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「毎日殴られた。精神がおかしくなり、海に飛び込もうと思った」――海自護衛艦「しらゆき」の陰惨な日常
17:33 01/01 2013
 
海上自衛隊横須賀基地に停泊する護衛艦「しらゆき」(中央・「123」の番号)。Aさんは先輩らから陰惨な暴力を連日受けていたという。

 

 


 内閣府の世論調査によれば、9割を超す人が自衛隊に「良い印象」を持っているという。しかしこの巨大組織からは絶えず悲鳴が漏れてくる。「殴る蹴るの暴力を毎日受けました。精神がおかしくなり、何度も海に飛び込もうと思いました」。護衛艦「しらゆき」の元乗組員が国を相手に起こした国賠訴訟が札幌高裁で続いている。その法廷で明らかになったのは、小説『蟹工船』をも彷彿とさせる暴力に満ちた無法ぶりだった。衆院選で自民党が大勝し、「国防軍」創設を掲げる安倍晋三氏が首相になったが、どんな高尚な議論があろうと、軍隊組織の恥部を一番よく知っているのは、新兵である。

【Digest】
◇自衛隊内の暴力めぐる訴訟で国敗訴 
◇毎日殴られ蹴られる――護衛艦はまるで『蟹工船』
◇不満を部下にぶつけてスネを蹴り続けた
◇「えり首をつかんで後部甲板へ…」
◇笛の練習が気に入らないと拳で思い切り殴打
◇あたご事故の感想は「衝突するよな…」
◇暴力士長のしどろもどろ証言 
◇たたいていない「押して引いた」だけだ… 
◇安倍首相は自衛官の命に関心があるのか

◇自衛隊内の暴力めぐる訴訟で国敗訴 
 2012年9月21日、札幌地裁の法廷でひとつの判決が読み上げられた。

 「主文、被告は、原告に対し、150万円及びこれに対する平成20年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」(石橋俊一裁判長)

 被告は国、原告は元海上自衛官のAさん(現在26歳)。このAさんに対して国は150万円を賠償するよう、石橋裁判長は命じたのだった(札幌地裁・平成20年ワ1456号事件)。

 Aさんは高校卒業後の2005年春、海上自衛隊に入った。あこがれの職場だった。教育隊を経て護衛艦「しらゆき」(横須賀総監部所属)の乗組員となったのは同年8月。年齢は若干19歳、2等海士というもっとも階級の低い立場だった。

 配属されたのは「射管」というミサイルの射撃管制を担当する部署だった。先輩らの指示によって、もやい作業(出入港時に岸壁と結ぶ綱を扱う作業)や航行中の見張り、内火艇(上陸用のボート)の上げ下ろし、舷門の見張り(停泊中に艦の出入り口を警備する作業)を行うようになった。

 立派な自衛官として公に奉仕すべく気概をもって船に乗り込んだつもりだった。だが、待ち受けていたのは、先輩や上司らの「虐待」だった。

 殴る、蹴る、怒鳴る。――Aさんによれば、先輩隊員の乱暴狼藉が、連日繰り返された。狭い艦内では、逃げ場がない。結果、Aさんは精神のバランスを崩してしまう。PTSDと診断されて休職、やがて退職に追いやられた。

 精神的な後遺症は癒えることなく、今でもときおり恐怖がよみがえって不安になる。仕事につくこともできず、自宅で療養を続けている。

 裁判は、文字どおり「自衛隊に人生を狂わされた」ことに対する国の責任を問う形でおこされた。対する国側は、不法行為はなかった、と反論した。4年にわたる審理の結果、札幌地裁の石橋裁判長は、前述したとおり、一応、国側の非を認めた。

海に流した段ボール紙を見失った旨報告すると、双眼鏡を覗いた姿勢のまま後頭部を思い切りなぐる。指示がないにもかかわらず内火艇(上陸などに使うボート)の上げ下ろしを手伝っていないと殴る。Aさんらへの暴力は、いずれも理不尽な動機によるものばかりだった(防衛省のHPより)。
 「一応」というのは、原告の勝訴だといっても、Aさん側からみればきわめて不十分な内容だったからだ。

 暴力行為については、Aさんが主張する被害実態のうち一部を認めたに過ぎない。それも毎日のように暴力が繰り返されたとAさんが訴えたにもかかわらず、裁判所は「一過性」だと判断した。

 またAさんが精神的な障害を負った原因についても、艦内暴力とは関係ないと断定した。

 いずれも納得できない判決だとしてAさんは控訴、現在、札幌高裁で審議が続いている。

 Aさんの訴えの一部しか認めていない判決だが、それでも、そこに書かれた暴力の事実は驚愕に値する。

◇毎日殴られ蹴られる――護衛艦はまるで『蟹工船』
 Aさんが「しらゆき」に乗り込んでいたのは2005年8月から同年10月までの約2ヶ月間だった。

 判決によれば、その間、先輩隊員のT士長やW3曹から次のような行為をされたという.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



護衛艦しらゆきが所属する海上自衛隊横須賀基地。最高責任者の横須賀総監は出世コースで、海上幕僚長や統合幕僚長への近道でもある。だが自殺者を出した護衛艦たちかぜの暴力・恐喝事件や護衛艦しらねの火災など不祥事が絶えない。
護衛艦しらゆき艦内での暴力をめぐる国家賠償請求訴訟が続く札幌高裁。①暴力は日常的だった、②Aさんの精神的疾患と上司・先輩の暴力行為には因果関係がある―ーとAさん側は訴えている。
自殺者が突出して多い自衛隊のなかでも、海上自衛隊は特に自殺者が多い。先輩らから、ささいなことが原因で毎日のように殴る蹴るの暴行を受けていたAさんやHさんも、楽になりたいと自殺を考えたという。そうした陰惨な実態は外部からはなかなかわからない。岸壁で護衛艦「きりさめ」の接岸作業を行う海自隊員(佐世保基地)。
護衛艦の航行中に隊員が行方不明になったり自殺することは珍しくない。インド洋派遣中に隊員が自殺した護衛艦「きりさめ」。真相は不明だ。

記者コメント
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