2011年5月24日火曜日

とちぎテレビ稲恭宏氏出演番組への抗議20110515動画アップしました

原発報道におけるメディアの責任を問う会が、2011年5月8日付書面にて申し入れていた株式会社とちぎテレビ(第三セクター) による2011年3月23日稲恭宏氏出演番組の説明会申し入れについて、先方の返答についてはすでに公開した通りです。そのことについて、グループ内で2011年5月15日に検証を行った際の動画をアップしました。特に編集などはしておらず、そのままです。今後の検証材料のひとつとしたいと思います。(周囲が騒がしいなど不備につきましてはお許しください。)

とちぎテレビ稲恭宏氏出演番組への抗議1
http://www.youtube.com/watch?v=_6b5cHnrNU8

 とちぎテレビ稲恭宏氏出演番組への抗議2
http://www.youtube.com/watch?v=Jg4at2Gn728

とちぎテレビ稲恭宏氏出演番組への抗議3
http://www.youtube.com/watch?v=21xSyQYVEI

2011年5月19日木曜日

2011年5月15日 とちぎテレビ回答受領後のグループ内セッションまとめ

2011年5月15日 とちぎテレビ回答受領後のグループ内セッションまとめ

とちぎテレビからの回答を受け、グループ内で話しあいました。詳細は追って動画にて公開いたしますが、その時のまとめを以下に要約しましたのでご確認ください。

<要約>
・返事を提示したことは評価できる。
・国が提示した見解そのものまで否定していたことは、大きな問題ではないか。
・とちぎTV自身の見解が具体的にどうなのかがはっきりと見えてこない。
・当時の栃木県の危機的状況(生活に密着した問題)に対し、とちぎTVはかなり貴重な情報を提供していた。稲博士以外の人選は非常に有効に機能していただけに、残念。
・稲博士をわざわざ選んで出演させるにあたり、本当にきちんと調査をしたのか? 上三川町出身ということは、人選の正当な根拠にはなりえない。
・3月23日当時はガソリン不足等、地域の状況は危機がピークに達していた分、一般市民の不安も大きかった。その時に、あまりに扇情的に「絶対に安全」と公言してしまったのは疑問。一方的な視点の提示に終わってしまっている。
・「東大の稲博士」という紹介の仕方は、事実の正確な報道ではない。博士自身が公表している肩書きは「低線量率放射線医科学研究開発機構最高栄誉総裁。」
・通常、公正な学者は「絶対」などという表現をここまで不用意に使わないはず。
・稲博士はどんな「新聞等に寄稿」しているのかをご教示願いたい。具体的な記事を示していただきたい。どういう見解や情報を示してきたのかをチェックするため。

平成23年5月15日付け とちぎテレビ回答全文

 平成23年5月15日

原発報道におけるメディアの責任を問う会
荻野 夏子様

とちぎテレビ放送本部長
深澤 林


2011年5月8日付で申し入れのありました、公開説明会の開催につきましては、開催を予定しておりません。また、4項目のご質問に関しましては、以下の通り回答いたします。

1、稲博士の発言について
当社には原子力、放射線に関する専門の知識を有する者はおりませんので、専門家2人に見解をお伺いいたしました。3月16日放送では自治医科大学大学RIセンターの菊池透管理主任にお話しを伺いました。菊池主任も、当時の圏内の放射線量等から健康被害は指摘されておりません。また、当社としましても、放射線量の安全・危険性を専門的に判断できる立場にはないことから、安危の見解は示しておりません。稲博士はあくまでも放射性医療の研究者として、これまでの研究結果から見解を述べられていることは、番組放送内容のとおりです。
なお、当社としましては、原発事故後、放射線の特性などから万一危険な状態が発生した場合の対応策として「①建物の中に避難する。②窓やドアを閉め、外気を遮断する。換気扇も使わないようにする。③何重にも重ねたマスク、ぬれたタオル等で口を覆う。④顔や体をよく洗う。⑤外から家に入るときは衣類をよく払うなど、注意して過ごしてください。」との内容を繰り返し放送して安全対策を訴えております。

2、今後のとちぎテレビの対応予定について
特にありません。

3、人選の経緯について
稲博士は上三川町出身で本件に縁があり、新聞等にも寄稿していたことなどから、インタビューを申し入れました。当日は、県内で他にも講演が予定されており、日程が調整できたことから、生放送に出演していただきました。
この週は、震災から10日がすぎ、物資が無くなるなど県民生活に不安が広がる中だったため、月:日本赤十字社、火:県ガソリン協会、水:稲博士、木:臨床心理士、金:ボランティアネットと各界の専門家をお招きして、お話しを伺い放送しました。

4、審議会について
ご指摘をいただきましたので、番組審議委員の方々にも今回の件を報告したいと考えております。

2011年5月16日月曜日

株式会社とちぎテレビ 代表取締役社長水沼富美男氏宛て2011年5月8日付文書

去る3月23日にとちぎテレビにおいて、以下のような放送が行われました。
全然問題ありません!稲博士の緊急提言』youTube 動画
http://www.youtube.com/watch?v=aKSpY8nT4PA

これについて、2011年5月8日付けで、株式会社とちぎテレビに対して、公開説明会の開催を申し入れましたのでご報告します。

以下、送付文書です。


***************** 

2011年5月8日

株式会社とちぎテレビ 代表取締役社長

水沼 富美男 様


平成23年3月23日放送に関する公開説明会の開催についての申し入れ


2011年3月11日の北関東大震災と東京電力の福島第一原発の事故に関連して、今、メディアの社会的責任が問われています。このようなか、2011年3月23日のとちぎテレビの報道番組において、稲恭宏博士が招かれ、放射能は、3月23日現在も、また将来においてもまったく心配がないという報道がされました。

このことに関連いたしまして、一カ月半が経過した現在、地域住民に信頼される情報メディアとしての見解を、正式にお伺いいたしたく、公開説明会の開催を申し入れます。また、その説明会の放映を求めます。なお、公開説明会の開催日と場所の決定にあたっては、当会と事前に調整されることを求めます。


質問したい事項は、おもに以下のようなものです。


1.とちぎテレビとして、2011年3月23日に、稲博士を招いて今回の事故における放射能の影響が将来にわかってまったく影響がなく安全であるという報道を行ったことについて、現在の立場と見解を教えてください。


2.このことに関連して、とちぎテレビの今後の対応の予定について教えてください。


3.稲博士の人選の経緯について教えてください。


4.この件について審議会において審議する予定があるか教えてください。


本件について、平成23年5月15日(日)15:00時に、書面のご回答をお受け取りするためにおうかがいさせていただきますので、ご了承のほどお願いを申しあげます。


原発報道におけるメディアの責任を問う会

代表 荻野夏子

CC:報道関係者各位

『原発報道におけるメディアの責任を問う会』について(趣旨)

  私たちは、栃木県内に住む一般市民です。震災と原発のことを機に情報交換などをするなかで、地元放送局である株式会社とちぎテレビ(以下、とちぎテレビと略)による以下の放送について、やはり地元住民としてもこれを看過すべきではないという合意のもと、この放送を行ったとちぎテレビに対して、まず、経緯と現状について、公に説明してくださるように求めることから行動することといたしました。

『全然問題ありません!稲博士の緊急提言』 http://www.youtube.com/watch?v=aKSpY8nT4PA』


稲博士の主張の内容については、すでにインターネット上などで様々な方がその主張の問題点などを指摘しておられるところですが、そもそも、ではなぜ、その主張のその方を選んで連れてきて、公共の電波を使って放送したのか、というところにもまた、大きな問題があると私たちは考えています。
つまり、世には諸説あり、その中には質のよいものと質の悪いものがあるわけですが、情報源を選んで市民に情報提供したのはとちぎテレビであるからです。

株式会社とちぎテレビは、栃木県が関わる第三セクター(行政と民間双方からの出資の半官半民組織)であり、主要株主は、栃木県、栃木県市長会(14市)、栃木県町村会(13町)、足利銀行、下野新聞社、北関東綜合警備保障です。栃木県唯一の県域テレビ局であり、1995年の阪神淡路大震災をきっかけとして1996年に開局構想が浮上して、当時の知事であった渡辺文雄氏が出資の呼びかけをするなど行政主導で1999年に開局されました。株式会社ではありますが完全な民間ではない第三セクターで、「民放」ではなく、「半官半民放送局」であり、当然ながら高い公益性が求められます。

もともと、震災をきっかけとしたセーフティネットとしての地域内情報インフラとしての役割がコンセプトにあって設立された経緯からも、3月11日からの震災後は、災害時など非常時における地域情報の周知という設立当初からの使命を果たすべき、重要な局面にありました。
このような時期において、税金の出資を受けている第三セクター放送局が、とくに県民の生命の安全に関わる情報提供に関わる事案についてどのような放送を行ったのかは非常に重要なことであり、仮に、その提供情報が間違っていたとすれば、訂正していただかなければなりません。また、第三セクターである以上、その放送内容については、行政にも責任があります。

私たちが今回、問題としているのは、2011年3月23日のとちぎテレビ放送の稲博士の主張についてです。
これは、東京電力の福島第一原発の事故による影響があるのかないのか、どのような対応をすればいいのかという報道で、緊急時対応に関する専門家によるレクチャーであり、すなわち命に関わる重要な情報提供でありました。

この放送において、すでに周知の通り、稲博士は、国による注意の呼びかけすら否定して、今回の原子力発電所の事故による健康への影響は今も、そしてこの先もまったくないので、安心して外で子どもを遊ばせてもよいし、なにも心配することはないと断言しています。ゲストは稲博士だけでしたから、反論もなく、放送局側からの制止もおこなわれませんでした。(なお、その後、とちぎテレビ報道部長の沖杉光美氏におたずねしたところ、訂正放送なども行われていないということでした。)

いうまでもなく、放射能による健康被害は住民の生命に関わることがらであり、その情報は、地域住民の生命の安全を左右しかねない重要な情報です。
であるからこそ、このことについて、とちぎテレビの現在の見解や今後の対応について正式に伺わなければならないと思いました。また、それは私たちの会だけが知っていればよい問題ではなく、県民全体、ひいては国民全体の問題でもあるので、公開の説明会を開いて説明をしていただきたい、という申し入れをさせていただいた次第です。

もちろん、私たちの行動の背景には、私たちもまた、市民としての責任を果たすべきであるという考えがありました。
マスメディアは、公の放送網を使って、膨大な数の人たちに、一気に情報を流布する力を持っています。マスメディアは情報を取捨選択し、一般市民はマスメディアによって恣意的に選ばれた情報をおおむね信じて、これをおおいに参考として行動することが多いのです。とくに、中高年や子どもにはマスメディア以外の情報源が非常にとぼしいのが現状です。
このようななか、市民の側にも、マスメディアによって流される情報をきちんと検証し、間違ったことがあれば間違っていると指摘し、ともに改善策をさぐり、よりよい情報提供がされるように働きかけ、ともに成長していく義務があるのではないかと思っています。

私たちは、今後、この件に関しては、地道に経緯・経過・問題点・改善策などを検証・研究し、そのプロセスと結果をすべて、公開していく予定です。それが、ささやかながら、次回、なにか地域住民の生命に関わるような重大なことが起きた時、同じ間違いを繰り返さないために地域住民としてできる、私たちの責任であると認識しています。

なお、私たちからの書面による説明会開催の申し入れ(5月8日付)、とちぎテレビからの回答(5月15日付)、その検証のプロセスについては、別紙にてご報告をいたします。

2011年5月16日
原発報道におけるメディアの責任を問う会
代表 荻野夏子