靖国放火犯の釈放、韓日関係に与える影響は

安倍首相の特使派遣前日に決定、反韓感情につながる恐れも

 靖国神社に放火した中国人の劉強元受刑者に対し、韓国の裁判所が日本に引き渡さないとの決定を下したことについて、韓国外交通商部(省に相当)は何らコメントを発表しなかった。

 韓日両国間の犯罪人引渡し条約に基づき、劉元受刑者の引き渡しを主張する日本と、劉元受刑者を政治犯と認め自国に送還するよう求めた中国の間で、韓国は常に中立的な立場を守ったというわけだ。外交通商部の関係者は「三権分立が保障されている国家では、裁判所が下した決定を尊重する。これに対し外交通商部として見解を発表することはない」と語った。同部はこの問題が外交上の懸案として浮上すること自体が「適切ではない」という意向だ。

 だが内部では、今回の事件が韓中日3カ国の関係に与える影響について詳しく分析している。偶然にも、日本の安倍晋三首相が朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領に特使を派遣する前日に、中国の主張を認める判決が下ったことに対し注目しているのだ。朴次期大統領が安倍首相の特使と会談する際、どのような形であれ、劉元受刑者の問題が取り上げられる可能性もあると見ている。

 裁判所の今回の決定をきっかけに、日本の政界で反韓感情が噴出し、独島(日本名:竹島)や歴史認識をめぐる問題についてさらなる挑発をしてくるのではないかとの見方も出ている。

 劉元受刑者の母方の曽祖父は韓国人の抗日独立運動家で、また母方の祖母は旧日本軍の従軍慰安婦として悲劇的な生涯を終えたということが、劉元受刑者の供述で明らかになったことから、この問題をめぐる論議はしばらく続くとの見方も出ている。

李河遠(イ・ハウォン)記者
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