靖国神社に火炎瓶を投げ付けた容疑で、韓国で犯罪人引き渡しに関する審査を受けていた中国人の劉強元受刑者(38)について、ソウル高裁は3日、日本への引き渡しを認めないとの決定を下した。
ソウル高裁刑事20部は決定理由について「劉元受刑者の行動は政治的な大義のために行われた『政治的犯罪』であり、犯行と政治的目的の間に有機的な関連性が認められる」と説明。高裁の今回の審査は単審制で、決定が覆ることはない。
同高裁はまた「劉元受刑者の政治的信念や旧日本軍の慰安婦など歴史的事実に対する見解は、個人の独断的な見解とはいえず、韓国と中国だけでなく国際社会でも幅広いコンセンサスを形成し同意を得ている見解と一致する」として「劉元受刑者を日本に引き渡すことは、韓国の政治的秩序と憲法理念だけでなく大多数の文明国家の普遍的価値を否定することになり、政治犯を引き渡し対象外とする原則の趣旨に合致しない」と指摘した。
劉元受刑者は2011年12月26日、靖国神社に火炎瓶を投げ付けて放火し、その後韓国に逃亡。1月8日にはソウル市内の日本大使館(同市鍾路区)に火炎瓶を投げ付けて逮捕された。劉元受刑者は大使館の事件で懲役10月を言い渡されて韓国で服役したが、日本が「犯罪人引き渡し」を求めたため、収監された状態で審査を受けていた。ソウル高裁はこの日、決定直後に劉元受刑者を釈放した。
■日本「極めて遺憾」、中国「歓迎」
日本の外務省はこの決定について「極めて遺憾。韓国外交通商部(省に相当)に対し、容疑者の日本への引き渡しを再度要求するとともに、遺憾の意を伝えた」と発表した。
一方、中国外務省の華春瑩報道官は同日「中国側は今回の結果を歓迎する」として、劉元受刑者が近日中に中国に帰国することを明らかにした。