2008年6月13日(金)「しんぶん赤旗」

カナダ首相

先住民同化政策を謝罪


 【ワシントン=鎌塚由美】オタワからの報道によると、カナダのハーパー首相は十一日、連邦議会で演説し、先住民の十五万人の子どもたちに強制した同化教育政策を謝罪しました。

 カナダ政府は、一九七〇年代まで約百年間、先住民の子どもを親から切り離し、教会運営の寄宿学校で教育。英語使用やキリスト教信仰を強制しました。肉体的、性的虐待もありました。

 ハーパー首相は、被害を受けた先住民の人々を前に、「政府は心から謝罪し、先住民の人々を深く裏切ったことに許しを請う」と演説しました。

 また、同化教育政策について「間違いであり大きな被害をもたらした。同政策を許容する余地はこの国にはない」と語りました。十五分の演説後、連邦議員も大きな拍手を送りました。

 被害者を代表し民族衣装で議場に立ったフィル・フォンティーン氏は、首相を前に「われわれはついに政府の謝罪を聞いた」と述べ、「ともに人種的悪夢を終わらせることは可能だ。寄宿学校での記憶は、われわれの心を無慈悲なナイフのように引き裂く。本日はその痛みを忘れることを助けるだろう」と語りました。

 被害を受けた先住民は一九九五年に政府に賠償を求め訴訟を起こし、政府は二〇〇六年、存命の被害者約九万人に総額二十億カナダ・ドル(約二千百億円)の補償金を支払う和解案を発表。和解案に基づき創設された「真実と和解委員会」は一日、活動を開始し、今後五年かけて存命の被害者から聞き取り調査を行う予定です。


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