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【スポーツ】

日体大「山の星」で逆転 往路26年ぶり10度目V

2013年1月3日 紙面から

26年ぶりの往路優勝!5区でトップを奪いガッツポーズでゴールする日体大の服部翔大=神奈川県箱根町で(中西祥子撮影)

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◇第89回箱根駅伝 往路

 ▽2日▽東京・大手町〜箱根・芦ノ湖の5区間108・0キロ▽出場19校および関東学連選抜▽スタート時の気象 晴れ、気温7・9度、湿度48%、南の風2・8メートル

 伝統校が鮮やかに復活! 予選会から出場の日体大が、山上り5区を走った服部翔大(3年)=埼玉栄=の区間賞を獲得する快走で前回総合優勝の東洋大を逆転し、5時間40分15秒で第63回大会以来26年ぶり10度目の往路優勝を果たした。予選会参加校の往路優勝は、73回大会の神奈川大以来16年ぶりの快挙。3区の大迫傑(3年)=長野・佐久長聖=、5区の山本修平(2年)=愛知・時習館=がそれぞれ区間2、3位で走った早大が2分35秒差の2位に入り、史上初の往路5連覇を目指した東洋大は早大から4秒遅れの3位だった。昨秋の出雲駅伝初優勝の青学大は6位、全日本大学駅伝を制した駒大は9位にとどまった。城西大と中大はともに5区で途中棄権し、中大の連続シード権は28年で途切れた。3日は5区間109.9キロの復路を実施する。

 名門復活を高らかに告げる、そして天国の亡き父にささげる往路優勝だ。伝統の白いたすきを掛けた服部が、力強く芦ノ湖のゴールラインに飛び込む。「初めてテープを切ってうれしかったし、空が青かったのもうれしかった」。“神”がいない天下の険、制したのは予選会からはい上がった日体大だった。

 たすきを受け取ったとき、トップの東洋大とは1分49秒差の2位。強気でならす3年生キャプテンはひるむことなく攻め抜いた。

 「前は見えなかったけど、強い気持ちで積極的に攻めようと思っていた。キャプテンとして堂々と走らないと、と気持ちが入った」。強風吹き荒れる箱根山中に駆け出す。12キロすぎで後方から追い上げてきた早大・山本に並ばれるが、譲らず14・4キロで先頭に並ぶと、すぐに東洋大を振り落とし、17キロ手前では早大も退けた。「一番上の景色は気持ち良かった」。あとは、ビクトリーロードを軽快に駆け抜けるだけだった。

 一昨年の12月18日、父親の重夫さんが、肺がんのため50歳の若さで亡くなった。「自分がチームの中心だったし、周りに迷惑をかけたくなかった」と直前まで隠し通した。そんな状況で迎えた昨年の箱根駅伝は1区で早大の大迫に次ぐ区間2位で走り抜いた。「最後に交わした言葉は『俺も頑張るから、おまえも頑張れ』だった」。苦痛と闘う父に誓った約束は箱根駅伝の区間賞。「約束は守れ、人さまに迷惑をかけるな」と厳しく育ててくれた父との約束は、今大会で何が何でも果たさなければならなかった。

 そんな父は天国からしっかり背中を押してくれた。ゴール直前にある箱根神社の大鳥居、母親の順子さん(51)が重夫さんの遺影を高々と掲げる姿が目に入る。「見守ってくれている。頑張らないと」。最後の力を振り絞り、約束だった区間賞も手に入れた。

 「区間賞にはビックリ。父親にもいい結果を報告できたと思う。約束は果たせたけど、それ以上のことを狙っていこうと思う」。3年生キャプテンとして目指すのは、もちろん、30年ぶり10度目の総合優勝。「強い日体大を復活させたい」。天国の父に届かんばかりに、高らかに宣言した。 (川村庸介)

 

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