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国際
【新帝国時代 2030年のアジア】(3)「爆食」中国 世界の海で乱獲
日本近海にカツオなどが北上する最大の「黒潮ルート」の入り口、太平洋中西部。フィリピン東沖からミクロネシア連邦にかけて広がる世界最大のカツオ漁場で、異変が起きている。
昭和20~30年代に10万トンだったこの海域のカツオ漁獲量は、右肩上がりで160万トン規模まで拡大してきたが、資源枯渇の兆候が現れ始めたのだ。
太平洋中西部で取れたカツオは、その多くがバンコクの港に運ばれ、ツナ缶やペットフードに姿を変える。ところが、最新の数字である昨年1~8月のタイ向けの出荷量は直近3年間で最も落ち込み、取引価格は史上最高値を更新した。原因は、「小ぶりの魚まで根こそぎ取ってしまう巻き網漁船による乱獲」(業界関係者)だ。
3年前、中国がこの海域に、日本では規制があって造れない1千トン級の大型巻き網船11隻を投入したことが確認されている。水産庁国際課によると、巻き網船の数は平成12年の157隻から250隻に増え、船籍数では中国籍が13隻、台湾籍が34隻。だが、実際には、増加分93隻のうち7~8割が中国、台湾系とみられ、「ミクロネシア連邦など漁場に近い船籍を隠れみのに使っている」(業界関係者)実態がある。
乱獲の影響は、日本の食卓にも及ぶ。昨年の日本近海の一本釣りカツオの水揚げ量は、3万100トンで過去最低。土佐料理チェーンを全国展開する加寿翁(かずお)コーポレーションの竹内太一社長は「昨年は刺し身やたたきに適した2・5キロ以上の大型カツオが手に入らず、仕入れ値は3割も上がった」と嘆く。
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