靖国神社放火容疑の中国人引き渡し拒否1月3日 23時36分
去年、ソウルの日本大使館に火炎瓶を投げつけた罪で、韓国で服役していた中国人の男が、おととし、東京の靖国神社に放火したとして日本政府が身柄の引き渡しを求めていた問題で、韓国の裁判所は3日、この中国人を政治犯と認定して、日本への引き渡しを拒否する決定を出しました。
日本政府は、去年1月にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げつけた罪で、韓国の刑務所に服役した中国人の劉強容疑者について、おととし12月に、東京の靖国神社で門の一部に放火した疑いがあるとして、韓国政府に対して身柄の引き渡しを要請し、ソウルの高等裁判所で審理が行われていました。
その結果、裁判所は3日、「靖国神社を単なる宗教施設でなく、過去の侵略戦争を正当化する政治秩序の象徴とみなした犯行で、政治的大義を実現するために行われた」と指摘して、劉容疑者を政治犯と認定し、日韓の条約による引き渡しの対象から除外されるとして、日本側の要請を拒否する決定を出しました。
劉容疑者の弁護士はNHKの取材に対して、「非常に敏感な問題であることを考慮したうえで総合的に判断したもので、われわれの主張が十分受け入れられた」と話していました。
決定を受けて劉容疑者は近く中国に帰国することになり、日本と中国との間には容疑者の引き渡しを定めた条約がないことから、事件の全容解明は事実上難しくなりました。
中国外務省“この結果を歓迎”
韓国の裁判所が劉容疑者の日本への引き渡しを拒否する決定を出したことについて、中国外務省の華春瑩報道官は、「この結果を歓迎する」という談話を発表しました。
そのうえで華報道官は、「中国政府は、海外の中国国民の安全と合法的な権利を守ることを重視しており、ソウルの中国大使館が必要な支援を提供してきた」として、「劉氏は、近く帰国することになっている」と述べています。
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