巨大ロボット「KURATAS」:「乗ってみたくて」製作 足りない部品は通販で
2013年01月02日
◇開発者インタビュー
2013年を迎え、産業活動や実生活に役立つロボットへの取り組みは、一層加速化するだろう。そんな中で、アニメの世界から飛び出してきたような巨大ロボット「KURATAS(クラタス)」が話題だ。金属造形作家の倉田光吾郎さん(39)とロボット技術者の吉崎航さん(27)が開発した4輪走行の1人乗りロボットだ。これまで日本で知られているロボットは、本田技研工業のASIMO(アシモ)や石黒浩・大阪大教授が開発した本人そっくりの「ジェミノイド」など、人間と同じか、それより小さいものばかり。大型のロボットはほとんど例がなく、海外からも問い合わせが相次いでいるという。
「クラタス」は高さ4メートル、重さ4トン。鉄製で、建設機械などに使われている油圧システムとディーゼルエンジンで手足を動かす。胸部にコックピットがあり、人が運転して、時速10キロほどで走行する。
鍛冶(かじ)の技術がある倉田さんが本体を造り、ショベルカーのタイヤなど、可動部に使えそうな部品はネット通販で購入。中古で入手し、分解して勉強しながらの作業だったという。作業に必要なフォークリフトや工具はネットオークションで入手した。玩具のロボットのように関節部を動かせるところまで造り上げ、吉崎さんが操縦システムを組み込んだ。
「巨大ロボットに乗るのが夢だった」という倉田さん。アニメに登場するロボットの実物大模型や、サッカーボールを時速200キロで「蹴る」機械を作った経験などから、人が乗って動かせるロボットの製作を決めた。「子供の頃に想像していた未来は、巨大ロボットが歩き回っている世界だったが、現実には小さなロボットしか開発されていない。もう待っていられなかった」(倉田さん)。
試作を始めた後、吉崎さんをネットで知り、開発に参加してほしいと誘った。吉崎さんは、「クラタス」を見た瞬間、「乗ってみたい」と思った。技術的には、クラタスの関節の数が少なく、立ち上がる時に何か問題が起きる可能性があることが分かったが、倉田さんのデザインを優先し、ソフトを工夫することで「なんとか制御してみよう」と決めた。