中国新聞LEADERS倶楽部
2013年新春トップインタビュー 広島のトップが想いを語る。

「超低床」導入進め利便性追求

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代表取締役社長
越智 秀信氏
(おち ひでのぶ)

―電車開業100周年の2012年はどんな年でしたか。

原爆の大きな被害に遭ったことやマイカー時代の到来による利用者の激減など、さまざまな経験を積み重ねてきた中で、100周年は大きな節目でした。また同時に、通過点に過ぎないとも考えています。サービス向上を図るという意味では「次の100年」に向けた布石を打った1年だったとも言えます。

―具体的には、どのような布石でしょうか。

ことし2月に3両編成(約18メートル)の超低床車両を白島線、横川線、江波線に導入し、白島線の路面電車を本線に乗り入れる予定です。現在、所有する124編成のうち、約4割に当たる48編成が、製造から47年以上経過しています。順次、新しい車両にしながら、15年後までに超低床車両を40編成に増やしたいと考えています。

―JR広島駅南口(南区)に電車を乗り入れる「駅前大橋線」計画の進ちょく状況はいかがですか。

顧客ニーズを高めるためにも、速度アップは欠かせません。駅前大橋線が完成すれば、現在15分から25分かかる広島駅から紙屋町(中区)までが約9分で行き来できます。

広島駅南口の再開発が進めば、交通量は大幅に増えます。電車は路上を通しても、高架にしても車線に影響するので、地下を通すことが最善策です。地下ルートは、経費がかさむと言われていますが、当社の計算では、高架とほぼ変わりません。

―電車運賃の値上げについては。

老朽化した施設の修繕費や新車両の購入など、設備投資の費用はかさみます。超低床車両は一編成当たり3億円近くかかるため、現在の収入だけでは、導入資金は全く足りません。

春にも現在の150円から値上げすると同時に、広島駅から宮島口まで分かりやすい均一運賃にし、利便性を高めます。宮島線から市内線を利用する場合、実質的には値下げになります。

―バス事業の今後の展開は。

芸陽バスを子会社化したのに続き、呉市交通局からバス路線を引き継ぎました。グループが経営するバス会社は合わせて4社。人口減少社会に向けて、無駄な部分を省きながら選択と集中を心掛け、利便性向上に努めてまいります。

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新型車両イメージ図
概要
社名広島電鉄株式会社
所在地〒730-8610
広島市中区東千田町2丁目9-29
TEL 082(242)3521
設立1942年4月
事業内容鉄・軌道事業、自動車事業、不動産事業
資本金23億3562万円
売上高170億1200万円(2012年3月期)
従業員数1351人(2012年3月現在)
関連会社広電不動産、広電ストア、広電建設、広電観光、広電宮島ガーデン、宮島松大汽船、ヒロデンプラザ、グリーンバーズ・ヒロデン、ホテルニューヒロデンなど計20社
ホームページhttp://www.hiroden.co.jp/