唯一君愛
ただの片想い。
僕だけの一方通行の恋。
見つめているだけで良かった。
その笑顔を。見れるだけで。
僕はそれだけで充分だった。
届かない想い。
それでも良かったんだ。
彼女のその笑顔が僕に向けられなくても。
ただ想うだけで、幸せだ。
一言だけ言葉を交わせるならば僕は。
「幸せになってください」
それだけを言わせてもらいたい。
僕と彼女の距離は近くない。
遠いわけでもなかった。
でも彼女は僕を知らない。
僕だけの恋。
僕だけしか知らない恋。
そのはずだった。
なのに。
なのに。
なのに。
なのに。
なのに。
なのに。
なのに。
なのに。
どうしてこんなことに?
どうして彼女が。
どうしてだ、どうしてなんだ。
僕は走った。
黒いバイクに跨がり、エンジンを捻って彼女の元に向かう。
一刻も早く彼女の元に駆け付けないと、怖くて怖くて仕方なかった。
不安が僕を駆り立てる。
なんで彼女が。
それが何度も脳裏に繰り返された。
お願いだ。
お願いだ。
お願いします。神様。
どうか彼女は無事で。無傷にいてほしい。怪我なんて一つもしないで。お願いだ。
僕はどうなってもいい。お願いだ。神様。お願いします。
彼女だけは─────傷付けないでください。
僕が唯一、愛している人なんです。
彼女だけは、お願いします。
傷付けないでください。
奪わないでください。
彼女を、不幸にしないで。
彼女を、彼女を、彼女を。
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