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福島第一冷温停止から1年 廃炉に向け一歩 

2012/12/18

4号機では建屋カバーの建設工事が進んでいる(12月3日=東電提供)

政府と東京電力が福島第一原子力発電所の「冷温停止状態」を宣言してから、16日で1年を迎えた。昨年末の状況と比べると、福島第一の廃炉作業は確実に前進した。4号機では使用済み燃料の取り出しに向けた原子炉建屋カバーの建設が進んでおり、3号機もカバーの設計がほぼ固まった。1、2号機では原子炉格納容器内の調査を実施し、線量や水位などの状況がつかめてきた。汚染水問題についても、新設備の導入により中長期の処理計画が見通せるようになった。30~40年の歳月を要する廃炉に向けて、確かな一歩を踏み出せた1年だった。

使用済み燃料については、水素爆発で損傷した原子炉建屋から発電所内の共用プールへ移送する計画が大きく進展した。最多の1533体の燃料が保管されている4号機では、建屋最上階やプール内に散乱したがれきの撤去作業が完了。7月には新燃料(未照射燃料)2体の試験取り出しにも成功し、構造健全性が保たれていることを確認できた。

現在は燃料取り出し用クレーンを備えた建屋カバーの建設が進んでおり、来年11月中旬頃には燃料搬出を開始できる見通し。搬出完了時期も、当初の予定より1年前倒しとなる2014年末とすることが決まった。

一方の3号機では、建屋カバーの設計・施工計画がほぼ固まった。建屋をすっぽりと覆う巨大なカバーは、大型クレーンによる遠隔施工など最新鋭の建築技術を総動員して施工される。完成すれば使用済み燃料を安全に取り出す体制が整うほか、建屋からの放射性物質の放出をほぼなくすことが可能となる。

ただ、9月にはがれき撤去作業中に鉄骨がプール内に落下するトラブルが発生。作業に潜むリスクを再認識することとなった。この影響もあり、3号機のがれき撤去作業は今も道半ばの状況。今後はより厳重な安全管理を施すなどして、この課題を乗り越える必要がある。 (本紙1面より抜粋)

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