勧酒(于武陵)
勸酒 (
酒を
勧む)
于武陵
- 五言絶句。巵・辭・離(平声支韻)。
- 勧酒 … この詩は、『全唐詩』巻595、于武陵の詩として収録されているほか、巻600、武瓘の詩としても収録されている。字句に異同はない。
勸君金屈巵
君に勧む 金屈卮
- 金屈卮 … 曲がった把手のついた、黄金のさかずき。
滿酌不須辭
満酌 辞するを須いず
- 満酌 … さかずきになみなみと酒をつぐこと。
- 不須 … 「~(スル)ヲモチイズ」とよみ、「~する必要はない」と訳す。
- 辞 … 辞退。
花發多風雨
花発いて 風雨多し
人生足別離
人生 別離足る
この詩には井伏鱒二の名訳がある。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
(井伏鱒二『厄除け詩集』)
なお、「ハナニアラシノタトヘ」とは「月に
叢雲、花に風(=嵐)」のこと。とかく物事には邪魔が起こりやすいことのたとえ。