安倍晋三政権は厳しい財政状況の中で「列島耐震化」の財源探しが最大の障壁となっている。十分な税収が確保できない中で、防災事業の財源を賄うため赤字国債発行を重ねれば財政規律をゆがめかねないと判断。主要財源は、国の「借金」に含まれない財投債にして、経済再生と財政規律重視の両立を図ることにした。
自民党幹部も「赤字国債は財政規律の問題がある。財投債で大胆にやるべきだ」と表明。政府高官は「金融緩和だけでは効果が表れるまで時間がかかる。大規模な公共事業をやれば効果大だ」と話している。
【用語解説】財投債 財政投融資特別会計国債の略称。政府が地方自治体や独立行政法人などに融資(財政融資)する資金を調達するために発行する国債。自治体などは低利・長期・固定などの有利な条件で貸し出された資金を元に、下水道整備や空港建設などを行い、事業で得た収入から返済する。財投債は資金回収を前提にしているため、赤字国債や建設国債と異なり、国連の基準でも政府債務とはみなされない。発行額は2001年度に44兆円だったが、12年度見込みでは15兆円まで減少している。