アネもネ


 

仕様 評価
対応機種 WIN システム

8点

ブランド名 PINE シナリオ

5点

ジャンル THE SPACE "CHONAI" ADVENTURE 萌え萌え

9点

    せつなさ

8点

    素薔薇さ

6点

 


 ワゴン、それはゲーマーに残された最後の開拓地である。そこには人類の想像を絶する新しいジャンル、新しいストーリーが待ち受けているに違いない。と言う訳で、某大作戦の様に、今日も今日とてワゴン漁りに精を出していると、とあるゲームが目に付いた。

 パッケを見ると、
 この物語は、正義の宇宙人から地球の運命を託された主人公と、キレイなお姉さん達とが織りなす壮大なスペース町内アドベンチャーである。
 の一文が。壮大且つ町内、この矛盾をものともしないバカゲーワード、それに加えてワゴン品となれば、購入することは、もはや必然だろう。

 という事で早速、ゲームの本題であるストーリーに入ろう。このゲームの主人公「神宮寺弘士」は、義姉が五人もいる事と、家が大きな事を除けば平凡な学生であった。しかしある日、道で行き倒れになっているM78星人(それも赤と銀のスーツにカラータイマーまで見える)を助けたことから、非日常の世界に突入してしまう。この死にかけたM78星人に、主人公は、地球に降り立った侵略を企む悪の宇宙人を見つけだし、地球から追い出すことを託されてしまうのである。

  無論、一介の地球人である主人公が悪の宇宙人を発見・追放することは不可能なので、正義の宇宙人は、ある宇宙道具を渡してくれる。だが、この品物、名前が「悪の宇宙人スキャナー君」。そう、この宇宙道具は、変身アイテムではなく、探知機器なのである。それでも、こいつ(スキャナー君)には知性もあり色々と相談できて非常に便利な事がせめてもの救いではあるが。

 そして、このスキャナー君の探知によると、何と悪の宇宙人は主人公の家の中にいるというのだ。という訳で、地球の平和を守るため=家族の平和を守るためという展開になってきて、町内どころか半分は家の内で宇宙人とのアドベンチャーを繰り広げることになるのである。

 そんな訳で、話上、重要になる主人公の家族構成について説明しよう。
 父親 現在、外国旅行中らしい。実は、この家の子どもは、全員彼が施設等から引き取った養子なのである。
 母親 既に鬼籍に入っている。
 長女=壱美 巫女さんで、家の中心的人物。性格は天然ボケ。
 次女=双葉 主人公の学校の物理教師。ちょっとキツイ所あり。
 三女=三樹 家事全般を司る補給線担当。引っ込み事案で気が弱い。
 四女=四乃 主人公の上の学年のスポーツ少女。口よりも先に手が出るタイプ
 五女=五百菜 主人公より年上ながら小さな姉。ちょっと頑張って姉をしている感もあり。
 六女=Pちゃん 正式名称PCLX-0006YX-Vol-kr(戸籍上でもこうなっている)。犬や猫の耳に似た変な金属が頭についたてり、ジーとデジタルカメラが焦点を合わせるような音をさせて物を見たりする個性的な姉。
 猫 三樹姉さんが最近餌をあげるようになった半野良の猫。

 ・・・・・・おいおい、先程、五人の義姉がいると書いてあったのに、何で姉が六人もいるんだと思うかもしれない。でも、いるんだから仕方がない。しかも、主人公にはどの姉に対しても記憶があるのだ。でも、姉が五人であったという記憶もあるわけで、非常に混乱してしまう。

 そんな、どう見たって「Pちゃん」は変だろう! そう突っ込みたくなるのは分かる(だが、本当に怪しいのはアレだ)。しかし、このゲームの人間は、誰一人として、明らかにロボっ娘に見えるPちゃんには突っ込まない。それは、もう『魁!!クロマティ高校』のメカ沢新一クンと同じ状態になっているのだ(しかも登場当初の頃)。

 他の人間は完全に何があっても変だとは思わず、他の人間より多少はマシな判断ができる主人公ですら、「見た目で判断してはいけない」と自戒する毎日。流石に、これは変だろうと、ネコ耳を突っ込んでみれば、家族には「もう、ひろちゃん、いくら相手がお姉さんでも、年頃の女の子にむかってそんなこと・・・・・」とか、「ひろちゃん。あのね、興味がある年頃だとは、思うの。ひろちゃんも男の子だし」とか姉達に赤面して言われてしまう。しかも、それで、すごすごと主人公も引っ込んでしまうのだ(弱いぞ、お前)。

 まあ、自分の記憶に疑問を持ってしまうと、物事の正確な判断がつかない事は分かる。しかし、そこは理論的思考で正しい判断を下して欲しいものだ。

 しかも、スキャナー君に、宇宙人は地球の大気に順応する為に睡眠状態に入って「定着機能」を使う必要があるので、24時間連続で起きていることが出来ないと、非常に重要な情報を聞いているのだから、これを有効利用して欲しいものだ。それなのに、主人公は、地球の危機というのにラブコメ的展開や、家族を疑うことのやましさに行動が鈍るばかり。もう少し頭を使って、何とか、せめてP姉ちゃんだけでも早期に宇宙人でないことを証明して欲しかった。

 まあ、スキャナー君によると、P姉ちゃんのアレは地球のテクノロジーの産物なので悪の宇宙人とは関係ないとまで言われてしまっているので、それに拘泥するのは、時間の無駄と言えば時間の無駄なのだろうが、宇宙人どうこうは置いておいても、どう見ても姉が増えている原因はP姉ちゃんにあるのは分かるだろうから、これ位は自分でさっさと決着つけろ!

 正直言って、この辺りのウダウダした展開は、バカゲー好きの自分としては不満だった。確かに、主人公の家族に対する思いというのは、しっかりと描かれているが、これも数人の姉をクリアする頃には、毎回同じ様な流れで飽きてしまう。このゲームには、スタートダッシュに負けないガンガン凄いノリの方が合っていると思う。

 他にも、欠点を挙げるとすれば、まずはCGの塗りが2003年発売のゲームにしては非常に甘い。背景もデジカメ画像をCG化するつもりだったのだろうが、作業時間が足りなかったのかCG化されたのは一部だけで、背景の多くがデジカメのまま。これ、自体は、まあ許されることだが、このゲームの舞台である神社の背景までデジカメ画像なのは、かなりヤバイのではないか? いや、スタッフの誰かの実家とかで正式に許可をとっているなら兎も角、そうでなくでエロゲーに勝手に神社の写真を流用するのは、かなり罰あたりな気が・・・。

 他に、自分は気にならなかったが、あまり姉ゲーとしては期待しない方が良い。一応、ジャンルはHP等では「姉萌え1000%AVG」ということになっているが、箱には「THE SPACE "CHONAI" ADVENTURE」としか書かれていないし、そこは最近流行りの年上ゲーの走りとして許してやって欲しい。

(タコマロ)


1