東日本大震災:福島第1原発事故 作業員被ばく検査、未受診10人なお不明 特定難航、カナ姓も
毎日新聞 2012年08月14日 東京夕刊
東京電力福島第1原発事故の収束作業に従事後、連絡が取れなくなり内部被ばく線量検査を受けていない作業員がいる問題は、東電が昨年12月に13人の氏名を公表して8カ月が経過した今もまだ10人が不明のままだ。中には「ヤウチ」「イイヤマ」などカタカナの姓しか分からない作業員もいる。将来がんなどを発症しても、検査未受診では労災認定が受けられない可能性もあり、事故による混乱はここでも続いている。【袴田貴行】
東電は昨年12月14日に13人の氏名を公表。東電によると、このうち3人は同月17日までに連絡を寄せ、第1原発から約20キロ離れた拠点「Jヴィレッジ」で作業に従事したものの第1原発の現場には入っていなかったことが分かった。
他の10人のうち3人は、第1原発の免震重要棟で昨年4月14日、Jヴィレッジでは同6月8日に導入されたバーコードによる入退域管理システムの下で現場入りしており、個人の特定はできたものの所属会社を退職して連絡が取れないという。
残る7人は事故後からバーコード導入前まで、手書きで入退域管理をしていた時期の作業員。カタカナの姓しか分からなかったり、所属していたとされる会社に問い合わせても該当者が見つからなかったりした。7人中5人は、線量計の貸し出し記録はあったが、返却記録が残っていなかった。