知人から勧められて読んだ一冊。面白くて止まりませんでした。これは名著です。読書メモをご共有です。
梅原大吾という存在
・僕がゲームを始めたのは姉の影響だ。7歳上の姉の存在はとてつもなく大きく、弟の僕は姉のすることなら何でも真似をしていた。姉がゲームをしているのを観て、自分もやりたいと目を輝かせた。5歳の頃、家にあったファミリーコンピュータの「スーパーマリオブラザーズ」が、最初に遊んだゲームソフトだ。
・かなり早い時期、たぶん小学二年生の頃には「このままじゃいけない」と思っていた。自分の生き方に対する違和感、危機感のようなものを感じていた。「やべぇやべぇ、このままどんどん年を取って、可能性がなくなっていく」。
・父は、自分自身がやりたいことをやりきれなかったという無念と後悔から「もしお前が本気でやりたいことがあるんだったら、いくらでもサポートしてやるから何か見つけて徹底的にやれよ!」そんなことをいう親だった。
・(中学生時代)「俺は部活もしなければ勉強もしない、代わりにゲームをしている。それならば他の人間が部活や勉強に注いでいるのと同じくらい、いいや、それ以上のやる気と情熱を持ってゲームに向き合わないと、あまりにも格好悪いじゃないか」。対戦相手が10時間やるなら、僕は30時間やる。相手が100時間やるなら、300時間だってやり続けてやる。そんな覚悟だった。
・14歳で日本一になり、17歳にして世界一になった。
・23歳の時「俺はゲームで何かを人に伝えることはできないんだ…」と諦め、ゲームの世界から離れた。そして麻雀の道に進んだ。
・師匠を見つけ、3年で麻雀はトップレベルの実力にまで辿り着いた。しかし「このままやり続けても、結局ゲームをやめざるを得なかった状況と同じく、長くやればやるだけ、絶望的な状況でやめざるを得なくなる日が来るのではないか」という疑念が芽生え、麻雀の道を離れた。
・人生に打ちのめされていた中で、介護の仕事を始めることにした。1年半の仕事の中で、張りつめていた神経もほどよく緩んでいった。そんな中、友人に誘われゲームを再開してみると、驚くほど勝てる自分がいた。趣味でも面白ければいいか、と思えるようになっいた。
・2009年には大会に復帰し、再始動した。世界大会「Evolution 2009」で優勝。
・世界大会で優勝したことをきっかけに、海外のゲーム周辺機器メーカー「マッドキャッツ」から、日本初のプロ契約を得ることになった。
・子どもの頃、ゲームに対する偏見に満ちた視線を感じながらも屈することなく、努力を続けてきてよかったと思う。誰かに批判されたからとか、世間に認めてもらえないからといって、そこでゲームを諦めていたら、この俊になっても自分を好きにはなれなかっただろう。
・僕にとって生きることとは、チャレンジし続けること、成長し続けることだ。成長を諦めて惰性で過ごす姿は、生きているとはいえ生き生きしているとは言えない。
ウメハラ名言集
・僕にとっての正しい努力。それはズバリ、変化することだ。昨日と同じ自分でいない。そんな意識が自分を成長させてくれる。
・小さくてもいいから変えてみる。そんな意識があれば、誰だって、いつだって自分を変えることができる。そうやって自分の体験を増やしておけば、ふとしたとき、前よりも視野の広くなった自分に気付くはずだ。
・例えば、一羽の鳥が飛んでいるとしよう。勝てない人は、飛んでいるその鳥を見て「鳥は飛べるんだ」と思うだけで、そこから考えを広げようとしない。普通の人寄り少しだけ勝てる人は、もう少し考える。「鳥は飛べる。翼があるからだ。翼があれば飛べるんだ」というように。そして常に勝てる人、常に勝ちたいと願っている人は、さらに深く考える「なんで自分には翼がないんだろう」「翼がないと本当に飛べないのか?」「そもそも空を飛ぶ必要があるのか?飛べなくてもいいんじゃないのか?」。
・これまでの経験から言えるのは、自分を痛めつけることと努力することは全然違う、ということだ。間違った努力は「こんなに頑張っているんだから結果が出るはずだ。これだけやって結果がでないのは世の中がおかしいからだ」という歪んだ思考にもつながる。
・大会に勝って100の喜びを得ようとは思わない。それよりも、日々の練習において60の喜びを得たいと思う。喜びは60くらいがちょうどいい。30だとプロとは言いにくいし、100だと影響が大きすぎる。
・努力をするときには「その努力は10年続けられるか?」と自問自答するのがよい。
・日々の小さな成長の中で、ときに大きめの成長、発見に出会うことがある。いま、少し壁を越えたかもしれないと感じる瞬間だ。そんなときは、僕も流石にテンションが上がる。60の喜びが80くらいになる。「いやぁ、今日は良い発見があった」と気持ちがいい。
・全盛期は今。今が一番でないなら、プロを名乗るべきではないと思う。
というわけで、グッサグッサ刺さる素晴らしい本です。ゲームを諦め、麻雀、介護の道に進んだあたりの話は物語としても引き込まれます。
僕自身も「ブロガー」として、「書く」という好きなことを仕事にしています。その中では日々迷いもあり、思うようにアクセス数が伸びない時などは、自分の限界を感じて逃げたくもなります。
「正しい努力。それはズバリ、変化することだ。昨日と同じ自分でいない」という文章には激しく共感します。これはホントに大切な視点だと思います。
僕自身も、タイピングの速度が少しだけ上がる、タイトルの付け方がうまくなる、インタビューがうまくなる、投稿の適切な時間が分かるようになる、といった些細な変化の蓄積が、自分を比類ない存在にまで高めてくれると信じています。
自分と戦い続けるプロゲーマーという存在から、多くのことを学ぶことができる素晴らしい一冊です。ぜひ手に取ってみてください。
おまけ。ウメハラ氏の伝説の試合と呼ばれる「背水の逆転劇」。ライフゲージ残り1ドットから、信じられない逆転を果たし、優勝します。
ちなみにこの動画、コメント欄も面白く、
ウメハラの一番凄いところは、格ゲー以外の全てを捨てていること
格ゲー完全特化型とでも言えばいいのかな、それが根底にあるんだよな
俺が好きなウメの名言にこういうのがある (格ゲーで強くなる秘訣は何ですか?と聞かれて) 「格ゲー以外でいかに弱くなるか、ってことじゃないかな」格ゲーに関係ない知識は少しも頭に入ってないし、自分の名前さえ漢字で書けない
ウメハラの大会のエントリーシートにはいつもひらがなで「うめはら だいご」って書いてある
でも俺はその7文字のひらがなが最高にカッコイイと思う
立派な漢字で名前を書いてる他のどの参加者にも、ウメの昇竜拳は負けないのだから
なんて素敵なコメントがあります。