邦画好調、洋画苦戦　震災の影響払拭し回復へ

(産経新聞)

　今年の映画界は、興行収入が１０億円を超える作品が邦画４０本（昨年３２本）、洋画２１本（同２２本）と邦画が好調だった一方、昨年に続き１００億円を超す作品はなく、洋画の苦戦も目についた。だが、邦画と洋画を合わせて前年比１７・９％減となった昨年（１８１２億円）のような東日本大震災の影響はほぼ払拭され、大手映画会社役員は「２千億円近くまで回復できるのでは」と予想している。

　邦画は今年も東宝の配給作品が他を圧倒し、７３・３億円の「ＢＲＡＶＥ　ＨＥＡＲＴＳ　海猿」をはじめ上位３作がフジテレビ製作とテレビ局主導の作品が目立った。ほかは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版：Ｑ」などのアニメ作品が強く、１２月１５日に公開された「ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ　ＦＩＬＭ　Ｚ」が「海猿」を上回る滑り出しで、２４日現在ですでに３１億円を超え、上位に食い込みそうな勢いだ。

　洋画は、トム・クルーズ主演の人気シリーズ第４作「ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル」が唯一５０億円超えしたが、昨年１位の「ハリー・ポッター」シリーズ最終作（９６・７億円）には遠く及ばなかった。その中で、日本のテレビゲームを実写映画化したシリーズ第５作「バイオハザードＶ　リトリビューション」は３８・１億円と健闘した。

　洋画の不振について関係者は「若者が分かりやすさを求め、字幕入りを敬遠している」と話すが、不振の真因はつかみきれていないようだ。（市川雄二）