手足被ばく:適切対処、信じがたい…専門家、東電を批判

毎日新聞 2013年01月04日 02時30分(最終更新 01月04日 02時42分)

 福島第1原発事故の発生から2〜3カ月間、きちんと管理されていなかった疑いが浮上した作業員の「末端部被ばく」と「不均等被ばく」。問題ないとする東京電力側の説明に対し、専門家は「信じがたい。『適切に対処していた』という結論に持っていくための言い訳に聞こえる」と批判した。

 東電によると、事故後はガンマ線用の胸部のAPD(警報付き線量計)だけでなく、作業後に拠点の免震重要棟でサーベイメーター(放射線測定器)による全身の汚染検査を実施。東電はこれにより末端部被ばくや不均等被ばくも適切に管理できていたと主張する。11年3月には汚染水に足を入れた作業員3人が170ミリシーベルト以上被ばくした高濃度汚染が判明したが「これが分かったのも全身の汚染検査できちんと管理できていたからだ」(東電広報部)と強調する。

 しかし、同原発で放射線管理を担当していた東電社員(当時)の男性は事故直後、水たまりに数回にわたり足を突っ込んだが、免震重要棟の汚染検査でいずれも「問題なし」とされた。その理由を関係者は▽水たまりの汚染が高濃度ではなかった▽当時、免震重要棟内の汚染度も高く、サーベイメーターで正確に計測できなかった−−のいずれかと見る。男性の測定では、当時の免震重要棟内の放射線量は、場所によっては国が定める平常時の除染基準の4倍以上あったという。

 安斎育郎・立命館大名誉教授(放射線防護学)は「現場の汚染は当時すさまじく、水たまりが低濃度だったとは考えられない」と指摘。「汚染水に足を入れても、周辺の汚染度が高い場所でサーベイメーターで測れば検出されないこともある。汚染された靴や、そこから拭き取ったろ紙を、汚染度の低い場所に持って行き測ることもできたはずだ」と東電の対応を批判する。

 東電は当初、ベータ線より透過能力の高いガンマ線を重視していたとするが、ベータ線は、より細胞破壊力が強い。安斎氏は「将来、皮膚がんや骨腫瘍を発症する可能性もある。これを放置するのは人道上の問題だ」と話している。【袴田貴行】

 ◇ベータ線とガンマ線◇

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