2012年06月10日

信用創造に関する大きな勘違い。

経済について興味がある方なら、信用創造という言葉を知らない人はいないと思います


(´・ω・`) 今回はこの「信用創造」についての解説。
(つ∀ ̄) 実に悲しい事に、この言葉を勘違いして理解している人が多いようで。
(´・ω・`) 実は>>1もそうだったんですけどね。


( ̄∀ ̄) 信用創造で、「何もないところからお金が出来る」(ドヤァ


(´・ω・`) この話は厳密にいえば嘘なんですよね。いや、言葉の解釈で嘘とも限らないんですが。
( ゚д゚ ) どういうことだ?
( ̄∀ ̄) wikipediaから定義を引用&解説してみるよ。

<信用創造>

信用創造(しんようそうぞう、英: Money creation/Credit creation)は、銀行の貸出によってマネーサプライ(通貨供給量)が増加すること。あるいは、金融機関のおこなう「決済機能の提供」と「金融の仲介機能」が作用して信用貨幣が増加する機能を指す。銀行が貨幣経済において果たしている重要な機能のひとつ。

概要

銀行は預金を受け入れ、その資金を誰かに貸し出す。その過程で信用創造は発生する。以下は、そのプロセスの例である。
1.A銀行は、X社から預金1000円を預かる。
2.A銀行は、1000円のうち900円をY社に貸し出す。
3.Y社は、Z社に対して、900円の支払いをする。
4.Z社は、900円をB銀行に預ける。

この結果、預金の総額は1900円となるもともと1000円しかなかった貨幣が1900円になったのは、上記2.の結果として、Y社が900円の債務を負い返済を約束することで900円分の信用貨幣が発生したことになるからである。この900円の信用貨幣(預金)は返済によって消滅するまでは通貨(支払手段)としても機能する。このことはマネーサプライ(現金+預金)の増加を意味する。

さらに、この後B銀行が貸出を行うことで、この仕組みが順次繰り返され、貨幣は増加していく。このように、貸出と預金を行う銀行業務により、経済に存在する貨幣は増加する

ソース:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%A1%E7%94%A8%E5%89%B5%E9%80%A0


(`・ω・´) 赤字で強調したところをよーーーく見てください。
( ̄∀ ̄) Y社が900円の債務を負い返済を約束することで
( ゚д゚ ) Y社が銀行から借金したってことだな。


(`・ω・´) そういうことです。信用創造で生み出されたお金とは「負債と常に同量である」のです
( ̄∀ ̄) だから、信用創造で「経済に存在する貨幣は増加する」という言葉は正しいけど、一方で、増加したのと同量の債務がバランスシートの負債の項に計上されるか、貸し借りの差し引きで補正される


(`・ω・´) この債務は、「返済によって消滅するまでは」存在し続けます。同時に債務と当量の信用貨幣もまた、経済に存在し続けます。
( ̄∀ ̄) 債務が返済された場合、信用創造で生み出された信用貨幣も消滅する。これが信用収縮(デレバレッジ)。


( ゚д゚ ) もすこし分かり易く説明してくれないか?
(`・ω・´) では、上の”概要”の例をバランスシートで見てみましょう。分かり易く、X社は初め1000円の現金を持っているとします。


1.A銀行は、X社から預金1000円を預かる。

(`・ω・´) バランスシートで見てみると。

A銀行:債務(借金)1000円 手持ち資金1000円
X社:預金1000円 手持ち資金0円

X社の預金+X社の手持ち資金−A銀行の借金+A銀行の手持ち資金=1000+1000-1000=1000


2.A銀行は、1000円のうち900円をY社に貸し出す。

(`・ω・´) バランスシートで見てみると。

A銀行:債務(借金)1000円 手持ち資金:1000円−900円=100円 債権:900円
X社:預金1000円 
Y社:債務(借金)900円 手持ち資金:900円

X社の預金−A銀行の債務(借金)+A銀行の手持ち資金+A銀行の債権+Y社の借金+Y社の手持ち資金=1000-1000+100+900−900+900=1000

(`・ω・´)というわけで、初め1000円から変わらず1000円のままです

( ̄∀ ̄) バランスシートで見ると貸し借りは常に初めの状態から変わってないわけさ。


3.Y社は、Z社に対して、900円の支払いをする。

(`・ω・´) バランスシートで見てみると。

A銀行:借金1000円 手持ち資金:100円 債権:900円
X社:預金1000円
Y社:借金900円 手持ち資金:0円
Z社:手持ち資金900円

X社の預金−A銀行の借金+A銀行の手持ち資金+A銀行の債権-Y社の借金+Z社の手持ち資金=1000-1000++100+900−900+900=1000

( ̄∀ ̄) これも初期のままの1000円で何にも変わってないね。


4.Z社は、900円をB銀行に預ける。

A銀行:借金1000円 手持ち資金100円 債権:900円 
X社:預金1000円
Y社:借金900円 手持ち資金:0円
Z社:手持ち資金900円−900円=0円 預金900円
B銀行:借金900円 手持ち資金900円

X社の預金−A銀行の借金+A銀行の手持ち資金+A銀行の債権-Y社の借金+Z社の預金−B銀行の借金+B銀行の手持ち資金=1000-1000+100+900−900+900−900+900=1000


( ゚д゚ ) 1000円のままやんけ!!


( ̄∀ ̄) そういうことさ。一方、銀行にとっての借金=預金なので・・・
(`・ω・´) 預金総額”だけ”を見ると、A銀行に1000円、B銀行に900円の預金で合計1900円の預金総額ということになる


( ̄∀ ̄) この一連の銀行の貸し出し&預金預かり業務によるマネーサプライ(現金+預金)の増加を信用創造と言っているんだ(ドヤァ


(`・ω・´) だから、「信用創造でマネーサプライは増える」が、貸し借りで相殺してみると、お金が無から増えるという表現は大間違いなのです。


( ゚д゚ ) おおぅ・・・。
(つ∀ ̄) 数値を検証してみないと誤解しやすいけどね。
(´・ω・`) 「誰かの収入は誰かの支出である」、つまり「マクロ経済での収支は常にバランスする」ということと、「信用創造(or信用収縮)がある」ということは同時に存在し得るわけです。

というわけで本日のコラムは以上です。参考になりましたら下のバナーをクリックお願いします。
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posted by つるや(国会AA職人二代目) at 14:34| Comment(4) | TrackBack(0) | アホでも分かる経済講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
つまり、国が借金を返済すると市場の流通貨幣が減っていく訳ですね。
しかも借金の返済の為に公共事業を減らせば二重に市場に通貨が流れにくくなると。


てことは、国が銀行に借金して公共事業増やせば景気回復簡単に出来るんじゃね?
(但し、政治状況が許せばであるが)
Posted by at 2012年06月10日 23:12
かの人たちは、元本自己資金で貸し出しとか「それってサラ金じゃね?」と突っ込もうと思ったけど止めた。
Posted by f at 2012年06月11日 12:29
>てことは、国が銀行に借金して公共事業増やせば景気回復簡単に出来るんじゃね?
(但し、政治状況が許せばであるが)

私も全く同意見で、金融政策と需要喚起を行えばすぐに回復できるんですよねー。
しかも金利が1%と国債発行できる状況なんです。

>かの人たちは、元本自己資金で貸し出しとか「それってサラ金じゃね?」と突っ込もうと思ったけど止めた。

ま、簡略化のためでしょう。ここで自己資本金比率とか持ち出すと話がややこしくなるので(;^ω^)
Posted by つるや at 2012年06月11日 21:11
>私も全く同意見で、金融政策と需要喚起を行えばすぐに回復できるんですよねー。

原因を分解すると、

1.なんでそうなるのか「分からない」
2.わかっているけど「したくない」
3.したいけど「できない」

の3つにして、だいぶハッキリするかなと
特に3だとまずいですね。
主に僕らの老後が。
Posted by ちゃそ at 2012年06月14日 03:11
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