背徳の楔 10
「お前を絶対、兄貴になんか渡さない!」
京次はしていたネクタイを外すと、暴れる七瀬の両腕をいとも容易く縛り上げてしまった。
「京兄……!?」
「好きなんだ……愛してるんだ……ごめん、なな」
足をばたつかせて暴れる七瀬の上にのしかかると、京次はその秘芯を口の中に含ませる。
七瀬は押し寄せる刺激に、必死に耐えてうめき声を漏らす。
(やぁ……感じちゃダメ……私の好きな人は臣兄なんだから、京兄に感じちゃダメなの……!)
しかしそう言っても、慣れ親しんだ京次の愛撫はいとも容易く七瀬の快楽を引きずり出していく。
「はぁ……」
鼻に抜けるような喘ぎを漏らしてしまった七瀬は、そんな自分が心底嫌になり、恥辱でとうとう泣き出してしまう。
舌と優しい指での刺激だけだった秘所に、今までされたことのないつぷりとした刺激が加わる。
(指……入れられてる……!?)
「駄目……! 京兄、やめて!」
懸命に身体を捩って逃れようとするが、京次の体重を掛けられていては、下半身はびくとも動けない。
差し込まれた指は、性急に七瀬の中を探る様にやや乱暴に動く。
少し痛さを感じて呻いた七瀬に気づき、京次がクリトリスを舐め上げる。
「やぁ……ん!」
そうされると、良すぎた――。
七瀬は我を忘れて京次の指を締め付ける。
強引に指でほぐされた膣腔に、指よりも太くて大きなものがあてがわれる。
「駄目……」
それが何か分かって思わず叫んだ七瀬を無視し、京次は一気に半分までねじ込んだ。
あまりの衝撃に七瀬の背中が弓なりに反る。
「う……ぃた……」
破瓜の痛みに身体が張り裂けそうになり、七瀬は息を止めて苦しさに耐える。
「なな、いい子だから深呼吸しろ……ほら」
まだ半分しか入っていない雄を目にしながら、京次は七瀬の突起を擦る。
「いやぁ……」
少し甘さを含んだ喘ぎと同時に、七瀬の体内に酸素が送り込まれていく。
少しきつさが緩んだ七瀬の中に、京次は有無を言わさず強引に根元までねじ込んだ。
痛さとショックでぼろぼろになりながらも、それでも七瀬は京次に懇願する。
「駄目……お願い……抜いて……ぬい……きゃあ!」
涙を流して懇願する七瀬が見えないように、京次は自分を埋めた孔の上にあるクリトリスをくにくにといじり始める。
途端に痛みとは違ったむず痒いような感覚が、腰の辺りからじくじくと広がっていく。
「やあ、それ……やめて……!」
「ななはいっつも良い時、やめてって言うもんな」
「ちがっ……!?」
「だってほら、ななの中、俺のものを咀嚼するようにきゅうきゅうと締め付けてくるぞ」
京次の指摘に、七瀬はかっと顔が火照る。
言われた通り、突起を触られていると七瀬の中はぜん動を繰り返して京次を締め付け、その形を脳裏にしっかり焼き付けてくる。
「あん……」
甘い声を漏らした七瀬に、京次が嬉しそうにほくそ笑んで、その細い腰を両手でつかんだ。
その時――。
コンコンとノックされる音。
七瀬は咄嗟に息を呑み、縛られた両掌で口を覆う。
しかし、京次は何でもないことの様に「どうぞ」と入室を促した。
がちゃりと扉の開かれる音。
「おい、七瀬がこっちに来てない……」
言いかけた途中で途切れた声は、一臣のものだった。
開け放された寝室の扉に、その姿が現れる。
「……何やっているんだ、お前達……」
その漆黒の瞳は七瀬を組み敷いて局部を繋ぎ合わせたままの京次を捉え、限界まで見開かれていく。
そんな一臣をなじる様に、京次がこぼす。
「野暮だな、兄貴……楽しみの最中なのに……」
「京次……お前……!」
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