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ピアソン加首相「一つの国から二つの異なった音色が来る」

2013-01-04 07:34:00配信 コメント : 0
タグ: 孫崎享  推薦図書 

『カナダの教訓』は、日本外交の展開の上でカナダから学ぶ点を捜したものである。
 その最たるものはピアソン元首相である。
 
ピアソン元カナダ首相のノーベル賞受賞スピーチは今日でも我々が学ぶべきものである。
「今日の世界は、もはや、戦争によって防衛しうるものではない。戦争が政治の一つとして使用されるなら、それは全面戦争になる。平和は、力によってではなく、紛争の源を絶つことにより達成される。
 残念ながら、過去きわめて容易かつ頻繁に人々を戦争に駆り立ててきた。人々も政府が平和的すぎると批判してきた。人々が理解しあえなくて、どうして平和が達成されよう。残念ながら、人々は闘いを行うに容易に意見の一致をみ、平和を求めるに。意見の一致がより難しい傾向がある。
 普通は平和な人間が集団的感情の高ぶりの下で野蛮になる。我々は何故このような現象が生じるか知らなければならない。実はこの認識は自分にとって、ある日、劇的に起こったのである。
 第2次世界大戦中のクリスマス・イブの晩、自分はロンドンにいた。突然空襲警報のサイレンが鳴り、音はやがて対空射撃のものに変わった。その間、爆撃の落ちる不気味な音がした。爆弾の幾つかは、自分の部屋の近くに落ちたようだった。自分はベットの中で本を読んでいたが、気を静めるため、ラジオのダイヤルを回した。『クリスマスキャロル』の美しい、平和に満ちた音色が部屋に充満した。その音は戦争の音をかく消した。そしてアナウンサーの声がした。それはドイツ語であった。『クリスマスキャロル』を流していたのは、ドイツのラジオ局であったのである。ナチの爆撃は、戦争と死を告げつつ、響き渡る。他方、平和と救済のメッセージを込めて、音楽が響く。我々は一つの国から、二つの異なった音色が出るという矛盾を解決した際、平和と戦争の問題を理解し、解決しうる立場にたてるであろう。


 

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元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラーとなり、ツイッターのフォロワーも5万人を突破しました。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、ツイッターにさらに情報を加え、最低でも週1回発行します。月額105円。【発行周期】不定期。高い頻度で発行します。
著者
孫崎享
プロフィール
孫崎享(元外務省・国際情報局長)元外務官僚で、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を経て2009年まで防衛大学校教授。7月に発売された『戦後史の正体』は9月時点で8刷20万部の売れ行きとなった。ほかに『日本の国境問題-尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書)などがある。ツイッターのフォロワーは5万人を超えた。
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