'13/1/3
三原の鉄道試験場を拡張
三菱重工業(東京)は、都市型鉄道の走行、運営、保守管理などを総合的に試験できるセンターを、三原製作所(三原市)に建設すると発表した。約3・2キロの周回の線路を設ける。新興国を中心に車両と設備の輸出を拡大させる技術拠点とする。
「MIHARA試験センター」と名付け、同製作所の和田沖工場に設ける。既にある試験線の約5倍に当たる約3・2キロの周回線路や信号、通信設備などを整備する。架線などの維持の訓練線も作る。最大で時速100キロの走行、カーブでの騒音計測などができ、輸出先の条件に合わせた多角的な試験が可能になる。
保守管理の研修を受け入れるメンテナンス施設なども新設。3月に着工し、2014年上期から段階的に運用を始める。投資額は50億円程度を見込む。
現在は輸出先に線路を建設した後に試験を行っており、コストなどが課題だった。東京都内で会見した菱川明取締役機械・鉄構事業本部長は「国内で現地規格の試験ができれば、需要に応じたシステムを安く早く提案できる」と説明。国内外から多数の関係者が訪れ「宿泊や飲食などで広く地域振興につなげたい」と強調した。
新興国で鉄道インフラ整備が増える中、韓国、中国などとの競合が激化している。センターの運営は関連団体や他企業も含めた委員会が担い、幅広く活用できる開かれたセンターを目指す。同社は「鉄道にゆかりの深い三原で培った技術を世界に発信する」としている。