ソフト開発
第15回プロコン観戦レポート
やっぱりプログラミングコンテストはおもしろい!
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
秋といえば食欲、スポーツ、行楽の季節? いえいえプロコンの季節です! 今年もやってまいりました「全国高等専門学校 第15回 プログラミングコンテスト」。2004年10月に開催された今年のプロコン、舞台は愛媛県の新居浜市。史上最多の全国58校の高等専門学校の学生が、(1)与えられた問題の解答速度を競う「競技部門」、(2)与えられた課題に合わせたプログラムを作成し発表する「課題部門」、(3)自由にプログラムを作成/発表する「自由部門」、の3部門に参加します。
今年もわたくし、IT業界の片隅に棲息するフリーランス・ライター吉田育代が、朝から晩まで総力取材で、その模様をお届けいたします。このプロコンを取材して3年目、プロコンは年を追うごとにパワーアップしています。その着眼点、その解決法、斬新な発想に目からウロコがハラハラと落ち続けた二日間でした。普段お仕事で、また趣味でプログラミングされている皆さんも、きっと情熱や意識の高さに驚いていただけるでしょう。
台風と国際化の中、実機完全取材を決意
今大会のトピックは二つあります。一つは台風。開催日だった10月9日・10日は、台風22号が日本列島を縦断しようとしていたころ。ひょっとして新居浜にたどりつけないんじゃないか、たどりつけても参加できない学校が続出して中止になるんじゃないかという不安がつきまといながらの四国入りでした。
実際われわれ取材陣(といっても二人ですが)も、高松へ向かう飛行機の中では「目的地の高松空港に着陸できる可能性は60%程度と見込んでいます」と機長からのアナウンスを受けました。現地新居浜でも前日の集合状態によっては1日遅らせての開催を検討していたそうです。結局台風は新居浜からそれていき、無事に予定通りの開催となりました。
もう一つのトピックは開会式に参加して判明しました。プロコンの国際化です。今年は、ベトナムのハノイ工科大学が、課題部門と競技部門に参加しているのです。そうか、そういう方向に発展していくのか。日本の学生が海外のレベルを知り、交流できるのはいいことです。言葉の問題はどうするんだろうと思いつつも、楽しみがまた一つ増えた気がしました。ちなみに、なぜベトナムでなぜハノイ工科大学なのかというと、日本に留学しているこの大学の先生と高専の先生の間に交流があって、すーっと話がまとまったのだそうです。
毎年ご紹介していることですが、プロコンは競技部門の予選と本選、課題部門、自由部門の審査が同時並行で行われます。すべての部門をくまなく全部見るというわけにはいきません。そのためいつもつまみ食いみたいになってしまって、いくらか消化不良を起こしていました。そこで今年は決めたのです。とにかく課題部門と自由部門の実機会場をじっくり見ると。目標、参加全41作品取材! 果たして短い時間で全校まわり切れるのか? 体力一本勝負の2日間がスタートしました。
プレゼンのレベル向上
実機取材に絞る!と宣言したその舌の根も乾かぬうちに、体は課題/自由部門のプレゼンテーション審査会場へ向かっていました。プロコンでのプレゼンテーション審査は、採点上、実機審査と同じくらい重きを置かれています。チームの代表者は、なぜそのソフトウエアを開発しようと思ったか、どのような機能があるか、これを利用することによってどんなメリットが得られるか——などを、8分間にまとめてスピーチします。その後、審査員の先生方による4分間の質疑応答があります。いわゆる“学会の発表”みたいな感じですね。
私は、ハノイ工科大学がどんな風に発表するか興味があったので、彼らが参加している課題部門のプレゼンをちょっとのぞいてみることにしました。
課題部門の今年のテーマは「街に活きているコンピュータ」。私たちの日常生活に密着して、それを支援するシステムの提案というのが求められていました。公式パンフレットで参加作品の概要を見てみますと、ショッピング支援、観光サポート、マナー教育、バスの運行案内など、なかなかバラエティ豊かです。しかし、プレゼンテーションという行為そのものは普段なじみがないためか、8分間の中でうまく作品を紹介しきれなかったり、原稿を覚える間がなくて棒読みだったりして、学生諸君にはなかなか高き壁のようです。
と思っていたら、いきなり私の先入観をつき崩す学校がありました。舞鶴高専です。3年生の津山友香里さんが発表者だったのですが、思わず「うまい!」と心の中で声を上げてしまうようなプレゼンテーションぶりでした(写真1[拡大表示])。声の大きさはちょうどいいし、はきはきしているし、何より原稿をしっかり消化して自分の言葉で話しています。またプレゼンテーション・ファイルがきわめて論理的に組み立てられていて、発表を聞くだけでソフトウエアの全容をつかめました。
この学校が出品した作品は「音小町—Oto—no—Komachi—」といって、街の様々な音をICレコーダで採取して、それをキャラクタに変換、それをソフトウエア上のヴァーチャルな街に再配置してアニメーションとして楽しもうというものです。日頃は騒音でしかない車のクラクションや店の呼び込みの声も、こうすれば新鮮に感じられるというのが彼女たちの提案です。音をキャラクタに変換するというこの発想。大人にはできません。実機の展示会場で私の声も変換してくれました。あわただしくて大会中は見られなかったのですが、後から送ってくれた結果がこちら(写真2[拡大表示])。かわいいでしょう。ちょっと工作が入っているような気がしないでもないけれども(笑)、声の可視化はユニークだわ。街とコンピュータというと、どうしても生活に役立てるようなモノを考えがちですが、私はこういうエンタテインメントな方向性、好きですねえ。
注目のハノイ工科大学のプレゼンテーションは、ベトナム語を日本語に逐次通訳する形で行われました。通訳の時間を考慮して、発表時間は通常の倍の16分間用意されています。通訳を務めるのは、日本に留学中のベトナム人高専生です。出品作は「ハノイ市の観光サポートシステム」。ハノイを旅する旅行者のために、インターネットや携帯電話で、ハノイの地図、歴史や観光スポット、ホテル、レストランなどの情報とともに、簡単なベトナム語会話学習機能などを提供するソフトウエアです。
発表者はアオザイを着て登場した2年生のウンエン・リ・ナム・フォンさん(写真3[拡大表示])。彼女はプログラムを作るのに使ったテクノロジの選択理由を熱心に語りました。見かけはたおやかながら、意志をしっかり持ったエンジニアという印象です。既存の地図データを使わず一から書き起こした労作だそうですが、開発の時間が十分取れなかったようで、それがとても残念そうでした。やっぱりコミュニケーションがちょっと大変かなあ。一方向で行う発表はよくても、技術にからんだ質疑応答を行うとなると、通訳者は日本語とベトナム語とITに精通している必要があります。それはなかなか難しい。今後のさらなる国際化をにらんで、発表も質問も英語というのが無難かもしれません。それが一番大変(笑)?
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