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政治
【正論】年頭にあたり 京都大学 原子炉実験所教授・山名元 原発政策を現実に引き戻す時だ
≪国家責任と国際視点が不可欠≫
国の責任については、「原子力安全確保と国益確保に関わる国の責任」の明示が必要である。国策と称しながら民間に全ての責任を負わせるだけでは、国民の信頼を得られないし、国全体の連携が揺らぐ。国際的視点では、国際情勢や資源展望の分析、主要国のエネルギー戦略の分析、日本の世界への影響の分析-の3つの分析的取り組みの強化を期待したい。
日本のエネルギー戦略は、国際的競合や地政学的リスクの中で打ち立てられるべきものであり、例えば、日米同盟の強化や隣国の主権問題とも深い関わりを持つ。この点を軽視してはならない。
立地地域の尊重はエネルギーの安定供給確保の前提であり、エネルギー消費地と生産地の相互依存関係を軽視してはならない。
政府内の統合的ガバナンスの強化とはエネルギー関連行政組織の統合的な運営の強化を意味する。原子力と他エネルギー源の連携、廃棄物対策、関連する技術開発、国際問題などについて、政府内の強い統合的なガバナンスが必要である。原子力委員会の役割の見直しも、これに深く関係する。
国民の信を得た政権であるからこそ、この政治主導が可能なのだが、自公政権が旧態的な性格のままでは、実効的な政策更新に至らない可能性もある。自公政権の再生から始まる「堅実なエネルギー政策」の再生を期待したい。(やまな はじむ)
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