ついに低視聴率で、8回にして打ち切りになるらしい気の毒な連ドラである。「何処が悪かったのでしょうか」と多くのメディアから筆者の所に取材が来た。まあ、色々理由は答えたが、一口で表現すれば、視聴者に作り手の発想が見透かされたのである。タイトルの「家族」を見て、視聴者は「またか」とうんざりした。昨年からの「絆」の押し付けに飽き飽きしている彼らには身も蓋もないのだ。
一部では「パパはニュースキャスター」のパクリと言われているらしいが、筆者はむしろ「マルモ」の柳の下のどじょう狙いだと思う。子役が出た時点ですぐ連想したのは「マルモ」である。主人公は元大スターだったロックミュージシャンの正義(オダギリジョー)で、むさくるしい髭面の落ちぶれロック歌手という設定は有り得るし、濃い顔のオダギリが不貞腐れて、プライドだけ高い認識不足の男を演じて、そこそこではあるのだ。しからば誰が悪かったのか。
作り手(プロデューサーたち)のズレである。今期のテーマは「家族」って、お前、それは1年遅いよ。テレビマンが社会情勢に疎く、お台場村の中だけで完結している典型である。最先端を行くべきテレビ屋さんが、世間より遅れていてどうするのだ。夥しい連ドラが次から次に作られて、テーマが見つからない苦しさは理解できるが、そんな時こそじっくりと人間を凝視して、過去も未来も不変な人間そのものの有り様を、透徹した視線で静謐に描いたらいいのである。
(黄蘭)
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