【ネピドー=粟井康夫】ミャンマー訪問中の麻生太郎副総理・財務・金融相は3日、首都ネピドーでテイン・セイン大統領らと会談した。財務相はミャンマーの延滞債務問題を1月末までに解消し、3月末までに500億円規模の円借款の新規実行を目指す意向を表明した。同国の民主化と経済成長を支援するとともに、日本企業の進出を促す狙いがある。
第2次安倍晋三内閣の発足以来、主要閣僚の外国訪問は初めて。副総理は安倍晋三首相からの親書を手渡した。大統領は首相の来訪を要請した。
副総理はミャンマーが日本向けに抱える約5000億円の延滞債務について、約3000億円を放棄し、残り約2000億円を邦銀のつなぎ融資で解消する方針を改めて明言。月内に手続きを終える考えを示した。
国際機関や主要国が新たに資金を入れる際は過去の延滞債権をいったん全額回収することが原則になっている。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)、パリクラブ(主要債権国会議)もミャンマーの延滞債務問題を1月中に解決する方針。国際社会がミャンマーの民主化や経済成長を本格支援する環境が整う。
日本の新規円借款は(1)最大都市ヤンゴン近郊に建設を予定する「ティラワ経済特区」周辺のインフラ開発(約200億円)(2)ヤンゴン都市圏の火力発電所の緊急改修(約190億円)(3)14の地方自治体の生活基盤改善を通じた貧困削減(約170億円)――の3項目に主に充てる。日本がミャンマーに円借款を供与するのは1987年以来、26年ぶりとなる。
テイン・セイン、麻生太郎、安倍晋三
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