岩盤どうしの境目では、90年前に関東大震災を引き起こした地震など、大地震が繰り返し起きてきたと考えられています。
活断層に詳しい広島大学の中田高名誉教授の研究グループは、去年11月、「相模トラフ」の真上に当たる三浦半島沖およそ20キロの洋上で、船から水深およそ1200メートルの海底に向けて音波を発射し、詳細な地形を調べました。
その結果、▽崖のように5メートルから8メートルほどの落差がある断層が新たに見つかったほか、▽周りには地下で地層がずれたために海底の表面が膨らんだ地形が複数見つかりました。
このうち、崖のような断層は、「相模トラフ」に沿って北西から南東へ走っていると推定されています。海底の地形は海流などに浸食され、年代を経るごとに変化していきますが、調査した付近の海底は、ほとんど浸食を受けていませんでした。
このため、研究グループは、今回見つかったのは、関東大震災など比較的新しい時代の地震で海底がずれ動いた痕跡で、「相模トラフ」の地下の岩盤の境目からのびる海底活断層ではないかとみています。
中田名誉教授は「活断層付近の地層をさらに調査することによって『相模トラフ』で起きる地震の規模や周期などを知ることができる。今後の地震の予測や防災対策に役立てたい」と話しています。

相模トラフと過去の地震

「相模トラフ」は、おととし3月11日に巨大地震が起きた「日本海溝」付近や、将来、巨大地震が想定されている「南海トラフ」と同じように、陸側のプレートという岩盤の下に、海側のプレートが沈み込んでいる場所です。
「相模トラフ」のプレートの境目では、90年前に関東大震災を引き起こした「大正関東地震」や、300年余り前の江戸中期に起きた「元禄関東地震」など、マグニチュード8前後の大地震や巨大地震が繰り返し起きてきたと考えられています。
将来の地震を予測するためには、過去にどのくらいの規模の地震がどれほどの周期で起きていたのか、詳しく知る必要がありますが、関東は西日本に比べて歴史的な記録が少なく、解明が進んでいませんでした。

海底活断層の意味

一方、近年の研究では、プレートの境目がずれ動いて地震が繰り返し起きると、海底が何度も盛り上がり、明瞭な活断層や崖のような地形ができることが分かってきました。おととし、巨大地震が起きた東北沖の「日本海溝」付近でも、南北およそ500キロにわたる巨大な崖のような地形が見つかっていました。
こうした地形がある海底でボーリング調査などを行い、地層を詳しく調べることで、過去の地震の規模や周期などを数百年以上さかのぼって解明できると考えられています。
今回見つかった断層付近で過去の地震についてさらに調査が進めば、関東で起きる大地震の想定などにも影響を及ぼす可能性があります。

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