送検のため熊本南署を出る齊藤健一容疑者（右奥）＝１４日午前９時１０分ごろ、熊本市

　熊本市の保険金目的の殺人とみられる事件で、死亡した佐藤良治［よしなお］さん（４５）をひいた２台の車両のうち、トラックは、強要未遂容疑で逮捕された暴力団幹部ら２人が事件前に県内の建設関係会社から借りていたことが、１４日、捜査関係者への取材で分かった。

　トラックは事件直後、現場付近を走り去るところが目撃され、現場から約５００メートル東側の右カーブで左側のコンクリート壁に衝突した痕があった。

　県警は、衝突現場に落ちていたバンパーなどの部品やブレーキ痕などから、トラックの所有会社を特定し、トラックを押収。会社側に事情を聴いたところ、事件前に齊藤健一容疑者（４３）と鈴木秀男容疑者（３３）が借り受けていたことが分かった。県警は、同社については事件と無関係とみている。

　県警の捜査本部はこれまでの調べで、佐藤さんをひいたのは、このトラックと、現場付近に放置されていた盗難車の軽乗用車の２台と断定。齊藤容疑者らがトラックを使って佐藤さんを故意にひいた疑いが強いとみて、詳しい鑑識作業をしている。

　捜査本部は１４日、齊藤、鈴木両容疑者を強要未遂の疑いで送検した。

　送検容疑は共謀して１０月２３日午後７時ごろ、熊本市の５０代の男性方で、「明日の夕方までに警察に身代わりを連れていかなん。あなたがいかんなら、見つけなっせ」などと脅し、ひき逃げ犯の身代わりとして出頭させようとした疑い。