霞外籠逗留記
233 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 01:14:59 ID:MEWVIsVx0
主人公の【築宮清修】が目を覚ますと、そこは川を渡る舟の上だった。
舟の主である、割れた鬼の面をつけた女【渡し守】の言うところによると
築宮は酒に酔って川に落ち、流れていたところを助けられたらしい。
しかし築宮は自分の出自を始め、そうなった経緯も思い出せない。いわゆる記憶喪失になっていた。
ただ、記憶を失う前にいた場所が、築宮にとって耐え難い場所であったという感覚だけが微かに残っている。
帰る場所がないと困る築宮に、渡し守が行き場がないなら旅籠に行ってはどうかと勧める。
築宮はその話を受け、しばらく旅籠に逗留して、記憶が戻るのを待つことに決める。
舟に揺られて、やがて見えてきた旅籠は、神々しさを感じさせるほど巨大な旅籠だった。
無計画に増改築を繰り返された建物は、宿泊客を遭難させるほどに広い。
感嘆する築宮に、渡し守は懐中時計を渡し、これを旅籠の人間に見せるようにと言って去っていく。
それから、築宮に気づいてやってきた女中に案内されて、築宮は旅籠の女将の元へと向かう。
234 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 01:18:46 ID:MEWVIsVx0
その道中のこと、築宮は狐に化かされたような怪現象に遭遇し、女中とはぐれてしまう。
偽の廊下やら、どこまで行っても終わらないお座敷やら、お風呂の幻などなど。
長い歴史を持った旅籠には、いたるところに物の怪がいて、人を迷わせる。
この巨大な旅籠はそんな不思議な場所らしい。
迷った末になんとか女将である【令嬢】と巡り合わせた築宮は、宿泊の手続きを済ませて
旅籠に滞在するための小さな部屋をあてがってもらう。
お金を持っていないことを気にする築宮だが、渡し守から預かった懐中時計を令嬢に見せると
令嬢は何か納得した様子で、お代がいらないことを告げる。
渡し守のその懐中時計は、旅籠では何でもありの通行手形のようなものなのだと言う。
渡し守が時計を他人に渡すことはまずないらしく、築宮はよっぽど好かれているのだそうだ。
しかし、そうまで気に入られる理由が築宮にはわからない。
そうして多くの謎を残しながら、築宮の旅籠での逗留が始まった。
235 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 01:27:04 ID:MEWVIsVx0
【図書室の司書ルート】
部屋で暇をもてあましていた築宮は、旅籠の中に図書室があるのを聞きつける。
行ってみると、中には誰もいない。仕方なく本を見ていると、題名に覚えのある本を見つける。
築宮はその本を取ろうとして脚立に上るが、バランスを崩して落ちそうになってしまう。
そこに突然、片腕が義手の【司書】が現れ、信じられない身のこなしで落ちかけた築宮を受け止める。
築宮は暇つぶしの本を借りて部屋へ戻るものの、司書の化け物じみた身のこなしが、妙に頭に残っていた。
築宮は図書室を辞したあと、女中などから司書についての噂話を聞く。
曰く、司書は図書室に来た男を喰ってしまう鬼である。
曰く、過去に人を食い荒らしていた時分に、渡し守に懲らしめられ片腕を取られた
そんな馬鹿なと笑い飛ばす築宮に、司書から築宮の探していた本を見つけたとの手紙が来る。
築宮が図書室に行くと、さきほど探していた本を渡される。
その後、司書に迫られ不思議な魅力に抗えずに司書と情交を交わしてしまう。
それ以降、築宮は図書室によく通うようになる。
以下、しばらく掌編のようなお話が続く
236 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 01:45:35 ID:MEWVIsVx0
■文車妖妃(ふぐるまようひ)
ある日の昼下がり、築宮は瓶に入った恋文を見つける。
築宮が手紙を読もうとすると、見知らぬ女が現れて、手紙を届けたらどうかと提案する。
そして同時に、司書に言うと取り上げられるだろうから教えない方がよいとも言われる。
女と入れ替わりに司書がやってくる。築宮が謎の女について話すと、司書は手紙を持っていないか問う。
築宮はさっきの女の言葉どおり、司書につい何も受けとっていないと答えてしまった。
司書に隠れて例の手紙を判読すると、手紙は何枚かあるうちの冒頭だとわかる。
宛先がわからず、どうしたものかと考えていた時、築宮は水路にさっきと同じ瓶詰めの手紙を見つける。
中にはさっきの恋文の続きが入っていた。苦心の末に解読するのだが
血をすすらないと気が済まない、生き肝を奪いに行くなどと内容が生臭い感じがした。
翌日、築宮は司書に何を隠しているのか問いつめられる。築宮は隠しきれずに手紙の事を話してしまう。
すると、実は手紙を書いたのは司書で、宛先が築宮だったことがわかる。
事の真相は、手紙を入れておく文箱(文車)に宿った付藻神が、いたずらをして
司書が出すつもりも無かった手紙を、築宮を騙して外に出したというお話。
238 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 02:16:51 ID:MEWVIsVx0
■縊れ鬼(くびれおに)
ある日、司書はスローガラスという、数十秒前の光景が写るガラスを出してくる。
そのガラスを通すと数十秒間、時間が遅れたガラス越しの光景を見る事ができる。
しかし築宮はスローガラスを、面白いと思えない。ひたすら気分が憂鬱だったのだ。
築宮は数日、鬱のまま部屋に籠もる。気分転換に酒場に行っても気持ちは晴れない。
鬱屈とした気分が続くうち、築宮はひどい顔の自分をあちこちで見るようになる。
まるでドッペルゲンガーのように築宮を常に見ていて、少しも離れようとしない。
築宮は食事も睡眠もとれず、自殺しか考えられない。
そんな築宮に司書が一緒に死のうと提案し、二人の心臓を短刀で刺す。
しかし二人の自殺は築宮に憑いた鬼を油断させるための演技だった。
司書は二人の自殺を影から見ていた鬼を義手で差し貫いた。
実は鬼は紙の人形を依代にしており、たまたま拾った築宮を殺そうとしていたのだ。
司書は同じ鬼として、先に目をつけていた獲物を奪われるのは気にくわないといって
縊れ鬼のヒトガタを燃やしてしまった
239 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 02:42:47 ID:MEWVIsVx0
■貘(ばく)
築宮が目を覚ますと、そこは旅籠の頂上である屋根の上。
司書に本を回収してきてほしいと頼まれた築宮は、大冒険の末に本を手に入れて
午睡をむさぼっていたのである。改めて屋根の上を見ると、隠れ家風の小部屋があった。
興味をそそられて中を覗くと、中では令嬢が嬉しそうにドクロを磨いている。
見られたことで怒った令嬢は、責任を取って一生ドクロを磨けと言う。そこに司書が現れる。
司書は怒る令嬢を軽くあしらうと、築宮の手をとって屋根の上の小部屋から逃げ出す。
図書室に戻る途中、築宮はうっかり司書の手を離して天井から落ちてしまう。
そこでまた築宮は目を覚ました。今のは全て夢だった。
この後も築宮は、【琵琶法師】と女中にひどい目に遭わされる夢を見て目を覚ます。
そうして四度目に築宮が目覚めると、そこは屋根の上で、日が暮れかかっていた
側には司書がいる。司書の説明するところによると、築宮が枕にしていた本には
貘が封じられた紙が挟まっていて、それが築宮に悪夢を見せていたという。
紙を破ろうとする司書を築宮は止め、貘を紙飛行機にして川に向けて飛ばす。
240 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 02:48:20 ID:MEWVIsVx0
■幕間
今日も逢瀬を重ねていた築宮と司書。名残惜しさを残して帰っていく築宮を見て
司書は自分の中に餓えた感覚があることをはっきり意識する。
人食いの鬼として、愛してしまった人間の青年を食べてしまいたい。
抑えきれないその気持ちを司書は持て余し、無くなってしまった片腕が疼いた。
以前築宮が聞いた噂の通り、昔に人を食っていた司書は、渡し守に片腕を奪われた。
それ以来、司書は誰も食べずに図書館に籠もって司書を務めていたのだった。
図書室を出た築宮は、久しぶりに渡し守に出逢う。誘われて、渡し守と釣りにやってきた築宮は
最初の目的であった記憶を取り戻すという目的を忘れていないかと聞かれる。
実際、司書のところに足繁く通うようになってからは記憶のことは頭から消えてしまっていた。
渡し守は、築宮が愛しているのはあくまで人ではなく、鬼であると警告する。
司書が築宮のことを純粋に気に入っていればいるほど、鬼としての本性が
築宮の肉を求めるようになっていく。それが鬼にとっての愛するということ。
もしも司書が築宮のことを食べようとしはじめればどうするのか。渡し守は尋ねた。
築宮は司書からは離れられないとした上で、最後まで付き合うだけ付き合うと返事をする
241 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 05:07:15 ID:MEWVIsVx0
ちょっと力尽きてました。霞外籠逗留記長いです。まだ続きます。
司書の残りと、あと三ルートあります。
243 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:39:24 ID:MEWVIsVx0
■羅生門の鬼
司書は築宮との情事の最中、興奮のあまりに築宮を喰いそうになる。
理性で築宮を突き放した司書は、築宮に図書室にはもう来るなと告げる。それから築宮に顔を見せなくなる。
しかし築宮は諦めきれず、図書室へと通い続けた。ある時、築宮に司書から手紙が届く。
そこには、そんなに逢いたければ、失った腕を探して来て欲しいと書かれている。
築宮は令嬢に司書の過去について教えてもらい、渡し守が司書の腕を奪ったという話を聞く。
築宮は渡し守に腕を返すよう頼んだが、すげなく断られる。
それでも引かない築宮に、渡し守は辛辣な言葉を浴びせ続ける。
つい怒りで我を失った築宮は、渡し守に飛びかかり、偶然に渡し守を殺してしまう。
舟の上で呆然としていた築宮がふと気づくと、渡し守の舟は川に流されてしまっていた。
周りには水ばかりで、陸にも旅籠にも帰れない。何故か、川の水が固まったせいで水も飲めなくなる。
疲れと餓えで朦朧とした築宮に、渡し守の幻聴が聞こえる。食べ物も飲み物も、築宮の側にあるのだと。
築宮は幻聴に言われるまま、短刀を手に取り、それを渡し守の胸に突き立てる。
飢えた築宮は、渡し守の血と肉を夢中で貪った。そうして築宮は司書と同じ、人食い鬼となった。
244 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:55:11 ID:MEWVIsVx0
築宮が我に返ると、そこは舟の上で、目の前には渡し守がいる。
どうやら渡し守の見せた幻だったとわかるが、築宮が自分の意志で人を食べたのは変わらない。
渡し守は築宮に、本当の意味で鬼を愛する覚悟をして欲しかった。去り際、渡し守は以前渡した
懐中時計の短針こそが司書の腕であると言った。
図書室に向かうと司書がいた。短針を渡すと、見る間に司書の腕が元に戻っていった。
腕を取り戻した司書は喜んで、もう築宮を食べないと我慢ができないと迫る。
→BAD
拒絶するとBAD。司書は悲しんで旅籠を去ってしまう。築宮も旅籠を去り、そして病院で目を覚ます。
旅籠の事をすっかり忘れた築宮は、渡し守と顔だけそっくりの姉に、車で迎えに来てもらう。
そして築宮は、厳格で完璧すぎるこの姉からは決して逃れられないのだと、何かを諦めてしまう。
→GOOD
受け入れるとGOOD。人ではなく鬼となった築宮は、食べられる前に司書の首を噛み血を啜ってしまう。
その行為で互いの飢えが消えたことで、二人は共に生きていく道を見つける。
そして時が経ち、図書室には司書が二人いた。築宮は記憶を捨てた代わりに、鬼女という連れ合いを得たのだ。
渡し守は築宮を、清修と親しげに呼び、幸せを祈って舟を漕ぎ出す。その口ぶりはまるで肉親のようだった。
291 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 21:40:38 ID:uwxmueTQ0
【琵琶法師ルート】
築宮は偶然見つけた温室で【琵琶法師】と出会い、いつの間にか付き合うようになる。
初めてHをした後のこと。築宮が目を覚ますと、法師が外で琵琶を弾いていた。
異様だったのは法師を取り囲むように、黒い妖怪が群れている事。
しかし法師が琵琶を弾いているため、体に触れないらしい。結局それは何もせずに去っていく。
黒い妖怪を見てから数日後、築宮は夢を見る。夢の中で築宮は熱心に書道を習っていた。
しかし、書道に熱心なのは家に居たくないからで、築宮はそれを姉に見抜かれてしまう。
先生に失礼だと怒られた築宮は、姉への反発心から書道をやめてしまうのだった。
その頃から、旅籠で眠っている客の部屋に黒い妖怪が現れ始める。
それに取り憑かれると、やめてしまった習い事を急に始めるようになる。
その取り組みはあまりにも異様で、ある客はやめたピアノを三日三晩弾き続けた。
大騒ぎの渦中で、築宮は法師の正体が高価な香木の化身だと気づく。
法師が存在する目的が、琵琶の秘曲を探す事だと聞いた築宮は、渡し守から秘曲を弾く条件を聞く。
しかしその条件とは、法師の本体を加工した琵琶を男女ペアで弾くことだった。
香木に傷がつくと怪我をしてしまう法師を琵琶にすれば、死んでしまうのは間違いない。
それを知った法師は、旅籠の地下洞窟【胎内洞】で琵琶になることを望み、琵琶になってしまう。
胎内洞とは心の底に秘めた望みの姿を引きずり出す。そういう曰くつきの洞窟だった。
後を追って胎内洞に入った築宮は、落ちていた綺麗な琵琶を見て絶望する。
292 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 21:41:10 ID:uwxmueTQ0
同時刻、旅籠では黒い妖怪が大量に発生し、旅籠を埋め尽くそうとしていた。
旅籠の全てが黒く覆われる寸前に、築宮が琵琶を手に胎内洞から出てくる。
墨に飲まれかけたとき、琵琶から聞こえる法師の声が築宮を安全な場所へと導く。
その途中、法師はあの黒いなにかの正体が、築宮の未練そのものだと説明する。
中途半端にやめてしまった書道の未練が、築宮を探して旅館を彷徨っていたのだった。
法師はこの騒動を終わらせようと言い、築宮を旅籠の屋根へと連れて行く。
築宮は屋根の上で、法師に言われるままに琵琶を構える。
周りは完全に墨に囲まれて、もう逃げ場はない。そして築宮は琵琶の意志に身を任せて演奏を始める。
人の領域を外れた秘曲は築宮の体の自由を奪い、演奏を繋げていく。
これこそ法師が長い間探し求めてきた、男女が二人でつまびく秘曲だった。
人の妄執の悲しさを歌い、許す歌であるという秘曲によって、築宮の未練が浄化されていく。
そして曲が進むにつれて、法師と築宮の存在も無に近づいていく。
演奏を続ければ、二人とも消えてしまう。築宮はそれもいいかと思い始める。
→演奏を最後まで続ける
BADエンド。築宮は音の一部になって、法師と共に消えてしまう。
そうして時々、法師の家だった場所で琵琶の音が聞かれるようになる。
しかし弾き手はどこにもおらず、琵琶だけがポツンと寂しく置かれているという伝説が残る。
→演奏を途中で止めようとする
GOODエンド。法師は香木であっても、築宮の事を愛していた。
法師は築宮と同時に思いを打ち明けるが、もう誰にも演奏を止めることはできない。
そこで築宮は自分の腕にバチを突き刺す。健まで切れた腕では演奏は続けられず、演奏は止まる。
そうして時が経ち、健を切ってしまった不自由な手で築宮は琵琶を練習していた。
その傍らには下手くそな琵琶しか弾けなくなった法師がいる。
築宮は記憶を諦め、法師と二人でいつまでも旅籠で暮らしていく事を選んだ。
293 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 21:41:46 ID:uwxmueTQ0
【令嬢ルート】
ある晩、記憶が戻らずに落ち込んでいた築宮。令嬢はそんな築宮を、和服Hで慰める。
親しい人がいない令嬢は、よく話をする築宮に恋をした。みたいなフリはあるが
あまりに唐突な淫乱ぶりに、築宮(とプレイヤー)はこう思う。あのフリで非処女なの?
ただ築宮は性格がイケメンすぎて、美人をタダで抱けたからいいやと投げやりに流してしまう。
事後、水路に影のようなものが潜んでいて、行為を覗いていた事に二人は気づく。
令嬢はあれが【ニゴリ】と呼ばれるモノであるとだけ築宮に教えて、帰っていく。
次の日、令嬢は胎内洞の一番奥にいた。そこにある地底湖にニゴリが現れる。
ニゴリは築宮の子を孕むために、もっと抱かれろと命令する。唐突なHはそのためだった。
令嬢は築宮だけはイヤだと反論するが、ニゴリは触手プレイを敢行し、令嬢を黙らせる。
ニゴリの正体は旅籠の一族の怨念である。ニゴリは令嬢の子供を使い、現世に復活しようと企んでいた。
ニゴリの横暴を令嬢は許せないが、旅籠の存続を楯にされると逆らいきれない。
いつになく渋る令嬢を見たニゴリは、手を打つ必要を感じて、策を講じることにする。
ところで築宮は旅籠で既視感を感じる事があった。記憶はないが、以前来た事があるのか。
そう思った築宮は、令嬢に旅籠の地図を借りて、隅々まで探検しようとする。
しかし地図は手書きの一点物しか存在せず、しかも作者不明のシロモノらしい。
複製不可能な地図は令嬢の宝物だった。未来の夫だけに見せたいという令嬢に強くは言えない。
その時、令嬢は何を思ったのか『ダンマリの納戸』という旅籠の地名を口にする。
唐突すぎて理解できないと思った築宮だが、何故かその地名が築宮の記憶を目覚めさせた。
築宮はダンマリの納戸の由来を喋る。驚く令嬢に、築宮は違う場所の詳細も話してみせた。
しかし知っている理由はわからない。
築宮は、ダンマリの納戸を一人で調べてみたら、何かわかるかも。と令嬢に言われる。
翌日、ダンマリの納戸に向かう途中で、築宮は何故か令嬢に出会う。
昨日と言ってることが違ったが、結局二人で納戸に向かう事にする。
同時刻、旅籠は大騒ぎになっていた。女中が殺され、その犯人が死んだ客だったからだ。
旅籠の帳場で死体を調べた令嬢は、これがニゴリの仕業だと悟る
294 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 21:44:35 ID:uwxmueTQ0
一方、ダンマリの納戸。築宮はニゴリを令嬢だと思いこみ、ニゴリを抱いてしまう。
なんとか令嬢に助けられるが、令嬢は一度抱いた女くらい感触でわかれと激しく怒った。
その後も令嬢は築宮を気遣うが、ニゴリに騙された築宮は、令嬢を悪者だと思いこむ。
旅籠を出て旅をしたい。せっかく本心を語る令嬢を、アホの築宮は罵ったりする。
いい加減に怒った令嬢は、ニゴリも手を出せない蔵に築宮を閉じこめてしまう。
監禁が続くうち、築宮は蔵の伝承を思い出す。
開けた人間の望む物。それが入った箱が、蔵にあるはずだった。
中の道具で令嬢の過去を知る築宮だったが、令嬢が悪者ではないと気づかない。
渡し守の協力によって蔵から出た築宮は、旅籠を出たいと願う。
そのころ令嬢は人を集めて、ニゴリ退治を行おうとしていた。
舟からそれを見た築宮は、令嬢が築宮を守ろうと奮闘していたことを聞かされる。
しかしニゴリは怨念の宿った遺骨を壊さないと、倒せない。
令嬢はそれを知らずにニゴリの影だけを倒そうとしていた。
→そのまま旅籠を出る。
司書BADへ
→令嬢の所へ行く。
GOODエンド。築宮は令嬢に謝り、ニゴリがまだ生きていると知らせる。
令嬢は骨を壊そうとするが、令嬢の持つ地図にも墓の場所は書かれていない。
悩んでいると、ふと築宮は、地図の作者が自分だと思い出す。
墓が消えているのは、怖がった築宮が上から紙を貼ったからだった。
地図を確認すると、築宮の記憶通りに墓は紙を貼って隠されていた。
しかし妙だった。地図には築宮以外にも、見知らぬ女の子の文字が書かれている。
結局何もわからず、築宮は令嬢と二人で、地図に現れた先祖の墓へと向かう。
行ってみると、確かに新しい部屋が出現している。ニゴリと対峙した二人は
地図が現実に反映されるのを逆手に取った。地図から墓を切り離し、ニゴリを消す。
時が経ち、旅籠の管理者は二人に増えていた。仕事をする築宮の所へ令嬢が来て
子供が出来たことを嬉しそうに話した。築宮は記憶を捨て、令嬢を守っていくと決めた。
295 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:07:47 ID:uwxmueTQ0
【水の女ルート】
幻想のような物語は終わった。
ここからは他人の内蔵を覗くような、お話ではない舞台裏。
そこで暗躍する渡し守の物語。踏み居ることが許されない、心をくだく物語。(序文の超意訳)
旅籠から人が消えた。築宮は異変の原因がわからず、人を探して歩いている。
誰も見つからない焦りの中、築宮はあの三人の名前を叫ぼうとする。
しかしよく考えると、築宮は誰の名前も知らない。空虚な三人の役名だけが築宮の頭にある。
令嬢、司書、琵琶法師の物語は終わった。役者が舞台を下りたから、誰もいないのでは?
想像して青ざめる築宮は、遠くに水音を聞く。音を頼りに千本鳥居を抜けると、渡し守の舟があった。
渡し守は怒っていた。三人と添い遂げた築宮が、記憶を求めてまた物語を始めたから。
渡し守は築宮に記憶を取り戻させないため、鬼の形相をして追いかけてくる。
無我夢中で逃げる途中、築宮は令嬢がいるのを見つける。
しかし、それは令嬢の姿をした渡し守だった。築宮は捕まり、気を失う。
築宮は令嬢ENDの後日談を見せられる。その後、二人が
もう一人の地図の作者を考えていると、地図を書いたと言う女の子が現れる。
築宮は、泣き出した令嬢を振り切って女の子を追いかけた。
「セイちゃん、地図を作ろうよ。わたしとセイちゃんで考えた場所の、新しい地図」
いつか聞いた声を思い出しながら、築宮は女の子が隠れた部屋を覗いた。
「おっきな建物の地図書いて、部屋のそれぞれにセイちゃんの好きなお話をいれるの」
そこにさっきの少女と、幼い築宮が座って地図を書き込んでいた。
「わたしもどこの部屋に誰が住んでるとか考える。それなら二人でもできるじゃない」
因果は逆だった。あの二人が地図を書いたから、旅籠が生まれた。
事実を悟った築宮の側に、突然令嬢が現れ、とつとつと語り出す。
幼い築宮には、少女しか友達がいなかった。空想好きな築宮は地図に夢中になった。
しかし築宮に他の友達が出来始めると、地図に触ろうとしなくなる。
それでも少女は一人で地図を書き続けた。それだけが築宮との絆だったから。
旅籠とは少女の想いの結晶。令嬢は語り終わると、渡し守の姿に変わる。
296 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:16:04 ID:uwxmueTQ0
これ以上、少女の想いは見せられないという渡し守。
気を失いかけたその時、短刀を構えた本物の令嬢が現れる。
令嬢は、築宮に少女を追うように言う。
激昂する渡し守ともみ合う令嬢を背にして、築宮は少女を追いかけようとする。
しかしすぐに琵琶法師が現れる。安堵して気を失う築宮だが、法師は渡し守だった。
法師の家で、築宮は大掃除をしていた。腕の傷もあって、器用にこなせないこともあるが
生来から不器用な法師と、足りないところを補い合う生活はなかなか楽しいものだった。
そんな二人の前に少女が現れる。築宮は少女の眼に深い愛を感じ、心を揺さぶられる。
側には渡し守の擬態した法師がいたが、築宮はそれを振り切り、少女を追う。
追っていった先で、築宮は過去の情景を見る。
そこでは築宮と姉が向き合っていた。築宮はうなだれて門限を破ったことを謝っている。
姉は氷のような表情をしながら、厳しくも優しく築宮を諭している。
築宮の姉はいつもそうだった。築宮が悪さをすると、まず築宮の目をじっと見つめて
それから優しい言葉で築宮を諭す。
決して頭ごなしに怒るようなことはしない。築宮を深く理解し、身を案じて怒る。
築宮は、そんな姉に向けられる信頼が深ければ深いほど
自分はそれに足る人間ではないと思い知らされて、耐えられなくなるのだった。
築宮は突然現れた法師に、姉が嫌いではなかったと告白する。
姉は築宮にうるさく言う以上に、自分を厳しく律していた人だったからだ。
法師(渡し守)は、築宮の記憶を奪ったのが自分だと宣言し
今度は築宮の人格そのものを消そうとする。
そこに涙を流しながら、本物の法師が飛び込んでくる。
法師は渡し守に抱きつき、築宮が大事なのに、大事にできないなんて可哀想だと泣いた。
その涙に優しい渡し守が戻る。渡し守は法師に、築宮を永遠に手放してよいのかと聞く。
法師は自分のではなく、築宮の幸せを願った。その言葉で、渡し守は築宮を逃がすと決めた。
しかし築宮には、渡し守が邪悪な顔を取り戻して、法師に拷問する様子が全て見えていた。
297 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:17:22 ID:uwxmueTQ0
法師が死ぬまでその拷問を見せられ、憔悴した築宮はとうとう倒れ込んでしまう。
そこに司書がやってくる。二度も騙された築宮は、これも渡し守だと疑う。
しかし飄々とした物言いは司書そのものだ。築宮は信じるが、やはりそれは渡し守だった。
司書の後日談のあと少女がやって来て、築宮は少女を追う。その先で、また過去の情景を見る。
今度は築宮が姉に対して、怒声をあげて怒っていた。
築宮は今まで口に出さなかった、姉の完璧さに対する批判を口にする。
姉に叱られるたびに惨めになると告白する築宮に、姉はやはりひたむきな信頼を向ける。
そして築宮はこれが、就職に失敗した自分が姉に八つ当たりした場面だと思い出す。
築宮は姉に自分の人生を生きて欲しいという本音とは裏腹に、心ない言葉を浴びせてしまう。
いたたまれなくなった築宮は、家出をして酒に入り浸る。
そして酔った築宮は、はずみで河に転落し、渡し守に助けられることになった。
そこに司書の姿の渡し守が現れ、築宮を殺そうとする。そこに本物の司書が現れる。
司書は義手で渡し守を押さえつけると、築宮にあの懐中時計を出すように言う。
渡し守の持ち物を持っているから、渡し守に追いかけられるのだという。
司書は時計の針から両腕を取り戻し、築宮に少女を追いかけるように促す。
築宮の去り際、いつか私たちに名前をつけてくれると嬉しいと告げた。
司書が壊した懐中時計には、渡し守の過去も一緒にしまってあった。
千本鳥居を時計の導くままに行くと、過去の情景が次々と蘇ってくる。
学生時代の築宮が、友人を家に呼び宿題をやっている。
滅多にない女子との会話に胸が躍る築宮。事件が起きたのは、築宮が席を立ったとき。
部屋を出た築宮は、柱の影から姉がじっと部屋を監視している姿を見てしまう。
姉は、築宮への厳しさの裏に変質的な愛を内包していた。
姉は女子と一緒にいる築宮を監視し、その生き生きした態度を見て嫉妬していた。
偶然で築宮の唇が女子に近づくと、その相手が自分であったらと想像し、胸を熱くする。
監視がバレてから、部屋に戻った姉は泣いた。築宮が自分の想いの一端を知ったことが嬉しかった。
298 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:18:11 ID:uwxmueTQ0
築宮は姉に激しく怒られていた。間違えて、姉の裸を見てしまったためだ。
姉は性的なことがらが絡むと、決まって頭ごなしに怒鳴った。
築宮は心底反省し、もうこんなことはないと誓わされる。その裏で。
一人になった姉が、狂おしいほどの情欲に駆られていた。
必要以上に怒ったのは、見られて興奮していたのが、他ならぬ自分の方だったからである。
気持ちを抑えられずに一人で自慰を始める姉は、もう一息で処女膜を破りそうになる。
すんでのところで押し止めた姉は、自分の手を縛って、涙を流し続けた。
姉のどろどろした気持ちを知って、築宮自身も姉を望んでいたことを知る。
しかし、昔の姉はあんな風ではなかったはずだ。
少女の頃、築宮と一緒に地図を書いたあのころは、こんなに厳格な姉ではなかった。
まだ秘められた何かがあると知った築宮は、千本鳥居を抜けて、胎内洞に入っていく。
そして、記憶の最後のひとかけらを見つける。
ある日、まだ幼い築宮と少女は両親を亡くしてしまう。
頭のよい少女は、葬式に集まってくる親類を見て、彼らの考えを見抜いてしまう。
きっと親戚達は遺産目当てで、自分たちを引き離そうとする。
何よりも大事な清修を、遺産しか頭にない大人たちになど渡せない。
そう思った少女は、密かにある決意をする。
遺産を巡って争う親戚を尻目に、少女は築宮の手を引いて夜中に家を抜け出した。
そして二人の家の側にある川へ着くと、少女は旅籠の地図を川に流そうとする。
築宮は少女が地図を大切にしていたのを知っていて、どうしてそれを捨てるのかと聞く。
「大切な地図を持っていると、きっとセイちゃんに甘えてしまう。
だからこの地図は、子供のわたしと一緒に流してしまわないといけないの」と少女は言う。
そうしないと、大人達に離ればなれにされてしまうと少女は思った。
築宮と一緒にいるため。少女は子供である事も、築宮に甘えることもやめてしまった。
そして、築宮に嫌われることになったとしても、築宮を立派な人にしてみせると宣言する。
【みづは】と姉を呼ぶ築宮。みづはは築宮に、姉さんと呼ぶように厳しい口調で言った。
そうして二人は離ればなれにならないと約束をする。
299 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:21:58 ID:uwxmueTQ0
結局、二人は引き離されないで済む。
二人がそれぞれ引き取られる予定の家が、全焼してしまったためである。
その後、親類の中では善良な男が後見人となり、二人は生家で暮らせるようになる。
もちろん、全てはみづはが裏で手を回したことだった。
築宮は記憶を全て取り戻し、以前は知らなかった姉の秘めたる想いも知った。
涙を流す築宮の目の前に、みづはの顔の半分が流れてくる。それはみづはの想い。
あのとき川に流した地図も、一緒に流したみづはの想いも、ここに流れ着いていたのだ。
追いついてきた渡し守が、自分は築宮を見守り、手助けするための存在であると告白する。
つまり築宮に嫌われていると思っているみづはが、素直に気持ちを表すための媒介だった。
令嬢、司書、法師、幼女みづは、渡し守。全てが、姉の心のペルソナのような存在だと
知った築宮は姉を心から抱きたいと思い始める。ここで選択。
→ここでは渡し守を抱かない
築宮はみづはを抱くなら、現実の世界がいいと告げて、現実に戻っていく。
現実に戻ると、向こうから凄い勢いで駆けてきたみづはが、築宮をグーで殴った。
くまのできた目元や、泥にまみれた服装、泣きそうで必死な表情を見て、築宮は嬉しく思う。
築宮はみづはと一緒に朝焼けの街を歩く。家に帰ったら、みづはに想いを告げようと思いながら。
→このまま渡し守を抱く
みづはは築宮を探すうち、ついに体が動かなくなり、公園で座り込んでしまう。
みづはは、いつになく築宮を遠く感じてしまい、気が気でない。
命を捨てても築宮を見つけ出したいと願うみづはに、ふと築宮の声が届く。
そしてみづはは現実から消えた。
胎内洞では渡し守の意識が消え、体がみづはのものになった。そして二人は結ばれる。
事後、みづはは二人で旅籠に残る事を拒絶して、築宮だけ現実に戻らせようとする。
みづはの想いが通じた今、戻ってしまえば、みづはは築宮を完全に束縛してしまう。
それを嫌がったみづはは、胎内洞の水で旅籠と自分を沈めることを選ぶ。
沈んでしまった旅籠を前に、築宮はみづはを探して水に潜る。
深い水の底で、築宮はようやくみづはを捕まえた。
そして二人は水の底に沈んだまま、いつまでも二人で抱き合っていた。
300 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:30:07 ID:uwxmueTQ0
霞外籠逗留記、以上です。
規制のためにずっと書けなくて申し訳ありません。
かなりレベルの高い読み物であるため、要約すら満足にできませんでした。
スジを知ってても楽しめると思いますので、興味を持った方は是非購入を。
以下、超短縮のストーリーを載せておきます。
■司書ルート
司書は人食い鬼です。彼女は愛した男を食べるので、生涯の伴侶がいません。
主人公は食べられてもいいやと突っ込んで、結局、自分も人食いになります。
そして二人はタコみたいにお互いを食べて平和に暮らす鬼になりました。
■法師
法師は実は木の精霊です。彼女は琵琶が好きで、琵琶の秘曲を探していました。
実はその曲を弾くためには法師が琵琶になる必要があり、結局なってしまいます。
秘曲を弾いて世界を救ったあと、二人で平和に暮らしました。
■令嬢
令嬢の一族の幽霊、ニゴリは女を産む機械だと思っています。
本当は誰でもいいのですが、令嬢を虐めるため、わざわざ好きな男に子作りさせます。
しかし、そのせいで令嬢の余計な反抗を招き、滅ぼされました。
■みづは
幼い姉はえらく可愛いのですが、大人の事情で厳しくなってしまいます。
そんな厳しい姉がイヤで家出した主人公。川に落ちて死ぬものの、奇跡で助かります。
色々あって姉が変態であることを知りますが、主人公も変態なので問題ありませんでした。
不思議な力で現実に戻ったり、姉を召喚したりして、二人でイチャイチャしました。
主人公の【築宮清修】が目を覚ますと、そこは川を渡る舟の上だった。
舟の主である、割れた鬼の面をつけた女【渡し守】の言うところによると
築宮は酒に酔って川に落ち、流れていたところを助けられたらしい。
しかし築宮は自分の出自を始め、そうなった経緯も思い出せない。いわゆる記憶喪失になっていた。
ただ、記憶を失う前にいた場所が、築宮にとって耐え難い場所であったという感覚だけが微かに残っている。
帰る場所がないと困る築宮に、渡し守が行き場がないなら旅籠に行ってはどうかと勧める。
築宮はその話を受け、しばらく旅籠に逗留して、記憶が戻るのを待つことに決める。
舟に揺られて、やがて見えてきた旅籠は、神々しさを感じさせるほど巨大な旅籠だった。
無計画に増改築を繰り返された建物は、宿泊客を遭難させるほどに広い。
感嘆する築宮に、渡し守は懐中時計を渡し、これを旅籠の人間に見せるようにと言って去っていく。
それから、築宮に気づいてやってきた女中に案内されて、築宮は旅籠の女将の元へと向かう。
234 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 01:18:46 ID:MEWVIsVx0
その道中のこと、築宮は狐に化かされたような怪現象に遭遇し、女中とはぐれてしまう。
偽の廊下やら、どこまで行っても終わらないお座敷やら、お風呂の幻などなど。
長い歴史を持った旅籠には、いたるところに物の怪がいて、人を迷わせる。
この巨大な旅籠はそんな不思議な場所らしい。
迷った末になんとか女将である【令嬢】と巡り合わせた築宮は、宿泊の手続きを済ませて
旅籠に滞在するための小さな部屋をあてがってもらう。
お金を持っていないことを気にする築宮だが、渡し守から預かった懐中時計を令嬢に見せると
令嬢は何か納得した様子で、お代がいらないことを告げる。
渡し守のその懐中時計は、旅籠では何でもありの通行手形のようなものなのだと言う。
渡し守が時計を他人に渡すことはまずないらしく、築宮はよっぽど好かれているのだそうだ。
しかし、そうまで気に入られる理由が築宮にはわからない。
そうして多くの謎を残しながら、築宮の旅籠での逗留が始まった。
235 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 01:27:04 ID:MEWVIsVx0
【図書室の司書ルート】
部屋で暇をもてあましていた築宮は、旅籠の中に図書室があるのを聞きつける。
行ってみると、中には誰もいない。仕方なく本を見ていると、題名に覚えのある本を見つける。
築宮はその本を取ろうとして脚立に上るが、バランスを崩して落ちそうになってしまう。
そこに突然、片腕が義手の【司書】が現れ、信じられない身のこなしで落ちかけた築宮を受け止める。
築宮は暇つぶしの本を借りて部屋へ戻るものの、司書の化け物じみた身のこなしが、妙に頭に残っていた。
築宮は図書室を辞したあと、女中などから司書についての噂話を聞く。
曰く、司書は図書室に来た男を喰ってしまう鬼である。
曰く、過去に人を食い荒らしていた時分に、渡し守に懲らしめられ片腕を取られた
そんな馬鹿なと笑い飛ばす築宮に、司書から築宮の探していた本を見つけたとの手紙が来る。
築宮が図書室に行くと、さきほど探していた本を渡される。
その後、司書に迫られ不思議な魅力に抗えずに司書と情交を交わしてしまう。
それ以降、築宮は図書室によく通うようになる。
以下、しばらく掌編のようなお話が続く
236 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 01:45:35 ID:MEWVIsVx0
■文車妖妃(ふぐるまようひ)
ある日の昼下がり、築宮は瓶に入った恋文を見つける。
築宮が手紙を読もうとすると、見知らぬ女が現れて、手紙を届けたらどうかと提案する。
そして同時に、司書に言うと取り上げられるだろうから教えない方がよいとも言われる。
女と入れ替わりに司書がやってくる。築宮が謎の女について話すと、司書は手紙を持っていないか問う。
築宮はさっきの女の言葉どおり、司書につい何も受けとっていないと答えてしまった。
司書に隠れて例の手紙を判読すると、手紙は何枚かあるうちの冒頭だとわかる。
宛先がわからず、どうしたものかと考えていた時、築宮は水路にさっきと同じ瓶詰めの手紙を見つける。
中にはさっきの恋文の続きが入っていた。苦心の末に解読するのだが
血をすすらないと気が済まない、生き肝を奪いに行くなどと内容が生臭い感じがした。
翌日、築宮は司書に何を隠しているのか問いつめられる。築宮は隠しきれずに手紙の事を話してしまう。
すると、実は手紙を書いたのは司書で、宛先が築宮だったことがわかる。
事の真相は、手紙を入れておく文箱(文車)に宿った付藻神が、いたずらをして
司書が出すつもりも無かった手紙を、築宮を騙して外に出したというお話。
238 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 02:16:51 ID:MEWVIsVx0
■縊れ鬼(くびれおに)
ある日、司書はスローガラスという、数十秒前の光景が写るガラスを出してくる。
そのガラスを通すと数十秒間、時間が遅れたガラス越しの光景を見る事ができる。
しかし築宮はスローガラスを、面白いと思えない。ひたすら気分が憂鬱だったのだ。
築宮は数日、鬱のまま部屋に籠もる。気分転換に酒場に行っても気持ちは晴れない。
鬱屈とした気分が続くうち、築宮はひどい顔の自分をあちこちで見るようになる。
まるでドッペルゲンガーのように築宮を常に見ていて、少しも離れようとしない。
築宮は食事も睡眠もとれず、自殺しか考えられない。
そんな築宮に司書が一緒に死のうと提案し、二人の心臓を短刀で刺す。
しかし二人の自殺は築宮に憑いた鬼を油断させるための演技だった。
司書は二人の自殺を影から見ていた鬼を義手で差し貫いた。
実は鬼は紙の人形を依代にしており、たまたま拾った築宮を殺そうとしていたのだ。
司書は同じ鬼として、先に目をつけていた獲物を奪われるのは気にくわないといって
縊れ鬼のヒトガタを燃やしてしまった
239 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 02:42:47 ID:MEWVIsVx0
■貘(ばく)
築宮が目を覚ますと、そこは旅籠の頂上である屋根の上。
司書に本を回収してきてほしいと頼まれた築宮は、大冒険の末に本を手に入れて
午睡をむさぼっていたのである。改めて屋根の上を見ると、隠れ家風の小部屋があった。
興味をそそられて中を覗くと、中では令嬢が嬉しそうにドクロを磨いている。
見られたことで怒った令嬢は、責任を取って一生ドクロを磨けと言う。そこに司書が現れる。
司書は怒る令嬢を軽くあしらうと、築宮の手をとって屋根の上の小部屋から逃げ出す。
図書室に戻る途中、築宮はうっかり司書の手を離して天井から落ちてしまう。
そこでまた築宮は目を覚ました。今のは全て夢だった。
この後も築宮は、【琵琶法師】と女中にひどい目に遭わされる夢を見て目を覚ます。
そうして四度目に築宮が目覚めると、そこは屋根の上で、日が暮れかかっていた
側には司書がいる。司書の説明するところによると、築宮が枕にしていた本には
貘が封じられた紙が挟まっていて、それが築宮に悪夢を見せていたという。
紙を破ろうとする司書を築宮は止め、貘を紙飛行機にして川に向けて飛ばす。
240 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 02:48:20 ID:MEWVIsVx0
■幕間
今日も逢瀬を重ねていた築宮と司書。名残惜しさを残して帰っていく築宮を見て
司書は自分の中に餓えた感覚があることをはっきり意識する。
人食いの鬼として、愛してしまった人間の青年を食べてしまいたい。
抑えきれないその気持ちを司書は持て余し、無くなってしまった片腕が疼いた。
以前築宮が聞いた噂の通り、昔に人を食っていた司書は、渡し守に片腕を奪われた。
それ以来、司書は誰も食べずに図書館に籠もって司書を務めていたのだった。
図書室を出た築宮は、久しぶりに渡し守に出逢う。誘われて、渡し守と釣りにやってきた築宮は
最初の目的であった記憶を取り戻すという目的を忘れていないかと聞かれる。
実際、司書のところに足繁く通うようになってからは記憶のことは頭から消えてしまっていた。
渡し守は、築宮が愛しているのはあくまで人ではなく、鬼であると警告する。
司書が築宮のことを純粋に気に入っていればいるほど、鬼としての本性が
築宮の肉を求めるようになっていく。それが鬼にとっての愛するということ。
もしも司書が築宮のことを食べようとしはじめればどうするのか。渡し守は尋ねた。
築宮は司書からは離れられないとした上で、最後まで付き合うだけ付き合うと返事をする
241 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 05:07:15 ID:MEWVIsVx0
ちょっと力尽きてました。霞外籠逗留記長いです。まだ続きます。
司書の残りと、あと三ルートあります。
243 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:39:24 ID:MEWVIsVx0
■羅生門の鬼
司書は築宮との情事の最中、興奮のあまりに築宮を喰いそうになる。
理性で築宮を突き放した司書は、築宮に図書室にはもう来るなと告げる。それから築宮に顔を見せなくなる。
しかし築宮は諦めきれず、図書室へと通い続けた。ある時、築宮に司書から手紙が届く。
そこには、そんなに逢いたければ、失った腕を探して来て欲しいと書かれている。
築宮は令嬢に司書の過去について教えてもらい、渡し守が司書の腕を奪ったという話を聞く。
築宮は渡し守に腕を返すよう頼んだが、すげなく断られる。
それでも引かない築宮に、渡し守は辛辣な言葉を浴びせ続ける。
つい怒りで我を失った築宮は、渡し守に飛びかかり、偶然に渡し守を殺してしまう。
舟の上で呆然としていた築宮がふと気づくと、渡し守の舟は川に流されてしまっていた。
周りには水ばかりで、陸にも旅籠にも帰れない。何故か、川の水が固まったせいで水も飲めなくなる。
疲れと餓えで朦朧とした築宮に、渡し守の幻聴が聞こえる。食べ物も飲み物も、築宮の側にあるのだと。
築宮は幻聴に言われるまま、短刀を手に取り、それを渡し守の胸に突き立てる。
飢えた築宮は、渡し守の血と肉を夢中で貪った。そうして築宮は司書と同じ、人食い鬼となった。
244 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:55:11 ID:MEWVIsVx0
築宮が我に返ると、そこは舟の上で、目の前には渡し守がいる。
どうやら渡し守の見せた幻だったとわかるが、築宮が自分の意志で人を食べたのは変わらない。
渡し守は築宮に、本当の意味で鬼を愛する覚悟をして欲しかった。去り際、渡し守は以前渡した
懐中時計の短針こそが司書の腕であると言った。
図書室に向かうと司書がいた。短針を渡すと、見る間に司書の腕が元に戻っていった。
腕を取り戻した司書は喜んで、もう築宮を食べないと我慢ができないと迫る。
→BAD
拒絶するとBAD。司書は悲しんで旅籠を去ってしまう。築宮も旅籠を去り、そして病院で目を覚ます。
旅籠の事をすっかり忘れた築宮は、渡し守と顔だけそっくりの姉に、車で迎えに来てもらう。
そして築宮は、厳格で完璧すぎるこの姉からは決して逃れられないのだと、何かを諦めてしまう。
→GOOD
受け入れるとGOOD。人ではなく鬼となった築宮は、食べられる前に司書の首を噛み血を啜ってしまう。
その行為で互いの飢えが消えたことで、二人は共に生きていく道を見つける。
そして時が経ち、図書室には司書が二人いた。築宮は記憶を捨てた代わりに、鬼女という連れ合いを得たのだ。
渡し守は築宮を、清修と親しげに呼び、幸せを祈って舟を漕ぎ出す。その口ぶりはまるで肉親のようだった。
291 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 21:40:38 ID:uwxmueTQ0
【琵琶法師ルート】
築宮は偶然見つけた温室で【琵琶法師】と出会い、いつの間にか付き合うようになる。
初めてHをした後のこと。築宮が目を覚ますと、法師が外で琵琶を弾いていた。
異様だったのは法師を取り囲むように、黒い妖怪が群れている事。
しかし法師が琵琶を弾いているため、体に触れないらしい。結局それは何もせずに去っていく。
黒い妖怪を見てから数日後、築宮は夢を見る。夢の中で築宮は熱心に書道を習っていた。
しかし、書道に熱心なのは家に居たくないからで、築宮はそれを姉に見抜かれてしまう。
先生に失礼だと怒られた築宮は、姉への反発心から書道をやめてしまうのだった。
その頃から、旅籠で眠っている客の部屋に黒い妖怪が現れ始める。
それに取り憑かれると、やめてしまった習い事を急に始めるようになる。
その取り組みはあまりにも異様で、ある客はやめたピアノを三日三晩弾き続けた。
大騒ぎの渦中で、築宮は法師の正体が高価な香木の化身だと気づく。
法師が存在する目的が、琵琶の秘曲を探す事だと聞いた築宮は、渡し守から秘曲を弾く条件を聞く。
しかしその条件とは、法師の本体を加工した琵琶を男女ペアで弾くことだった。
香木に傷がつくと怪我をしてしまう法師を琵琶にすれば、死んでしまうのは間違いない。
それを知った法師は、旅籠の地下洞窟【胎内洞】で琵琶になることを望み、琵琶になってしまう。
胎内洞とは心の底に秘めた望みの姿を引きずり出す。そういう曰くつきの洞窟だった。
後を追って胎内洞に入った築宮は、落ちていた綺麗な琵琶を見て絶望する。
292 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 21:41:10 ID:uwxmueTQ0
同時刻、旅籠では黒い妖怪が大量に発生し、旅籠を埋め尽くそうとしていた。
旅籠の全てが黒く覆われる寸前に、築宮が琵琶を手に胎内洞から出てくる。
墨に飲まれかけたとき、琵琶から聞こえる法師の声が築宮を安全な場所へと導く。
その途中、法師はあの黒いなにかの正体が、築宮の未練そのものだと説明する。
中途半端にやめてしまった書道の未練が、築宮を探して旅館を彷徨っていたのだった。
法師はこの騒動を終わらせようと言い、築宮を旅籠の屋根へと連れて行く。
築宮は屋根の上で、法師に言われるままに琵琶を構える。
周りは完全に墨に囲まれて、もう逃げ場はない。そして築宮は琵琶の意志に身を任せて演奏を始める。
人の領域を外れた秘曲は築宮の体の自由を奪い、演奏を繋げていく。
これこそ法師が長い間探し求めてきた、男女が二人でつまびく秘曲だった。
人の妄執の悲しさを歌い、許す歌であるという秘曲によって、築宮の未練が浄化されていく。
そして曲が進むにつれて、法師と築宮の存在も無に近づいていく。
演奏を続ければ、二人とも消えてしまう。築宮はそれもいいかと思い始める。
→演奏を最後まで続ける
BADエンド。築宮は音の一部になって、法師と共に消えてしまう。
そうして時々、法師の家だった場所で琵琶の音が聞かれるようになる。
しかし弾き手はどこにもおらず、琵琶だけがポツンと寂しく置かれているという伝説が残る。
→演奏を途中で止めようとする
GOODエンド。法師は香木であっても、築宮の事を愛していた。
法師は築宮と同時に思いを打ち明けるが、もう誰にも演奏を止めることはできない。
そこで築宮は自分の腕にバチを突き刺す。健まで切れた腕では演奏は続けられず、演奏は止まる。
そうして時が経ち、健を切ってしまった不自由な手で築宮は琵琶を練習していた。
その傍らには下手くそな琵琶しか弾けなくなった法師がいる。
築宮は記憶を諦め、法師と二人でいつまでも旅籠で暮らしていく事を選んだ。
293 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 21:41:46 ID:uwxmueTQ0
【令嬢ルート】
ある晩、記憶が戻らずに落ち込んでいた築宮。令嬢はそんな築宮を、和服Hで慰める。
親しい人がいない令嬢は、よく話をする築宮に恋をした。みたいなフリはあるが
あまりに唐突な淫乱ぶりに、築宮(とプレイヤー)はこう思う。あのフリで非処女なの?
ただ築宮は性格がイケメンすぎて、美人をタダで抱けたからいいやと投げやりに流してしまう。
事後、水路に影のようなものが潜んでいて、行為を覗いていた事に二人は気づく。
令嬢はあれが【ニゴリ】と呼ばれるモノであるとだけ築宮に教えて、帰っていく。
次の日、令嬢は胎内洞の一番奥にいた。そこにある地底湖にニゴリが現れる。
ニゴリは築宮の子を孕むために、もっと抱かれろと命令する。唐突なHはそのためだった。
令嬢は築宮だけはイヤだと反論するが、ニゴリは触手プレイを敢行し、令嬢を黙らせる。
ニゴリの正体は旅籠の一族の怨念である。ニゴリは令嬢の子供を使い、現世に復活しようと企んでいた。
ニゴリの横暴を令嬢は許せないが、旅籠の存続を楯にされると逆らいきれない。
いつになく渋る令嬢を見たニゴリは、手を打つ必要を感じて、策を講じることにする。
ところで築宮は旅籠で既視感を感じる事があった。記憶はないが、以前来た事があるのか。
そう思った築宮は、令嬢に旅籠の地図を借りて、隅々まで探検しようとする。
しかし地図は手書きの一点物しか存在せず、しかも作者不明のシロモノらしい。
複製不可能な地図は令嬢の宝物だった。未来の夫だけに見せたいという令嬢に強くは言えない。
その時、令嬢は何を思ったのか『ダンマリの納戸』という旅籠の地名を口にする。
唐突すぎて理解できないと思った築宮だが、何故かその地名が築宮の記憶を目覚めさせた。
築宮はダンマリの納戸の由来を喋る。驚く令嬢に、築宮は違う場所の詳細も話してみせた。
しかし知っている理由はわからない。
築宮は、ダンマリの納戸を一人で調べてみたら、何かわかるかも。と令嬢に言われる。
翌日、ダンマリの納戸に向かう途中で、築宮は何故か令嬢に出会う。
昨日と言ってることが違ったが、結局二人で納戸に向かう事にする。
同時刻、旅籠は大騒ぎになっていた。女中が殺され、その犯人が死んだ客だったからだ。
旅籠の帳場で死体を調べた令嬢は、これがニゴリの仕業だと悟る
294 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 21:44:35 ID:uwxmueTQ0
一方、ダンマリの納戸。築宮はニゴリを令嬢だと思いこみ、ニゴリを抱いてしまう。
なんとか令嬢に助けられるが、令嬢は一度抱いた女くらい感触でわかれと激しく怒った。
その後も令嬢は築宮を気遣うが、ニゴリに騙された築宮は、令嬢を悪者だと思いこむ。
旅籠を出て旅をしたい。せっかく本心を語る令嬢を、アホの築宮は罵ったりする。
いい加減に怒った令嬢は、ニゴリも手を出せない蔵に築宮を閉じこめてしまう。
監禁が続くうち、築宮は蔵の伝承を思い出す。
開けた人間の望む物。それが入った箱が、蔵にあるはずだった。
中の道具で令嬢の過去を知る築宮だったが、令嬢が悪者ではないと気づかない。
渡し守の協力によって蔵から出た築宮は、旅籠を出たいと願う。
そのころ令嬢は人を集めて、ニゴリ退治を行おうとしていた。
舟からそれを見た築宮は、令嬢が築宮を守ろうと奮闘していたことを聞かされる。
しかしニゴリは怨念の宿った遺骨を壊さないと、倒せない。
令嬢はそれを知らずにニゴリの影だけを倒そうとしていた。
→そのまま旅籠を出る。
司書BADへ
→令嬢の所へ行く。
GOODエンド。築宮は令嬢に謝り、ニゴリがまだ生きていると知らせる。
令嬢は骨を壊そうとするが、令嬢の持つ地図にも墓の場所は書かれていない。
悩んでいると、ふと築宮は、地図の作者が自分だと思い出す。
墓が消えているのは、怖がった築宮が上から紙を貼ったからだった。
地図を確認すると、築宮の記憶通りに墓は紙を貼って隠されていた。
しかし妙だった。地図には築宮以外にも、見知らぬ女の子の文字が書かれている。
結局何もわからず、築宮は令嬢と二人で、地図に現れた先祖の墓へと向かう。
行ってみると、確かに新しい部屋が出現している。ニゴリと対峙した二人は
地図が現実に反映されるのを逆手に取った。地図から墓を切り離し、ニゴリを消す。
時が経ち、旅籠の管理者は二人に増えていた。仕事をする築宮の所へ令嬢が来て
子供が出来たことを嬉しそうに話した。築宮は記憶を捨て、令嬢を守っていくと決めた。
295 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:07:47 ID:uwxmueTQ0
【水の女ルート】
幻想のような物語は終わった。
ここからは他人の内蔵を覗くような、お話ではない舞台裏。
そこで暗躍する渡し守の物語。踏み居ることが許されない、心をくだく物語。(序文の超意訳)
旅籠から人が消えた。築宮は異変の原因がわからず、人を探して歩いている。
誰も見つからない焦りの中、築宮はあの三人の名前を叫ぼうとする。
しかしよく考えると、築宮は誰の名前も知らない。空虚な三人の役名だけが築宮の頭にある。
令嬢、司書、琵琶法師の物語は終わった。役者が舞台を下りたから、誰もいないのでは?
想像して青ざめる築宮は、遠くに水音を聞く。音を頼りに千本鳥居を抜けると、渡し守の舟があった。
渡し守は怒っていた。三人と添い遂げた築宮が、記憶を求めてまた物語を始めたから。
渡し守は築宮に記憶を取り戻させないため、鬼の形相をして追いかけてくる。
無我夢中で逃げる途中、築宮は令嬢がいるのを見つける。
しかし、それは令嬢の姿をした渡し守だった。築宮は捕まり、気を失う。
築宮は令嬢ENDの後日談を見せられる。その後、二人が
もう一人の地図の作者を考えていると、地図を書いたと言う女の子が現れる。
築宮は、泣き出した令嬢を振り切って女の子を追いかけた。
「セイちゃん、地図を作ろうよ。わたしとセイちゃんで考えた場所の、新しい地図」
いつか聞いた声を思い出しながら、築宮は女の子が隠れた部屋を覗いた。
「おっきな建物の地図書いて、部屋のそれぞれにセイちゃんの好きなお話をいれるの」
そこにさっきの少女と、幼い築宮が座って地図を書き込んでいた。
「わたしもどこの部屋に誰が住んでるとか考える。それなら二人でもできるじゃない」
因果は逆だった。あの二人が地図を書いたから、旅籠が生まれた。
事実を悟った築宮の側に、突然令嬢が現れ、とつとつと語り出す。
幼い築宮には、少女しか友達がいなかった。空想好きな築宮は地図に夢中になった。
しかし築宮に他の友達が出来始めると、地図に触ろうとしなくなる。
それでも少女は一人で地図を書き続けた。それだけが築宮との絆だったから。
旅籠とは少女の想いの結晶。令嬢は語り終わると、渡し守の姿に変わる。
296 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:16:04 ID:uwxmueTQ0
これ以上、少女の想いは見せられないという渡し守。
気を失いかけたその時、短刀を構えた本物の令嬢が現れる。
令嬢は、築宮に少女を追うように言う。
激昂する渡し守ともみ合う令嬢を背にして、築宮は少女を追いかけようとする。
しかしすぐに琵琶法師が現れる。安堵して気を失う築宮だが、法師は渡し守だった。
法師の家で、築宮は大掃除をしていた。腕の傷もあって、器用にこなせないこともあるが
生来から不器用な法師と、足りないところを補い合う生活はなかなか楽しいものだった。
そんな二人の前に少女が現れる。築宮は少女の眼に深い愛を感じ、心を揺さぶられる。
側には渡し守の擬態した法師がいたが、築宮はそれを振り切り、少女を追う。
追っていった先で、築宮は過去の情景を見る。
そこでは築宮と姉が向き合っていた。築宮はうなだれて門限を破ったことを謝っている。
姉は氷のような表情をしながら、厳しくも優しく築宮を諭している。
築宮の姉はいつもそうだった。築宮が悪さをすると、まず築宮の目をじっと見つめて
それから優しい言葉で築宮を諭す。
決して頭ごなしに怒るようなことはしない。築宮を深く理解し、身を案じて怒る。
築宮は、そんな姉に向けられる信頼が深ければ深いほど
自分はそれに足る人間ではないと思い知らされて、耐えられなくなるのだった。
築宮は突然現れた法師に、姉が嫌いではなかったと告白する。
姉は築宮にうるさく言う以上に、自分を厳しく律していた人だったからだ。
法師(渡し守)は、築宮の記憶を奪ったのが自分だと宣言し
今度は築宮の人格そのものを消そうとする。
そこに涙を流しながら、本物の法師が飛び込んでくる。
法師は渡し守に抱きつき、築宮が大事なのに、大事にできないなんて可哀想だと泣いた。
その涙に優しい渡し守が戻る。渡し守は法師に、築宮を永遠に手放してよいのかと聞く。
法師は自分のではなく、築宮の幸せを願った。その言葉で、渡し守は築宮を逃がすと決めた。
しかし築宮には、渡し守が邪悪な顔を取り戻して、法師に拷問する様子が全て見えていた。
297 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:17:22 ID:uwxmueTQ0
法師が死ぬまでその拷問を見せられ、憔悴した築宮はとうとう倒れ込んでしまう。
そこに司書がやってくる。二度も騙された築宮は、これも渡し守だと疑う。
しかし飄々とした物言いは司書そのものだ。築宮は信じるが、やはりそれは渡し守だった。
司書の後日談のあと少女がやって来て、築宮は少女を追う。その先で、また過去の情景を見る。
今度は築宮が姉に対して、怒声をあげて怒っていた。
築宮は今まで口に出さなかった、姉の完璧さに対する批判を口にする。
姉に叱られるたびに惨めになると告白する築宮に、姉はやはりひたむきな信頼を向ける。
そして築宮はこれが、就職に失敗した自分が姉に八つ当たりした場面だと思い出す。
築宮は姉に自分の人生を生きて欲しいという本音とは裏腹に、心ない言葉を浴びせてしまう。
いたたまれなくなった築宮は、家出をして酒に入り浸る。
そして酔った築宮は、はずみで河に転落し、渡し守に助けられることになった。
そこに司書の姿の渡し守が現れ、築宮を殺そうとする。そこに本物の司書が現れる。
司書は義手で渡し守を押さえつけると、築宮にあの懐中時計を出すように言う。
渡し守の持ち物を持っているから、渡し守に追いかけられるのだという。
司書は時計の針から両腕を取り戻し、築宮に少女を追いかけるように促す。
築宮の去り際、いつか私たちに名前をつけてくれると嬉しいと告げた。
司書が壊した懐中時計には、渡し守の過去も一緒にしまってあった。
千本鳥居を時計の導くままに行くと、過去の情景が次々と蘇ってくる。
学生時代の築宮が、友人を家に呼び宿題をやっている。
滅多にない女子との会話に胸が躍る築宮。事件が起きたのは、築宮が席を立ったとき。
部屋を出た築宮は、柱の影から姉がじっと部屋を監視している姿を見てしまう。
姉は、築宮への厳しさの裏に変質的な愛を内包していた。
姉は女子と一緒にいる築宮を監視し、その生き生きした態度を見て嫉妬していた。
偶然で築宮の唇が女子に近づくと、その相手が自分であったらと想像し、胸を熱くする。
監視がバレてから、部屋に戻った姉は泣いた。築宮が自分の想いの一端を知ったことが嬉しかった。
298 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:18:11 ID:uwxmueTQ0
築宮は姉に激しく怒られていた。間違えて、姉の裸を見てしまったためだ。
姉は性的なことがらが絡むと、決まって頭ごなしに怒鳴った。
築宮は心底反省し、もうこんなことはないと誓わされる。その裏で。
一人になった姉が、狂おしいほどの情欲に駆られていた。
必要以上に怒ったのは、見られて興奮していたのが、他ならぬ自分の方だったからである。
気持ちを抑えられずに一人で自慰を始める姉は、もう一息で処女膜を破りそうになる。
すんでのところで押し止めた姉は、自分の手を縛って、涙を流し続けた。
姉のどろどろした気持ちを知って、築宮自身も姉を望んでいたことを知る。
しかし、昔の姉はあんな風ではなかったはずだ。
少女の頃、築宮と一緒に地図を書いたあのころは、こんなに厳格な姉ではなかった。
まだ秘められた何かがあると知った築宮は、千本鳥居を抜けて、胎内洞に入っていく。
そして、記憶の最後のひとかけらを見つける。
ある日、まだ幼い築宮と少女は両親を亡くしてしまう。
頭のよい少女は、葬式に集まってくる親類を見て、彼らの考えを見抜いてしまう。
きっと親戚達は遺産目当てで、自分たちを引き離そうとする。
何よりも大事な清修を、遺産しか頭にない大人たちになど渡せない。
そう思った少女は、密かにある決意をする。
遺産を巡って争う親戚を尻目に、少女は築宮の手を引いて夜中に家を抜け出した。
そして二人の家の側にある川へ着くと、少女は旅籠の地図を川に流そうとする。
築宮は少女が地図を大切にしていたのを知っていて、どうしてそれを捨てるのかと聞く。
「大切な地図を持っていると、きっとセイちゃんに甘えてしまう。
だからこの地図は、子供のわたしと一緒に流してしまわないといけないの」と少女は言う。
そうしないと、大人達に離ればなれにされてしまうと少女は思った。
築宮と一緒にいるため。少女は子供である事も、築宮に甘えることもやめてしまった。
そして、築宮に嫌われることになったとしても、築宮を立派な人にしてみせると宣言する。
【みづは】と姉を呼ぶ築宮。みづはは築宮に、姉さんと呼ぶように厳しい口調で言った。
そうして二人は離ればなれにならないと約束をする。
299 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:21:58 ID:uwxmueTQ0
結局、二人は引き離されないで済む。
二人がそれぞれ引き取られる予定の家が、全焼してしまったためである。
その後、親類の中では善良な男が後見人となり、二人は生家で暮らせるようになる。
もちろん、全てはみづはが裏で手を回したことだった。
築宮は記憶を全て取り戻し、以前は知らなかった姉の秘めたる想いも知った。
涙を流す築宮の目の前に、みづはの顔の半分が流れてくる。それはみづはの想い。
あのとき川に流した地図も、一緒に流したみづはの想いも、ここに流れ着いていたのだ。
追いついてきた渡し守が、自分は築宮を見守り、手助けするための存在であると告白する。
つまり築宮に嫌われていると思っているみづはが、素直に気持ちを表すための媒介だった。
令嬢、司書、法師、幼女みづは、渡し守。全てが、姉の心のペルソナのような存在だと
知った築宮は姉を心から抱きたいと思い始める。ここで選択。
→ここでは渡し守を抱かない
築宮はみづはを抱くなら、現実の世界がいいと告げて、現実に戻っていく。
現実に戻ると、向こうから凄い勢いで駆けてきたみづはが、築宮をグーで殴った。
くまのできた目元や、泥にまみれた服装、泣きそうで必死な表情を見て、築宮は嬉しく思う。
築宮はみづはと一緒に朝焼けの街を歩く。家に帰ったら、みづはに想いを告げようと思いながら。
→このまま渡し守を抱く
みづはは築宮を探すうち、ついに体が動かなくなり、公園で座り込んでしまう。
みづはは、いつになく築宮を遠く感じてしまい、気が気でない。
命を捨てても築宮を見つけ出したいと願うみづはに、ふと築宮の声が届く。
そしてみづはは現実から消えた。
胎内洞では渡し守の意識が消え、体がみづはのものになった。そして二人は結ばれる。
事後、みづはは二人で旅籠に残る事を拒絶して、築宮だけ現実に戻らせようとする。
みづはの想いが通じた今、戻ってしまえば、みづはは築宮を完全に束縛してしまう。
それを嫌がったみづはは、胎内洞の水で旅籠と自分を沈めることを選ぶ。
沈んでしまった旅籠を前に、築宮はみづはを探して水に潜る。
深い水の底で、築宮はようやくみづはを捕まえた。
そして二人は水の底に沈んだまま、いつまでも二人で抱き合っていた。
300 名前:霞外籠逗留記[sage] 投稿日:2009/04/18(土) 22:30:07 ID:uwxmueTQ0
霞外籠逗留記、以上です。
規制のためにずっと書けなくて申し訳ありません。
かなりレベルの高い読み物であるため、要約すら満足にできませんでした。
スジを知ってても楽しめると思いますので、興味を持った方は是非購入を。
以下、超短縮のストーリーを載せておきます。
■司書ルート
司書は人食い鬼です。彼女は愛した男を食べるので、生涯の伴侶がいません。
主人公は食べられてもいいやと突っ込んで、結局、自分も人食いになります。
そして二人はタコみたいにお互いを食べて平和に暮らす鬼になりました。
■法師
法師は実は木の精霊です。彼女は琵琶が好きで、琵琶の秘曲を探していました。
実はその曲を弾くためには法師が琵琶になる必要があり、結局なってしまいます。
秘曲を弾いて世界を救ったあと、二人で平和に暮らしました。
■令嬢
令嬢の一族の幽霊、ニゴリは女を産む機械だと思っています。
本当は誰でもいいのですが、令嬢を虐めるため、わざわざ好きな男に子作りさせます。
しかし、そのせいで令嬢の余計な反抗を招き、滅ぼされました。
■みづは
幼い姉はえらく可愛いのですが、大人の事情で厳しくなってしまいます。
そんな厳しい姉がイヤで家出した主人公。川に落ちて死ぬものの、奇跡で助かります。
色々あって姉が変態であることを知りますが、主人公も変態なので問題ありませんでした。
不思議な力で現実に戻ったり、姉を召喚したりして、二人でイチャイチャしました。
2009年05月14日(木) 22:00:25 Modified by esosmw658