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夜明け前という時代

西暦2012年はひとつの大きな節目であるという説が、ここ近年流布していました。その根拠として、マヤ暦が2012年12月22日をもって終了していることが取り上げられます。マヤ暦というのはたいへん精巧にできているそうで、時間軸が直線的ではなく循環する円のようにとらえられているのだとか。時間軸が直線的ではなく循環する円のようにとらえられている、というのは示唆的です。直線的な思考では、おそらくマヤ暦を読み解くことができないのでしょう。非直線的思考にまで到達していない私たちにマヤ暦の解明は難しいですが、2012年が宇宙の動きのなかで大きな区切りであるという説にはとても興味をそそられます。

科学音痴のくせに宇宙の話が好きな私は現代科学の宇宙論などにも目を通したりするのですが、そのなかで引っかかるのが、ビッグバン理論です。ビッグバン理論は現在の宇宙創生論の定説になっています。でも、本当にそうなのでしょうか?ビッグバン理論は、なんだか直線的思考の産物のように思えてなりません。宇宙の時空とは、いったいそのように直線的にとらえられるものなのか?どうもどうではない気がします。宇宙創生についてもマヤ暦と同様に、人類が非直線的思考に到達しなければなかなか解明できないのではないかと思います。

マクロビオティックを興した桜沢如一は、宇宙の法則を食事の原理に応用しました。もしも彼がこの時代に生きていれば、ビッグバン理論をどう評価したでしょうか?あるいは2012年をどう考えたでしょうか?

マクロビオティックの教えのなかに、ヴェガ・サイクルに基づいた宇宙史観があります。ヴェガ・サイクルというのは、北極点が地球の歳差運動によって2万5800年周期で天頂付近に弧を描く軌道のことです。ヴェガ・サイクルは科学的な事実でそれ自体どうということはありませんが、面白いのは、マクロビオティック宇宙史観ともいうべきヴェガ・サイクルの解釈です。

それを紹介する前に、ヴェガ・サイクルについて簡単に説明しておきす。現在地球の北極点は小熊座α星、すなはち北極星付近にあります。北極点は移動しており、およそあと百年後に小熊座α星が真北極にくることになっています。その小熊座α星を起点とすると、円周上の対極に位置するのが琴座のヴェガ星です。この周期は、小熊座α星からヴェガ星に向かう前半と、ヴェガ星から小熊座α星までの後半に分かれます。

北極点が移動すると何が変わるのでしょうか?夜の明るさです。北極点が移動し小熊座α星からヴェガ星に向かい始めると、天の川もまた北極に近づいてきます。北極点がケフェウス座から白鳥座に向かう頃からは天の川も天頂付近にかかり、地球の夜は格段に明るくなると思われます。

地球は星全体が磁気層で保護されていますが、極付近は比較的ひらかれていて宇宙線が進入しやすくなっています。それゆえ天の川が北極付近にかかると、数多の銀河系の星々から放射される光線が直接的に地上に降り注ぐことになるでしょう。煌々とした星々の光のシャワーは、人に何らかの影響を与えると考えられます。例えば経絡やチャクラが活性化するとか、DNAの構造が変化するとか、さらには脳の使用領域が拡大して超能力を身につけるなどといったことです。

前回天の川が天頂にかかったのはいつのことでしょうか?概算すると、今からざっと2万4000年前から1万3000年前になります。人類の歴史は、教科書では大河に興った四大文明から始まったことになっていますので、その時代は正式な歴史が存在しない遥か太古のむかしです。しかし、伝説はあります。大西洋上にあったとされるアトランティス大陸と、太平洋上にあったとされるムー大陸の伝説が。

アトランティスの伝説はギリシャの哲学者プラトンが書き残し、ムー大陸の方はイギリス人歴史家チャーチワードが紹介しました。両者とも高度の文明を誇っていましたが、一夜にして海中に没したという悲劇的な伝説が残っています。その真偽はともかく、アトランティスとムーの崩壊があったとされる時期にヴェガ星が北極点に到達し、前半期は終了しました。

ヴェガ・サイクルの後半期、北極から天の川が遠のき、地球の夜は暗闇に包まれます。この暗闇は、文明崩壊後の人類の苦難を象徴しているかのようです。原始の状態からやり直さねばならなくなった人類がようやく新たな文明を興すことができたのが、歴史で習う通り紀元前5世紀頃です。この頃の北極点はヘラクレス座からりゅう座へと移動しています。西暦元年頃には北極点は小熊座のなかに入り、現在はほとんどα星まできています。

つまり、現在私たちがいる西暦2012年という時は、ヴェガ・サイクルの暦では暗闇の後半期をもうじき抜けて光の前半期に入る最終局面です。そのイメージは、夜明け前にぴったりです。夜は明けないのでまだ暗いけれど朝の到来が予感できる、といった感じでしょうか・・・。今の時代は文明の転換期であるとよくいわれます。言葉にすれば簡単ですが、宇宙的な動きから考えて、その転換は想像以上に大きく激しいものであるかもしれません。

黄泉の国に亡き妻イザナミ命を迎えに行ったイザナギ命は、そこで醜く変わり果てたイザナミ命の姿を見て恐れおののき、一目散に地上への出口めがけて逃げます。暗闇の世界にあるものは醜く汚れていました。私たちはそこに留まってはならず、光の射す方角へ行かなくてはならないことを、この古代の神話は教えてくれているような気がします。今年2012年は、古事記編纂700年の節目の年でもありました。

人類が現代文明を越えていくときには、さまざまな新たな発見がなされなくてはならないでしょう。しかし一方で、古代の英知や伝承的知識もまた復活し普及していくのではないかと思います。マクロビオティックもそのなかのひとつであると、私は考えています。