地図は北が上でないといけないの? 「地図は北が上という決まりだ」と思われている人も多いことでしょう。その答えはNOです。地図は東西南北どこを上にしてもよいのです。 なぜ北を上にすることが一般化したのか。 地図を頼りに歩くとき、どのようにして地図を見ますか? 恐らく多くの人は自分のいる地点を手前(下)にして、進行方向を上にして見ていませんか。そう、自分のいる地点を下または中央に、目的地を上にすると地図は見やすくなります。 昔ヨーロッパ周辺の人々は、何もない場所では北極星を目標物にしました。つまり北を上にすることで地図を見やすくしました。そして、方位磁針が普及すると、特に航海の際には羅針盤と地図との対比のため、より北を上にする必要があったのです。 また、古くは2世紀にプトレマイオスが図法の展開上、北を上にした世界地図を考案し、それが続いてきたとの説もあります。 日本では明治時代、欧米からの技術を導入して、北が上の地形図を作りました。その地形図が日本の地図の基本となっているため、地形図通りに北を上にすることが慣例化したと思われます。 それではどこを上にするのがよいでしょうか。 例えば自宅の案内図。駅を下にして、自宅を上に描くと良いでしょう。つまり、冒頭にも書いた通り視点を下、視線先を上にするということです。また、低地を下に、高地を上にすると見やすくなります。逆でも山から見下ろしている感じにもなります。例えば、富山県地図の上を南にするとすごく迫力が出ます。日本と大陸の関係を示す地図であれば、中国を下に、日本を上にすると分かりやすくなります。 このように目的に応じて方位を変えることにより、地図がいっそう効果的になり、また制作者の意図を理解でき、地図を見る楽しみも増えます。ですので、北ばかりを上にする必要はないのです。そのために方位記号があるのですから。 但し、多くの人は北が上になった地形や行政区分の形に見慣れているため、むやみに方位を変えると混乱する可能性がありますので、特に小縮尺においては特別な意図がない限り、北のほうを上にするのが無難でしょう。 (まえ) 成増駅(東武東上線)北口にある案内地図 |