棚橋弘至(上)のエメラルドフロウジョンが、オカダ・カズチカを捉える=東京ドームで(武藤健一撮影)
|
 |
◇新日本プロレス レッスルキングダム7
棚橋弘至(36)がオカダ・カズチカ(25)を破り、IWGPヘビー級王座6度目の防衛に成功した。オカダの必殺技・レインメーカー(至近距離ラリアット)を完封し、ハイフライフロー(ダイビング・ボディープレス)2連発でフォール。新日本のエース健在ぶりを見せつけた。また、中邑真輔(32)は桜庭和志(43)に勝ち、IWGPインターコンチネンタル王座4度目の防衛に成功した。
ハイライトは30分すぎにやってきた。逆さまに担ぎ上げた相手をマットに串刺しにする、ツームストーン・パイルドライバー。191センチの長身・オカダの得意技を、この日繰り出したのは棚橋だった。「昨年6月のオカダ戦でやられ、ダメージが身に染みて分かった。すきあらば、と思っていた」。おそらく初めて受けたオカダに、焦りの色が浮かんだ。立ち上がりはしたが、その前に受けていた足への攻撃が効いて、よろめくばかり。そこへ王者がハイフライフロー2連発。若いオカダの先の先を読んだ、王者の戦いぶりだった。
オカダは昨年の1・4東京ドーム大会に凱旋(がいせん)帰国し、2月に棚橋に勝ってIWGP初戴冠。6月に取り返されたとはいえ、8月のG1クライマックスで史上最年少優勝。棚橋へのリターンマッチの権利を獲得し、夏以降はシングル戦無敗。ふてぶてしい表情とヒールファイトで新しいファンをつかみ、年末にはプロレス報道各紙や評論家によるプロレス大賞選考会で最優秀選手賞に選ばれた。
レスラーにとって、ドームでの試合は難しいという。観客の歓声がリング届くのにわずかに時間差があり、動きのタイミングを取りにくいためだ。ドームのメーン初体験のオカダはこの日、いつもより技にズレがあり、一方の棚橋はそれを見抜いていた。対戦前はオカダ有利の声が強かったが、「俺の方がドームを何度も経験している分、有利だと思っていた」と振り返る。ふだんは敵対している中邑が桜庭に勝って新日本の牙城を守ったことについても、「今の新日本は、俺と中邑でつくってきた。中邑の勝ちでパワーをもらった」と証言した。
「時代は変えるものじゃない。動かすものだ。もう少し、俺の時代にお付き合いください」と観客に叫び、勝利後恒例のエアギターも思う存分に披露した王者。棚橋時代は2013年も続く。 (大西洋和)
この記事を印刷する