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頭で念じればコンピューターが動く…「カンタン革命」が進行中

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2013/1/2 7:00
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 BMI研究の第一人者でもあるATRの脳情報研究所長の川人光男氏は「BMIハウスはビッグデータやICT(情報通信技術)と組み合わせることで、新たなイノベーションの中心を担う。産業への応用を進めれば、脳科学自体も発展する」と期待を寄せる。

 川人氏は09年、ホンダ、島津製作所と共同で「二足歩行ロボット『ASIMO』を念じて動かす」という実験を成功させた。「13年以降、BMIは夢物語ではなく医療用分野で存在意義がはっきりしてくる。アプリケーションの数も飛躍的に伸びており、将来は自宅の健康機器のように、誰もが扱える汎用的な技術に育てたい」という。

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 人と機械をつなぐユーザーインターフェース(UI)時代によって形を変えてきた。パンチカードなどでデータや命令を入力する方式に始まり、1990年代以降はマウスとカーソル、アイコン(絵文字)で操作する「グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)」が主流に。07年には指先でタッチすることで簡単かつ直感的に扱える「iPhone」が登場してユーザーの裾野は広がっている。

 ここにきて「GUIの進化は、一種のプラトー(停滞)状態に入った」(自動車や家電メーカーなどのUIを手掛けるタクラム・デザイン・エンジニアリングの田川欣哉氏)という。GUIだけでは、劇的な操作性の改善が望めないからだ。

 だからこそジェスチャーや音声、視線検知など、人が機械に触れることなく「対話」できる技術の開発が進んでいるわけだ。そして、指や発声などをつかさどる脳から直接その指令を読み取り、機械などの制御につなげようというのがBMI技術だ。

■500種類以上のメッセージを脳波で伝達

ATR内での外骨格ロボットBMI制御実験の様子=ATR脳情報研究所提供
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ATR内での外骨格ロボットBMI制御実験の様子=ATR脳情報研究所提供

 12年12月中旬、東京・武蔵村山市の村山医療センター。胸から下が動かない患者を対象にした新たな実験が始まった。ATRが開発した「外骨格ロボット」を装着してもらい、患者が「右」「左」と念じると、その脳波情報に応じてロボットの6関節の駆動装置が動き、歩行や立ち上がりを支援する。脳卒中や脊椎損傷などで体にまひが残る患者の神経の回復を促すリハビリテーションに役立ててもらう狙いだ。

 ATRの野田智之研究員は「この実験は第一歩のスタート。患者さんの体の一部として安全・快適に動かせるかどうかなど課題はあるが、5年以内には実際の回復訓練に活用できるようにしたい」と話す。

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