再生の原風景 渡良瀬
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【経済】核のごみ 地方に負担 東京、鳥取の55倍排出 電力量で試算2013年1月5日 07時02分 原発で使い終わった燃料のごみ(使用済み核燃料)を、各都道府県がどれだけ出しているかを試算すると、二〇〇七〜一一年の五年間では、最も多い東京は最も少ない鳥取の五十五倍にのぼることが分かった。原発を持つ電力十社への取材を基に、都道府県ごとの家庭などの使用電力量の多少に当てはめて、燃料のごみの想定排出量を算出した。 (望月衣塑子) 想定排出量は大阪、名古屋など大都市を抱える上位六都府県で全体の約41%を占めている。電力の大消費地が大量の燃料のごみを出す一方、燃料のごみを施設内で保管する原発立地自治体や、ごみが全国から運び込まれる青森県・六ケ所村に負担を強いている現状を浮き上がらせた。ふだん実感しにくいが、電力消費の多い自治体は排出量も多くなる。 十電力会社の総排出量は五年間の合計で約三千六百三十九トン(ウラン換算)。これを都道府県ごとの家庭などの使用電力量に応じて当てはめると、想定排出量は東京が三五九・一トン、次いで大阪は三三九・五トンと算出される。一方で、最も少ない鳥取は六・五トン、次いで島根が八・一トンにとどまる。 六ケ所村に再処理施設を持つ青森の想定排出量は計算上、二七・五トンだ。しかし、日本原燃によると、実際に六ケ所村に搬入された全国の燃料のごみは五年間で計千七十四トン。青森が排出する量の約四十倍が、全国から運び込まれていることになる。 最大の原発立地県である福井をみると、使用電力量から試算した想定排出量は四一・三トンにとどまる。福井は関西、北陸両電力から供給を受けているが、福井に原発を持つ関西電力は、ここで五年間に計七百九十九トンの燃料のごみを出している。福井はその約半分を原発施設内に保管したままだ。 本来、排出量が少ないはずの福井や青森などの自治体が、燃料のごみの保管で大きな負担を強いられる現状には、これまでも不満の声が上がってきた。 福井は「電力消費地の自治体にも、中間貯蔵を含めた保管の在り方を検討してほしい」と国に繰り返し要望した。経済産業省は昨年十一月二十六日付で、全国の自治体へ「使用済み核燃料対策協議会」への参加を求める文書を送った。燃料のごみの保管や、再処理する核燃料サイクルの問題に関して、消費地の自治体も加えて話し合う見込みだった。しかし、年末の政権交代を経て、協議会の先行きは不確かな情勢だ。 最大消費地の東京は「政権交代で国の方針が見えず、都知事が交代したいま、協議会への参加の是非は未定だ」と回答。大阪も同様で、協議会への参加意思を国に示した自治体は現在、原発関連施設を持つ福井と茨城の二県にとどまる。 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「安全性を考慮した場合、使用済み核燃料を原発関連施設のある自治体で保管するのは、現実的ともいえるが、不公平感は否めない。大都市をはじめ電力消費地の自治体は今後、排出した燃料への対応を真剣に考えるべきで、新たに集中貯蔵施設を建てる場合は、都市部も含めて候補地の検討が必要だ」と指摘する。 <想定排出量> 原発を運転すると必ず出る使用済み核燃料を、各都道府県がどれだけ想定上、排出しているかを示す。各電力会社が実際に出した使用済み核燃料の量を、各電力管内の都道府県がそれぞれの使用電力量の比率に応じて排出したとみて、排出量を割り当てた。 (東京新聞) PR情報
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