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【25~ニッポン未来予測(3)】「やっと中国から解放された」…インドが「世界の工場」に
海外投資の重点を中国から移す候補として有望視されるインド。ところが、電力などインフラ整備や規制緩和は大幅に遅れている。
政策研究大学院大学の橋本久義教授(67)は「中国はインフラが整い、従業員の質も高い。インドが中国を抜くことはあり得ない」と否定的だ。国内総生産(GDP)で日本を抜き、世界2位に躍り出た中国は27年までに米国を抜くとの予測もある。そうした中で、「脱中国」に二の足を踏む日本企業が多いのも当然といえる。
在インド日本大使館によると、昨年10月現在、インドに進出している日系企業数は前年より114社増え、926社に上る。今年には1千社の大台に乗るとみられているが、中国への進出企業数は1万4394社(帝国データバンク調べ、昨年8月末)。インドははるかに及ばない。
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だが、インド進出の成功例もある。自動車販売の花形が北米や欧州だった30年前、国営企業との合弁でインドで生産・販売を始めたスズキは先駆者といえる。同社広報担当者は「チャイナリスクが言われるまではインドでの自動車販売が注目されたことはなかった」と話す。スズキのインド子会社「マルチ・スズキ」は昨年2月、インド国内での乗用車販売が業界で初めて累計1千万台を突破。インドの年間生産台数は日本国内の台数を上回った。
インドは21年には人口が中国を追い抜くと推計される。その魅力は数ではなく、人口構成にある。20年までの10年間の生産年齢人口(15~65歳)の増加率は中国が1・9%なのに対し、インドは10%超。現在の人口12億人のほぼ半数が、24歳以下だ。「脱中国」の先にインドを見据える最大の理由もそこにある。平塚氏は「25年後にはインドと東南アジアが中国に取って代わり、『世界の工場』になる可能性がある」と指摘する。
四半世紀ほど前に、日本企業が中国に進出し始めたころにもインフラ未整備などの問題はあった。
コンサルティング会社、「インド・ビジネス・センター」の島田卓社長(64)は言い切った。
「『インフラ整備が整ってから』と言っていると、いつまでもインドに進出できない。勝利の女神が通りそうになったら、前髪をつかむぐらいの心意気が必要だ。これから4、5年がターニングポイントになる」
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