臭いが風によって、どのように運ばれるかを知ることはAir Scent Dog を訓練するときにも、実際の捜索現場においても必要なことです。 1.気温による変化 冷たい空気は丘を下り、暖かい空気は上昇して高い場所に集まります。水によく似ています。尾根は朝にまず温められ、谷から温められた風が上ってきます 2.円錐化 臭いは風下に向かって広がり、臭いの円錐を作ります。 3.舞い上がる風 4.環状の風(looping) 環状の風は、無風のときに起こります。臭いは遭難者の真上に持ち上げられ10メートル以上も運ばれて再び落ちてきます。犬は反応を見せますが、遭難者に近づくと臭いを失って、また臭いのある遭難者から離れた位置にもどり反応を示します。犬がこのようなナチュラルアラートを出したエリアは丁寧に再チェックする必要があります。 5.扇形の風 6.煙突効果 空き地や小道など、開けた土地は太陽光線で直接に温められ、熱を含んだ空気はすぐに上にあがります。空気が上昇し、それより気温の低い空気が周囲の林から吹き込み、煙突効果がみられます。この現象は空き地にある木や林によって強められます。冷たい空気を周囲の林から運んできて、温められた空気を細い道に誘導して上に持ち上げ、遠くへ運ぶような、上下が逆になったトンネルのようなものです。このような状況では、人から来る臭いは温められた空気によって持ち上げられ、捜索犬へ届きにくくなります。 7.谷や排水路での逆風 太陽で谷の片側が温められることだけによって引き起こされます。他では起こりません。陽の当たっている側から上昇気流がおき、日陰側では下降します。 8. 水平の渦巻き 丘や大きな薪の束などのうごかない大きな物の上で、空気が素早く動くことによっておきます。目標に向かって吹く逆風を起こすこともあり、犬を間違った方向へ行かせることもあります。 9. 吹きだまり 水と同じように、臭いも低い場所に流れます。狭谷、くぼ地、溝、池などに臭いは集められたり、道路の塀や雪の壁にせき止められて流れます。環状の風と同じように、臭い溜まりは風が真上に持ち上がることが多く、犬が弱いアラートを示します。ハンドラーは地形を考慮に入れて、可能性のある臭いの流れを推測します。臭いは溜まるまでに、長い距離を運ばれることもあるということを心に留めておきます。 10. 経路化 風はしばしば狭く何もないところ、たとえば動力供給線、道路、道、小川などに沿って直進します。 11.日没時と日昇時の変化 晴れた日、異なった高さのある地形では、風が昼と夜の間で変化する時間帯があり、それが日没時と日昇時です。つまり、風が予測できなくなり、弱まるので、臭いを嗅ぐ犬にとってはよくない時間帯になります。したがって、日没時と日昇時は、谷や坂の風が安定し次第動くよう、犬のチームを配置し準備するには、よい時間帯となります。 12,昼間 捜索犬にとって最悪な風のコンディションは、暖かい/暑い日の昼間に起きます。この時、風の動きが最小限になり、温められた風はまっすぐ上に上り、臭いを持っていきます。 13.閉鎖空間の風 閉めきった屋内では、無風と同じ状況が作り出されます。気温が低いときは、人の体温によって臭いは上に上り、天井を這って、また下降したり拡散します。犬は誰もいない壁に向かってアラートしたり、ガラス窓に向かって反応したりすることがあります。これをCold Wall 現象と呼びます。閉鎖空間の臭いの流れは微妙です。犬の動きが激しすぎたり、ハンドラーが犬の近くで歩き回ることによって、臭いの源を発見しにくくしてしまうことがあります。 ★臭い嗅ぎによいコンディション 地面が濡れているとき 湿度が高いとき 地面よりも空気の気温が低いとき 雪か霜が下りようとしているとき 庭のたき火や煙突の煙が低く流れ、立ち上らないとき 霧かもやの中 耕されていない地面 気温が-1.1〜21.1℃のとき(特に-1.1〜4.4℃) しめった雪 日陰 よそ風 ★臭い嗅ぎに悪いコンディション 地面が乾いているとき 低い湿度 天候が嵐/不安定 空気の温度が地面よりも高いとき 霜が地面から消えようとしているとき 強い風のあるとき 強い雨が降っているとき 強い太陽光 ひどく暑かったり寒かったり フィールドでの風の流れをみる方法 風をチェックするときの注意 |