ゲーム感想文@Mind Reaper

2003/06/11(Wed)
 えと、なんとなく買いました。
 どれくらい「なんとなく」だったかというと、金欠から近所のぱそげー屋に某ソフトを売り払いに行き、そこでいつものようにオッチャンと話をしたり新作ソフトの物色をしていた時に見かけただけというくらい。(笑)
 なんか箱見てスタッフ見たらシナリオのところに「嘘屋 佐々木酒人」とか書いてあるじゃないですか。
 逸脱ですよ、逸脱。
 逸脱の後にシナリオをやっていた"誕生日"も設定がバカっぽくて普通じゃない話だったらしいので、普通の意味で真面目なシナリオなんて絶対に作らない人なのかと思っていたら、このMind Reaperはやけにシリアスゲームに見えるじゃないですか。
 シリアスなお話も作れるのこの人??
 などと本気でショックを受けたのでそのまま購入して帰った次第です。
 金が無くてゲーム売りに行ったのに売った金額以上使ってゲーム買ってどうするんだこの人?
 というかせめて事前チェックくらいしろよとかツッコミ入れられても弁解の余地がないわけでして、むしろ事前情報無しの博打(確実に破産するタイプだけど)の楽しさがここにあるのです。
 あー、なんか苦しいこと書いてるな....
 でもいつもこんななんで今更変えられるものでもないのですよ。

ちょっとだけ解説
Ivoryが制作してJanisが5/16に発売したえろげー。
シナリオ重視のシミュレーション+読み物ゲーム。
シナリオ書きの一人に逸脱の人が参加しているそうです。
突発性の集団暴力を発生させる"Mind Reaper"と呼ばれる能力を持つ能力者、そしてそのMind Reaperの能力に耐性のある超能力者"アンチ・ボディー・キーパー"が存在する世界で
最近能力に目覚めた主人公が研究目的で能力者を誘拐する組織と戦うお話です。
落とせるのは姉、無口、バカロリ、はねっ返り、気弱な後輩という5名様。


 しかし"Mind Reaper"というタイトルから勝手にOmar SantanaさんのMind Ripperを思い出してみたりしてしまいました。
 そんなのは私だけですね。ごめんなさい。

 普通にシリアスなゲームでしたよ。
 まあそれも理由があるみたいで、メインでシナリオを書いている人がいて、嘘屋 佐々木酒人氏はその補助(主にHシーン担当ですかね?)という感じだったみたいです。
 本人の個人サイトを見たらそんな感じで書いてありました。
 それならこのシリアスなシナリオにも納得。
 …なんか勝手に決めつけているのはよろしくないような気がしますが、まあ私の個人的な印象ということで。
 お話は普通にまともで、アンチ・ボディー・キーパーという一種の超能力の才能がある主人公が陰謀に巻き込まれて行くようなヤツで、ものすげー簡単に話の展開のしかたを書けば、映画「トータル・リコール」とかで使い古された内容だったりします。(アレとは立場が逆ですが)
 つまり今の自分は自分じゃなくて、自分が味方だと信じていたものがそれも作られた記憶に過ぎなくて、それは組織の陰謀で、本当の自分は……みたいなお話。
 そこにそれぞれ思惑の違うヒロイン5名様が絡んで落とせるようになっている、と。
 まあシナリオはそんなものです。
 シリアスなだけで驚くほどに意外性がなかったりするんですけど、別に話自体は使い古されていることに不満を持たなければつまらない訳じゃないのでそんな悪くもないかと。
 基本はあくまでシミュレーションゲームですからね!

 ということでシミュレーションゲームとして遊べるのかという点に行くわけです。
 これもまあ…普通…かな?
 決定的に難易度が低いこと、一度クリアすれば戦闘スキップが可能になること、一度負け無しクリアすれば全戦闘スキップまで可能になることなどを総合すると、あまり戦闘に気合いを入れているようにも思えないのですが....
 一応戦闘を楽しませる要素として必殺技探しがあったりもするのですが、何にしてもシステムがあまりおいしくないんですよね。
 先に挙げた難易度が低いのもあるし、戦闘アニメーションが正直全然おもしろくなくて新しく出し方を知った必殺技もどんなことをやるのか一度くらいアニメーションを確認しようという気にすらならなかったです。
 それに戦闘スキップで損することが何一つないんですよ。
 それなら戦闘もスキップしたくなるというものです。
 「ゲームとして楽しいか」は戦闘スキップできるけどそれをせずにプレイさせられる魅力の有無かと思うので、とてもじゃないけどそれを満たしているとはいえないですな。

 そうそう、シミュレーションパートを遊ばせるための動機付けがうまくいっていない部分として、ゲームクリアできなかった時のHシーンもありますね。
 これもやっぱり負けなしクリアで全部閲覧できるようになっちゃいます。
 だから無理に戦闘をする必要もなくて、しかも全部の戦闘をスキップしてクリアしても全シーンONが選べるようになってしまうという。
 もっといただけないのは戦闘スキップ機能で、普通こういうのって使わない方が主人公のレベルを上げられるとか色々特典があるじゃないですか?
 でもこのゲームの場合戦闘スキップした方が主人公のレベルが高くなるんですよ....
 そりゃだめだろ、と。

 それと負けるとHシーンが見られるタイプ(これまたありがち)はシミュレーションゲームのご褒美としては美味しくないような気がするんですよね。
 クリアでご褒美というタイプじゃなくて負けると罰ゲームという考え方なのはどちらの方がいいのかよくわかりません。
 分かることとしては「罰ゲーム扱いなら組み込むの楽だよね〜」ってことですか。
 その分かなりムチャできるのが強みなのかもしれませんが。
 とりあえず、罰ゲームなHシーンは「相手の精神に致命的な打撃を与えて超能力を発動させないようにするための陵辱」という設定なので、そういう嬲り方にグッとくる人間にはかなり素晴らしく見えるかも。
 「任務完了、廃人確定!」みたいなのばかりだし。
 嘘屋の人の本領発揮ですか。
 でもこれがまた新キャラが仲間に入った直後の戦闘でHシーン見るとそいつの正体が思いっきりバレるセリフを吐きまくりでなんだかなぁ…という気分にさせられるのは大いにマイナスなんですよね....


オレ結論

 簡単に結論づければ「何を訴求点にしたかったのかがよくわからない」ということですかねぇ?
 私の場合は嘘屋 佐々木酒人氏ってのがありましたけど、それ以外は?
 シミュレーションが遊びたかった人には限りなく淡泊で、シナリオに興味があった人でも蒔かれた種の刈り取り先が容易に読めるように作られているおかげで
意外性が薄いから読み進める楽しみっていうのがそれほど強くはないと個人的には感じましたし、それ以外だとHシーン?
 うーん、なんだか全体的に部品一つ一つの精度がちょっと甘い感じ。
 雰囲気崩さずきっちりと作られているとは思うけど、それ以外にセールスポイントがないような気が。
 何が足りなかったんですかねぇ?
 作ってる人たちの精神的な何かですか?
 どうしてわざと話の展開が分かるようにご丁寧に直前にデモを入れたりしてくれるんでしょう?
 例えお約束でも見せ方次第でいくらでもごまかせると思うんだけどなぁ....

 なんかとても微妙なことしか書いていないような気がしますが、遊ぶ分にはそんなにつまらなくはないですよ多分。
 どのエンディングもあまり救われていなくて、それが長く続かないことがわかっているけど今だけは穏やかに暮らそう、というような終わり方をするのもけっこう悪くないと思いますし。
 ちょっとレンガの家を組み立てたらやけに不格好だったというだけですので。


関連Website
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