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ライフ
【産経抄】10月5日
2012.10.5 03:05
[雑誌・書籍]
日本の新聞で、久しぶりに名前を見た。かつて米ニューヨーク・タイムズの東京支局長を務めたニコラス・クリストフ氏だ。北京支局時代はピュリツァー賞を受賞した中国通でもある。
▼先月、尖閣諸島の日本領有を否定する台湾人研究者の論文をブログで紹介し、日本総領事館から反論された。クリストフ氏は以前から、尖閣問題について中国の主張に理解を示してきた。一日も早く、誤解に気づいてもらいたい。
▼平成7年に来日してすぐ阪神大震災に遭遇し、「日本人の連帯の強さに心を打たれた」などと語っていたものだ。しかしその後はニューヨーク・タイムズの伝統に従い、日本蔑視の記事が目立ったのは残念だった。
▼たとえば、沖縄で米兵による少女暴行事件が起きてから約1カ月後に掲載された記事だ。マイナーな女性ポルノ・コミック雑誌を取り上げ、「日本の女性は本質的にレイプ願望がある」と言わんばかりの内容だった。地方都市で出会った老人が戦争中、中国で人肉を食べたとの衝撃的なリポートもある。ただし、肉を買って食べたら、それが人肉だったかもしれない、という程度の話だ。
▼あまりにも偏見に満ちた記事が多すぎると、在米の日本人グループが立ち上がった。自費出版した『笑われる日本人』のなかで、「この記者にとっては、ジャーナリズム/エンターテインメントであるらしい」と断じている。もっともクリストフ氏はそんな批判をどこ吹く風と、日本衰退を論じつつ任期を終えた。
▼先日書店で、現東京支局長の著書を見つけた。タイトルは『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』。批判は自由だが、過去の「トンデモ報道」を検証してからにしてもらいたい。
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